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水戸、復興ノート9 [ハーバル]

TVに強い余震に見舞われる故郷が映る度、早く駆けつけたい思いは募るばかりだったが、常磐線の不通、ガソリン不足で足が確保できず断念し続ける。

両親の住むケアレジデンスからは毎日メールで個人のレポートが送られて来るので様子もわかり、母から気丈なハガキも届くので一応は安堵していたが、週末、ガソリンを調達してくれた人がいて、日曜の水戸行きを決める。
常磐道はいわきの手前まで復旧しているので何とか行けそうだ。

夫を連れて行って、万が一戻れなくなるとクリニックが立ち行かなくなるので、心細くはあるが1人で向かうことにする。
パン屋を副業でやっているという知人に頼んでその日の朝に焼いてもらったパンは、施設のお年寄りみんなに行き渡るように200個である。
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パンを持ってきてくれた知人が「車の中で食べるように」とジュースとサンドイッチまで用意してくれ、何だかいろんな人に助けられる思いで出発する。

常磐道はところどころ大幅な修繕の痕があるものの、大きながけ崩れなどは無く、概ね順調。
ガソリン不足が影響してか、いつもより格段に車両数が少ない。
途中のSAでは、リアガラスにぎっしり積んだ毛布や段ボール箱が見える被災地応援車両も多数見られる。
地震を警戒して水戸までは80キロ規制、水戸から先は50キロ規制が敷かれている。

水戸が近づくにつれ、ナビが「緊急地震速報」を映す回数が増え、緊張する。
(高速道路内ではこんなシステムがあるのを知らなかった)

2時間以上かけて施設に到着、マネージャーさんにパンを渡し、来月92歳になる母の部屋を訪ねると、昨日よりめまいが酷くてとベッドに臥せっている。
震度5辺りの余震が毎日続いているので、TVでやっていた地震酔いなのかも知れない。

持ってきたラヴェンダー(Lavender:Lavandula officinalis)のエッセンシャルオイルで肩や首筋をマッサージしてやると、だんだん表情が柔らかくなり、何も喉を通らないと言っていたのに、持っていったあんみつやイチゴに口を付けるようになる。
マッサージが済むと「肩が無くなったように(笑)軽くなった」といってすたすた歩き出す。

「私は大丈夫」と気丈に振る舞う人ほど、ストレスを自分の中に溜め込んでしまい、いろいろなマイナートラブルを引き起こすことが多い。
本震の大きさと続く余震は緊張が長期間継続する状態で、思わず肩に力が入って筋肉が硬直するので、それを和らげてやるとかなり症状は改善する。
私自身、この2週間、毎日肩に力が入って凝り、お風呂には緊張を緩和するローマンカモミール(Chamomile:Chamaemelum nobile)やラヴェンダーを、朝は気分を明るくするスイートオレンジ(Citrus sinensis)を嗅いで仕事にあたり、電気や明かりが無くてもちゃんと脳と身体に染み渡る香りの効果を頼りにした。

某女性代議士が大きな余震時に「アロマオイルを楽しみながら英会話勉強していた」とブログに書いて大顰蹙をかったそうだが、心身への薬効効果を持つエッセンシャルオイルを、非常時にどう使うかをこの方はき違えていらしたのだと思う。

被災地の方々の緊張はいかばかりだろうと思うと、今後のボランティアとしてアロマセラピストにも出番はあるのかも知れないと思う。

母にマッサージをしている側で羨ましげに見ていた父にも、一番つらいという腰にやはりラヴェンダーオイルでマッサージをしてやり、別れもそこそこに次の被災地へ。
水戸よりさらに北の日立で独居している90歳の叔母の様子を見に出発する。

もう一度常磐自動車道にのって日立南太田インターを降りると、一般道はガソリンスタンドに長蛇の列で、道路は大渋滞。
埼玉では少しずつガソリンが流通し始めたようだが、被災地に近づけば近づくほどまだ困難は続いているように思う。

海の見える高台に1人で住んでいる叔母は電話の声の通り元気で、デイサービスも給食も滞っていないとのこと。
来訪を大変喜んでくれ、お抹茶をたててくれた(昔はお茶の先生であった)

周囲にはブロック塀が倒れている場所もあったが、思ったより平穏な風景であり、安心する。
IMG_7604.jpg

帰りの高速内SAでは、全く並ばずにガソリンも満タンにすることができ、昼夜を問わず復旧や復興に従事している見えない人たちのお陰で、被災地周辺は何とか日常を取り戻しつつあると感じた。

3月27日(日)復興ノート
・ディーゼル機関車(電気を使わない)で福島へ多量の燃料輸送開始。磐越西線「頑張ろう、東北」のステッカー窓に貼り
・福島市避難所で子どもたちが未来の町づくりの模型制作。若手の建築デザイナーの指導で
・水戸、日立訪問完了
・SAで普通に給油可能。スタンドの方の話しでは、月曜からだんだん元通りに流通し始めるとのこと。
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KURE

停電の中でのクリニック運営ほんとうに大変な事と思います。
陰ながら応援しております。

職場は都内なので停電は免れておりますが、
通勤に余裕を見ねばならず、小さい子供を「早く早くー」と
追い立て、自分もひたすら走っているような生活に
甘いと思いつつも疲れを感じておりました。
「ラヴェンダーかぁ」とこれまで臭っとしか感じられず
好きではなかったラヴェンダーを取り出してみました。
香りを必要とするってこういうことなのか!と実感しました。
お風呂に入って体も心も緩めることができたようです。
ありがとうございました。



by KURE (2011-03-28 22:40) 

mana

KURE様

いつも読んでくださり、ありがとうございます。
お元気でいらっしゃいますか?

気持ちを鎮める香り、気持ちを明るく引き立てる香り、頑張るぞと奮起させる香り・・・
想像もできない災害で自分の感情のコントロールが出来にくい時こそ、香りは大事なツールだと私も実感しています。

ご家族の皆様、お身体お大切にお過ごし下さいね。
by mana (2011-03-29 18:21) 

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