クリニック、こんな時こそ [クリニック・シンドローム]
「70万、反古にしていい?」
と夫に尋ねた。
「いいよ」
と夫が言った。
実は今週末、私はひとりで香港に旅立つはずだった。
前にも書いたが、ペニンシュラホテルの「ウィンターエスケープ」プランを楽しむために。
香港の古い町並みを訪ねたり、夜のイルミネーション街をオープントップのバスでぶっ飛ばし歩くオプショナルツァーも申し込んだばかりだった。
早ければ6:20から停電になるかも知れないという情報が飛び交い、5:00から起きて(というか、ほとんど眠れなかった)身支度やミナサン(トイプー3匹)の世話をし、患者様の朝食に穴をあけないように指示を出すために、クリニックがパニックにならないように、対応するため家を出た。
自分たちだけならどんな我慢もするけど、患者様にはそんな思いはさせられない、という思いでいっぱいだった。
計画停電するなら、いっそばっさりして欲しい。
その代わり、あんたのところはこの時間だとはっきり表明して欲しい、と思いながら歩いた。
私の車にはガソリンが無かったから。
着くと、クリニックは第1グループだと医師会から連絡があったと、泊まり込んでいた夫が言った。
でも第1グループで予定されていた6:20からの停電は無かった。
へたり込むような安堵感と疲労感がどっと襲ってきた。
その後午前中は、計画停電への対応策をクリニックのHPにアップする算段や、厨房との今後の給食への予測策、患者様へのインフォメーション作成に追われた。
午後からは東上線がストップして出勤できないセラピストに代わって、入院患者様へのサービスのアロマトリートメントにかかった。
私以外の二人のセラピストは県外から来ているため、交通手段が確保できない現状が続けば出勤が期待できず、停電になれば暖房も水も供給不可能なので、無料のアロマトリートメントサービスは打ち切るしか無いと思っていた。
午後、今日は停電を回避したとのニュースを受け、二人の患者様の施術に踏み切った。
一人の外国人の患者様が少したどたどしい言葉で、
「地震のあった日に出産してとても怖かったけれど、夫に、お前はこんな日にクリニックにいられてラッキーだった。クリニックは絶対安全なのだから、と言われた」
とおっしゃり、
「トリートメントはとても気持ちよかった。生き返ったような気がした。退院後もまた来たい」
ともおっしゃった。
クリニックは絶対安全。
その言葉は重い。
そしてこんな時だからこそアロマテラピーは必要なのだ、と思う。
地震そのものの恐怖が収まっても、その後にやって来る物資不足、ライフライン切断への不安。
そんな中で出産し、赤ちゃんを抱えて被災後の社会へ出て行かれる患者様が、ほんのひとときでも安らぐ時間を自分たちが作り出すことが出来るなら、アロマテラピーは最後の最後まで続けるべきだ。
セラピスト二人に「泊まりがけの覚悟で」出勤するようメールを打ち、彼女たちが来るまでは自分の手だけでもアロマテラピーを続けようと思った。
旅費を払い込み、すでにキャンセル可能な期間が過ぎている香港旅行を設定してくれたエージェントに、権利放棄のメールを打つ。
日本がこんな思いをしている時に、自分だけのうのうとペニンシュラのスイートに泊まるなんてことが、許されるはずが無い。
明日の停電が気にかかる。
と夫に尋ねた。
「いいよ」
と夫が言った。
実は今週末、私はひとりで香港に旅立つはずだった。
前にも書いたが、ペニンシュラホテルの「ウィンターエスケープ」プランを楽しむために。
香港の古い町並みを訪ねたり、夜のイルミネーション街をオープントップのバスでぶっ飛ばし歩くオプショナルツァーも申し込んだばかりだった。
早ければ6:20から停電になるかも知れないという情報が飛び交い、5:00から起きて(というか、ほとんど眠れなかった)身支度やミナサン(トイプー3匹)の世話をし、患者様の朝食に穴をあけないように指示を出すために、クリニックがパニックにならないように、対応するため家を出た。
自分たちだけならどんな我慢もするけど、患者様にはそんな思いはさせられない、という思いでいっぱいだった。
計画停電するなら、いっそばっさりして欲しい。
その代わり、あんたのところはこの時間だとはっきり表明して欲しい、と思いながら歩いた。
私の車にはガソリンが無かったから。
着くと、クリニックは第1グループだと医師会から連絡があったと、泊まり込んでいた夫が言った。
でも第1グループで予定されていた6:20からの停電は無かった。
へたり込むような安堵感と疲労感がどっと襲ってきた。
その後午前中は、計画停電への対応策をクリニックのHPにアップする算段や、厨房との今後の給食への予測策、患者様へのインフォメーション作成に追われた。
午後からは東上線がストップして出勤できないセラピストに代わって、入院患者様へのサービスのアロマトリートメントにかかった。
私以外の二人のセラピストは県外から来ているため、交通手段が確保できない現状が続けば出勤が期待できず、停電になれば暖房も水も供給不可能なので、無料のアロマトリートメントサービスは打ち切るしか無いと思っていた。
午後、今日は停電を回避したとのニュースを受け、二人の患者様の施術に踏み切った。
一人の外国人の患者様が少したどたどしい言葉で、
「地震のあった日に出産してとても怖かったけれど、夫に、お前はこんな日にクリニックにいられてラッキーだった。クリニックは絶対安全なのだから、と言われた」
とおっしゃり、
「トリートメントはとても気持ちよかった。生き返ったような気がした。退院後もまた来たい」
ともおっしゃった。
クリニックは絶対安全。
その言葉は重い。
そしてこんな時だからこそアロマテラピーは必要なのだ、と思う。
地震そのものの恐怖が収まっても、その後にやって来る物資不足、ライフライン切断への不安。
そんな中で出産し、赤ちゃんを抱えて被災後の社会へ出て行かれる患者様が、ほんのひとときでも安らぐ時間を自分たちが作り出すことが出来るなら、アロマテラピーは最後の最後まで続けるべきだ。
セラピスト二人に「泊まりがけの覚悟で」出勤するようメールを打ち、彼女たちが来るまでは自分の手だけでもアロマテラピーを続けようと思った。
旅費を払い込み、すでにキャンセル可能な期間が過ぎている香港旅行を設定してくれたエージェントに、権利放棄のメールを打つ。
日本がこんな思いをしている時に、自分だけのうのうとペニンシュラのスイートに泊まるなんてことが、許されるはずが無い。
明日の停電が気にかかる。
2011-03-14 22:08
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コメント(2)
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なんだか涙が出そうな思いで拝読いたしました。
つい数ヶ月前にそちらで出産した身としては、あんな日に出産された不安はいかばかりかと存じます。
ただでさえ出産は嬉しい感情と同じくらい不安が伴い、知らなかった痛みが次々と押し寄せてきて辛くもあるもの。
そんな中で受けたアロマトリートメントは私にとって何より価値のあるものでした。
きっと今日のお2人もそんな思いでいらっしゃるのではないでしょうか。
しばらくはクリニックの皆様も大変だと思いますが、頑張ってくださいね。
・・・先日は、後日ベビーと一緒の講座も検討してくださっているとのお返事ありがとうございました。
by keiko (2011-03-14 23:34)
keikoさん
コメント、心から嬉しく読ませていただきました。
妊産婦さんのアロマテラピーに関わっている者として、セラピスト冥利に尽きます。
応援本当にありがとうございます。
スタッフにも伝えて頑張ります。
keikoさんもどうぞお身体にお気をつけて。
また講座などで是非お会いしましょう!
by mana (2011-03-15 08:11)