伊勢志摩、いい日「女子旅」立ち [セルフィッシュ・ジャーニー]
父が逝って、別れの季節がやって来て、心が波立つ時に、一人で何も考えずに旅立ちたくなった。
5月のサミット開催で最近何かと注目の伊勢志摩国立公園内に3月1日、満を持してオープンした日本で2番目のアマンリゾート、Amanenuの予約サイトに冗談半分でアクセスしてみたら、英虞湾を見下ろす最高のカテゴリーのスイートが取れてしまった。
よーし。
取れちゃったものは仕方ない。
最近飛行機には乗るけど新幹線には久しく乗っていない。
「いい日旅立ち」を聞きながら、一人でゆっくりスーツケースを引いて行こう・・・・
・・・・ところが。
結果的には大学時代の友人S子と思いっきりの女子旅。
名古屋駅で落ち合って、その後の近鉄特急から大はしゃぎである。
伊勢志摩ライナー、車内にもパールが飾ってあって、そこから超お嬢S子の機関銃トークはパールの五重塔へ。
(平民にはその価値が分かりません・・・)
終着駅という響きの寂しさなど微塵も感じられない陽気な晴天に恵まれた賢島に着くと、まずは海女小屋で伊勢湾の海の幸を食べることに。
目の前の海一面に広がった、アオサの養殖用筏の幾何学的なパターンが言いようもなく美しい。
炉で焼いてくれる、海女さんが取ってきたばかりの大きなアワビには歯形が付くように噛り付けと言われる。
飲めないS子にがんがん注がれて、ワンカップ沢の鶴2合。
あー、なんて贅沢。
御年84歳の海女小屋の主。
14歳から海に潜って、40代で旦那様と死に別れた後、子供3人を育て上げたそうだ。
すっかりいい気分になって、女子旅に付き物のパワースポットへ。
実は大のアンチ・パワースポット女子、現実派。
(還暦が女子って自分で言うな、って)
伊勢志摩サミットでにわか観光地化している時流に乗った即席明神は、女子の願いをたった一つだけ聞いてくれるという涙もの。
女子旅ですからね。
お願いですから私を20代に戻さないでください。
私は今が一番楽しいんです・・・
・・・・てなお願いをして、いよいよAmanenuへ。
伊勢志摩サミット期間中はオバマ率いるアメリカ合衆国がすべて借り切って宿舎にするという、タクシーの運ちゃんが喋り捲る公然のトップシークレットに俄然期待は高まって。
うーん。
ケリー・ヒルがジャパニズムを表現するとこうなるのね。
どこかのアマンでいつも見るような風景が、かなり弱弱しい感じで展開される。
両側のダイニングとバーのパブリックスペースで海を挟み込んで切り取るという構図も、それをレセプション棟からまっすぐに見通すというロケーションも、特に目新しくはない。
12月に訪れたニャチャンのように、それが荒々しい地形にガッツリはめ込まれるとダイナミックな迫力でデザインの妙が感じられるのだが、やや平坦なロケーションと和風のディティールの大人しさは、このデザインを殺してしまう気がする。
独立したヴィラは、伊勢神宮の神命造にインスパイアされたという天井の高いデザイン。
天井高を問うても、スタッフ対応は曖昧に終始。
それを覚えとかなきゃ。
目の前は英虞湾。
やはり穏やかな日本の海である。
シグネチャーの温泉を引いたバスルーム。
静謐、という言葉は浮かんでくるが、他国のAmanに出かけた時のような、うわーっという感動が無い。
バスソルト周りもどこかお茶室のようで。
オーバーフローが温泉スタイル。
開業して間もないので、多少の不手際は覚悟のうえですよ。
リゾートに付き物のスパも夕食に思いっきり食い込む時間しか取れないけど。
お食事は洋食も万が一のためにあるけど、和食でね。
しかもFish or Meat じゃなく、Fish or Fish 万が一のためにMeat みたいなメニュー展開。
S子はコラーゲン獲得のために、海女小屋に引き続き今日二度目のハタの目玉摂取。
はっきり言ってコワイんですけど。
照明が暗すぎて写真が取れない、メニューが読めない(日本語なのに)のは、他のアマンとほぼ同じ。
還暦女子にはつらい解読作業。
ここでまたS子にさんざん飲まされたのに、部屋へ帰って今度は「60歳まであと半年のお祝いしよ~(何のお祝いよ?)」と持参してきたキャンドル立てる元お嬢。
アナタ、だから荷物多いのよ。
S子はさらに地元三重県の「作(ざく)」をミニバーから出してきて、テーブルへ。
アナタ、一杯も飲まないんでしょ。
全部私が飲むんでしょ。
ハイハイ。
女子旅だものね。
還暦万歳。
朝6時にS子にブラインドばーーーっと開けられる。
ありがとう、S子。
でもさ、私、昨夜は6合近く飲んでるのよ。
ラタンを複雑に編んだブラインドは、このAmanenuで一番私が気に入ったディティールで、そこから漏れる来る朝日は優しくて、これは日本素敵だと思える。
