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十国峠、出会いと別れ [フレグランス・ストーリー]

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雛人形を、毎年の定位置に飾る。

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春は名のみの風の寒さや、だけど、立春を境に、暦だけは確実に暖かい方へ歩み始める。
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華やかな呉服の展示会などへ出掛けると、少し心が浮き立つ。
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心が何分割にもされて、千切れている真っ最中。
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一週間後にせまった合同ライブのために、この曲を選んだのは半年前の夏。
本当に軽いノリだったのだけれど、習い始めて3年目のビギナーには相手が大き過ぎ、練習しても練習しても基本のリズムすら揃わずキープできず、一時はもう曲を聴くことにすら嫌悪感を感じた。
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努力すれば世の中の大抵のものが手に入るという自己能力を度外視した謂れの無い信念は、還暦とSmoke on the Waterを前にして瓦礫と化して、先生に書いてもらった楽譜に積み込まれた珠玉のフレーズの数々を、歯ぎしりしながら削ぎ落し、妥協で丸め、時間の経過で馴して、ここまで来た。

ソロだったらとっくに諦めていたと思うけれど、そこはバンドという形態の牽引力と責任感がかろうじて土留めになってくれたし、練習後バンド仲間と新宿の片隅で飲むお酒は、曲が形をなしてくるほどに旨味を増す気がした。
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嫌いになりかけた曲だけど、今は挑戦してよかったと思える。
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この年になってバンドを組み、孫の話しをしながらロックを語らう。
それもいいね、と笑い合う。
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GO, AHEAD!である。



そんな愛おしい出会いがある反面、春は別れの季節でもある。

十国峠の富士山は、そんな二分割された心を、微笑みながら抱擁してくれる。
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日本の春はこの行き来があるから、複雑で甘酸っぱい感傷に満ちている。


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