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銀座、クリスマス・ティー・トゥリー [ウッド]

クリスマスのイルミネーションがきらめく銀座を歩く。
断然夜が楽しい。
冷たい風に襟を立てながら急ぎ足で横断する人も、佇んで携帯を片手におしゃべりしている人も、みんな待ち合わせをする誰かがいるのだろうとこちらまで楽しくなるようだ。

銀座4丁目の交差点近くに通っている歯医者さんがあるので、予約の時間までソニプラを覗く。フラの舞台のために髪に花を止めるラージピンなるものを探そうか、と。
ソニプラはいろいろなクリスマス・グッズであふれ、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかさだ。
ラージピンは見つからなかったが、もっとすごいものを見つける。
髪のエクステンション。
20年ほどずっとショートカットがトレードマークのようだった私は、鏡の中で流行の巻き髪の”熟女”に変わっている。
フラはロングヘアがお約束。

販売員に装着してもらってそのまま歯医者さんへ。
ドクターもスタッフもは気付いているのかいないのか何も言わない。
治療が終わってご飯を食べるため、さっきの人待ち顔の群集に混じり日産のショールームで友達を待つ。ショールームのガラスに何度も己の髪を映してみる。絶対びっくりするだろうなあ。

おーい、と手を上げてやってきた友達はテニス仲間だった中年男性。
どこで何を食べるかという話にあっさり移行し、え?え?と私はたじろぐ。
気がつかないってあるんだろうか。

パバロッティのような支配人がなぜか伝票を口に咥えて歩き回る、昭和のなごりを濃く残した洋食屋に向かい合って座って初めて私から切り出す。
「ねえ?何か気付かない?」
「うん、鼻が赤いよ。」

食事の合間にトイレに立ち、自分の顔を鏡に映す。
巻き髪よりも大変なことになっているのに初めて気付く。
クリスマスだからというわけでもないのだろうが、以前から左の鼻腔が痛いと思っていたところ、鼻先全体が赤鼻のトナカイのように腫れて発赤している。
中からの細菌感染が表面まで出てしまっているのだ。

受診すべきだろうか、と自宅へ戻り、洗面所で悩む。時計は深夜11時。
家にあるありったけのオイルを出してみる。
原因がわからない感染だとすればやはりティートゥリー(Tea Tree:Melaleuca alternifolia)だろう。バクテリア、ウィルス、真菌と、すべての細菌感染をカヴァーできる。
しかしこれを嗅覚へ直結している鼻腔の粘膜に塗布するのは勇気が要る。粘膜に入り込んだらどうなるのだろうと思うと怖い。
しかし、ええい!と少量のセントジョンズワートオイルで稀釈し、殺菌・鎮痛強化と刺激緩和にラヴェンダーをブレンドし、染ませたコットンを左の鼻腔に突っ込む。
ラヴェンダーが幸いしたのか刺激臭はそれほどでもないが、ぴりぴりと痛みが走る。

EOでさまざまな感染治療に立ち向かったガットフォセとジャン・バルネ博士が夢枕に立ちそう、と思いつつ、しかしその後の寛解状態に満足して眠りにつく。
エクステは洗面所の棚に眠っている。



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