自宅、2分の1 [クリニック・シンドローム]
てぶくろを片方失くしてしまった。
二つで一揃いの片方を失くすことは、一つで成り立っているものを失うより、より喪失感が大きい。
それは二つあってセットとして完成されるものだから、何の役にも立たない片割れが残っているのが、より寂しさを掻き立てるんだと思う。
「夫婦」というのはもちろん夫と妻両方を指す、日本ではごくポピュラーな言葉だけど、英語でこの言葉と同じ意味のワンワードはいくら探しても見つからない。
married coupleとかwife and husbandとかは言うけれど、一つで言いきる言葉が無い。
この日の〇ルリッツのインストラクターCrisにそれを問い、彼も必死に自分のiphoneで探していたがやはりそんな言葉は無さそうである。
日本より夫婦単位の社会が発達しているお国柄だが、日本のようにセットで1(つまり2分の1が二つ)と考えるのではなく、1+1で2という考えなんだろうと思う。
今年12回目を迎える恒例夫プロデュースの大エンターテイメント『開院記念ゴルフコンペ』は、大騒ぎのうちに幕を下ろし、年間最大の肩の荷を私も下ろすことになる。
翌日、フラと〇ルリッツへ行くのも、もう気持ちとしては這いつくばって電車に乗るくらいの疲労感である。
縮小、後退、遠慮という言葉は大嫌い、努力、ゴージャス、突進がモットーの超肉食系夫の派手な演出は、このご時世にはおおよそそぐわない。
しかし、以前は見えなかった彼の老いや疲れも2分の1としてははっきりと感じることができる昨今、こうして自分を鼓舞し、自分のプロデュース力と求心力を信じきることで、彼は年間800件以上のお産の責任を一人で負うという途方もないストレスに、打ち勝とうとしているのだと思う。
2分の1としては、いつかぽきりと折れはしないかと案じつつ、またあまり突っ走らぬように後ろで手綱を引きつつ、見守るしかないのである。
じーっと。
2010-11-05 13:04
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