カッシーナ・イクスシーデザインのダイニングチェアともうまくマッチしている。
耐久性は無さそうだけどなー
朝食。
私はどこのホテルでもオーダーすると決めているパンケーキとサニーサイドアップ。
パンケーキ、飾り過ぎ。原宿じゃないんだから。
S子はホテルお勧めの和朝食セットで。
一日の摂取目標30品目はこれでクリアーと思われるほどの見事な品ぞろえ。
美しいが、ちょっと什器が懲りすぎてうるさい感じも。
(スタッフの説明が超長い)
朝食後はゆっくりとS子の弾丸トークを右から左に聞き流していたが、急にやっぱりここまで来たんだから真珠の養殖見ないと、と思い立ち、レセプションに電話して周辺の見学させてくれる養殖場教えてと言って30分。
一向に返ってこないレスポンスに業を煮やしてググったら30秒で検索結果。
自分で予約取る。
自分たちは試運転に付き合っているのだと言い聞かせ、チェックアウト。
Good by, Amanenu。
何年か後、お互いマチュアになって会いたいね。
湾をぐるりと回って反対側の浜島周辺、真珠の里へ。
ここではあこや貝を引き上げて、真珠を取出し、磨くまでの作業が体験できる。
ジュエリーに興味が無いので、真珠がどうやって作られるのかも、どうやって養殖されているのかも知らなかった。
養殖行程のアナログさ、高価値の真珠を得る確率の低さは驚くばかりだ。
真珠を取り出した後の貝のむき身は海のお魚たちのご馳走。
関東人にはあこや貝の貝柱を食べるなんて思いもよらなかったけど、こちらじゃ結構ポピュラーな酒のツマミ。
コリコリしてなかなかオツなもん。
また一杯飲みたくなってくる。
いや、東京から運転して帰らなきゃだから、いかん、いかん・・・・(葛藤)
最後、賢島発の近鉄特急に乗る間際まで、ここが発祥の地だという手ごね寿司お腹に詰め込んで、赤福買って。
女子旅ってやっぱり食べ物に始まって食べ物に終わるのね。
Thanks, S子。
女子大の時のきゃぴきゃぴを、私、ちょっと忘れかけてた。
いろんな理屈や事情で、自分を縛ろうとしてたかも知れない。
子ども達を独立させて、両親を送り、責任がいくらか軽くなったなら、それならまた女子に戻ろうって、S子は思い出させてくれたんだね。
学寮で取り留めもなく騒いでいた頃の私たちが、今、たまらなく愛おしい。
還暦、万歳だね!
また行こう!
5月のサミット開催で最近何かと注目の伊勢志摩国立公園内に3月1日、満を持してオープンした日本で2番目のアマンリゾート、Amanenuの予約サイトに冗談半分でアクセスしてみたら、英虞湾を見下ろす最高のカテゴリーのスイートが取れてしまった。
よーし。
取れちゃったものは仕方ない。
最近飛行機には乗るけど新幹線には久しく乗っていない。
「いい日旅立ち」を聞きながら、一人でゆっくりスーツケースを引いて行こう・・・・
・・・・ところが。
結果的には大学時代の友人S子と思いっきりの女子旅。
名古屋駅で落ち合って、その後の近鉄特急から大はしゃぎである。
伊勢志摩ライナー、車内にもパールが飾ってあって、そこから超お嬢S子の機関銃トークはパールの五重塔へ。
(平民にはその価値が分かりません・・・)
終着駅という響きの寂しさなど微塵も感じられない陽気な晴天に恵まれた賢島に着くと、まずは海女小屋で伊勢湾の海の幸を食べることに。
目の前の海一面に広がった、アオサの養殖用筏の幾何学的なパターンが言いようもなく美しい。
炉で焼いてくれる、海女さんが取ってきたばかりの大きなアワビには歯形が付くように噛り付けと言われる。
飲めないS子にがんがん注がれて、ワンカップ沢の鶴2合。
あー、なんて贅沢。
御年84歳の海女小屋の主。
14歳から海に潜って、40代で旦那様と死に別れた後、子供3人を育て上げたそうだ。
すっかりいい気分になって、女子旅に付き物のパワースポットへ。
実は大のアンチ・パワースポット女子、現実派。
(還暦が女子って自分で言うな、って)
伊勢志摩サミットでにわか観光地化している時流に乗った即席明神は、女子の願いをたった一つだけ聞いてくれるという涙もの。
女子旅ですからね。
お願いですから私を20代に戻さないでください。
私は今が一番楽しいんです・・・
・・・・てなお願いをして、いよいよAmanenuへ。
伊勢志摩サミット期間中はオバマ率いるアメリカ合衆国がすべて借り切って宿舎にするという、タクシーの運ちゃんが喋り捲る公然のトップシークレットに俄然期待は高まって。
うーん。
ケリー・ヒルがジャパニズムを表現するとこうなるのね。
どこかのアマンでいつも見るような風景が、かなり弱弱しい感じで展開される。
