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トリートメントルーム、早く出ておいで [フローラル]

クライアントさんのことをブログに書くのはタブーだと思っている。
ただ、今回だけは許していただこう。

最初、彼女は不安そうに見えた。
家には3歳になる第一子と二人、だんな様は単身赴任中だ。
急にお産になったらどうしよう?第一子の出産は無痛分娩だったので、今度はがんばろうと思っている通常のお産の痛みってどんなだろう?

彼女は毎週のようにやってきた。
最初緊張と不安で施術前とあまり変化が無かった血圧が、施術後ぐんと下がるようになってきた。
施術で深いリラックスに入っている証拠だ。
お腹が大きくなってきたので、うつ伏せが難しくなり、横臥で施術を行うようになった。

37週に入り、健診で胎児も3000g近くなり、もういつ娩出されても大丈夫、と院長からオイルの妊娠時禁忌解放OKの指示が出た。
IFAでは厳重に妊娠時の禁忌オイルが決められおり、36週までは本当に限られたオイルを1%(通常は3~5%)稀釈で使用するので、必然的に香りの面では単調で希薄なものにならざるを得ない。
妊婦さんにはもっぱらタッチ・セラピーのほうの力を借りる。
その禁忌が解かれたのだ。

これまで子宮収縮作用があるとして使えなかったローズ、ジャスミン、イランイラン、クラリセージなどとろりと甘いオイルを彼女に提示してみる。
彼女の手がそれぞれのボトルではたと止まる。
今まで使っていたオイルに比べ、香りの強度も、甘さも格段に違うオイルたちだ。
彼女の顔がみるみるほころんでくる。
「こんな素敵な香りが世の中にあるんですねえ。」

その中からジャスミン(Jasumin:Jasuminum officinale)にヴェチバーをブレンドし、陽気なサンバックとは少し趣きが違う都会的な香りを作って提案する。
施術後まで香りを持続して楽しめるよう、40分しかない施術の中に敢えてデコルテをプラスする。

施術後、血圧は最大収縮時が20以上降下し、彼女が如何に深いリラックスに入ったかが伺える。
ガウンを羽織ってからもデコルテから立ち上るジャスミンの香りを楽しんでいる。
「本当に幸せな気分です。香りでこんな気分になれるのが本当に不思議です。」
彼女のとろけるような笑顔が、その気持ちをさらに雄弁に語っている。

もう最初の不安そうな彼女はいない。
彼女は出産時もこのブレンドを使うことを希望している。
そして出産時の不安に、きっとこの香りで打ち勝つだろうと確信する。

「入院されたら私もすぐこのブレンドを持って応援にいきますよ」
さあ、準備はOK。
早く出ておいで、ベビーちゃん!




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