両側のダイニングとバーのパブリックスペースで海を挟み込んで切り取るという構図も、それをレセプション棟からまっすぐに見通すというロケーションも、特に目新しくはない。
12月に訪れたニャチャンのように、それが荒々しい地形にガッツリはめ込まれるとダイナミックな迫力でデザインの妙が感じられるのだが、やや平坦なロケーションと和風のディティールの大人しさは、このデザインを殺してしまう気がする。
独立したヴィラは、伊勢神宮の神命造にインスパイアされたという天井の高いデザイン。
天井高を問うても、スタッフ対応は曖昧に終始。
それを覚えとかなきゃ。
目の前は英虞湾。
やはり穏やかな日本の海である。
シグネチャーの温泉を引いたバスルーム。
静謐、という言葉は浮かんでくるが、他国のAmanに出かけた時のような、うわーっという感動が無い。
バスソルト周りもどこかお茶室のようで。
オーバーフローが温泉スタイル。
開業して間もないので、多少の不手際は覚悟のうえですよ。
リゾートに付き物のスパも夕食に思いっきり食い込む時間しか取れないけど。
お食事は洋食も万が一のためにあるけど、和食でね。
しかもFish or Meat じゃなく、Fish or Fish 万が一のためにMeat みたいなメニュー展開。
S子はコラーゲン獲得のために、海女小屋に引き続き今日二度目のハタの目玉摂取。
はっきり言ってコワイんですけど。
照明が暗すぎて写真が取れない、メニューが読めない(日本語なのに)のは、他のアマンとほぼ同じ。
還暦女子にはつらい解読作業。
ここでまたS子にさんざん飲まされたのに、部屋へ帰って今度は「60歳まであと半年のお祝いしよ~(何のお祝いよ?)」と持参してきたキャンドル立てる元お嬢。
アナタ、だから荷物多いのよ。
S子はさらに地元三重県の「作(ざく)」をミニバーから出してきて、テーブルへ。
アナタ、一杯も飲まないんでしょ。
全部私が飲むんでしょ。
ハイハイ。
女子旅だものね。
還暦万歳。
朝6時にS子にブラインドばーーーっと開けられる。
ありがとう、S子。
でもさ、私、昨夜は6合近く飲んでるのよ。
ラタンを複雑に編んだブラインドは、このAmanenuで一番私が気に入ったディティールで、そこから漏れる来る朝日は優しくて、これは日本素敵だと思える。
カッシーナ・イクスシーデザインのダイニングチェアともうまくマッチしている。
耐久性は無さそうだけどなー
朝食。
私はどこのホテルでもオーダーすると決めているパンケーキとサニーサイドアップ。
パンケーキ、飾り過ぎ。原宿じゃないんだから。
S子はホテルお勧めの和朝食セットで。
一日の摂取目標30品目はこれでクリアーと思われるほどの見事な品ぞろえ。
美しいが、ちょっと什器が懲りすぎてうるさい感じも。
(スタッフの説明が超長い)
朝食後はゆっくりとS子の弾丸トークを右から左に聞き流していたが、急にやっぱりここまで来たんだから真珠の養殖見ないと、と思い立ち、レセプションに電話して周辺の見学させてくれる養殖場教えてと言って30分。
一向に返ってこないレスポンスに業を煮やしてググったら30秒で検索結果。
自分で予約取る。
自分たちは試運転に付き合っているのだと言い聞かせ、チェックアウト。
Good by, Amanenu。
何年か後、お互いマチュアになって会いたいね。
湾をぐるりと回って反対側の浜島周辺、真珠の里へ。
ここではあこや貝を引き上げて、真珠を取出し、磨くまでの作業が体験できる。
ジュエリーに興味が無いので、真珠がどうやって作られるのかも、どうやって養殖されているのかも知らなかった。
養殖行程のアナログさ、高価値の真珠を得る確率の低さは驚くばかりだ。
真珠を取り出した後の貝のむき身は海のお魚たちのご馳走。
関東人にはあこや貝の貝柱を食べるなんて思いもよらなかったけど、こちらじゃ結構ポピュラーな酒のツマミ。
コリコリしてなかなかオツなもん。
また一杯飲みたくなってくる。
いや、東京から運転して帰らなきゃだから、いかん、いかん・・・・(葛藤)
最後、賢島発の近鉄特急に乗る間際まで、ここが発祥の地だという手ごね寿司お腹に詰め込んで、赤福買って。
女子旅ってやっぱり食べ物に始まって食べ物に終わるのね。
Thanks, S子。
女子大の時のきゃぴきゃぴを、私、ちょっと忘れかけてた。
いろんな理屈や事情で、自分を縛ろうとしてたかも知れない。
子ども達を独立させて、両親を送り、責任がいくらか軽くなったなら、それならまた女子に戻ろうって、S子は思い出させてくれたんだね。
学寮で取り留めもなく騒いでいた頃の私たちが、今、たまらなく愛おしい。
還暦、万歳だね!
また行こう!
2016-03-14 16:38
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