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ハマメット、最高のネロリ [セルフィッシュ・ジャーニー]

ああ、◯武さんが行ったところね。



旅行前チュニジアへ行くと言うとほぼ半数の反応がこれで、これは相当クサった。

私がチュニジアに渡る理由は禁断の快楽とは違う。

世界中のアロマセラピスト垂涎のビターオレンジブロッサムが彼の地にはある。
それを見に行くのだ。
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夜中0時に乗り込んだパレルモ発のフェリーがアフリカ大陸の影を視界にうっすらと捉える頃、船内は明け方の揺れと朝食をセルフ煮炊きする(!)人々でざわついている。
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おっとっと、おっとっとと揺られて左右のパネルにぶつかりながらシャワーを浴び終わると、シェアルーム・カテゴリーを選んだ旅の相方が同室の人達と話しに来ないかと誘いに来る。
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人種と異文化のスクランブル交差点のようなこのフェリーの中で、素晴らしい出会いを2つ経験する。

一つはこの医師と学者のリビア人親子。
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距離的にも政治的にも文化的にも遠く感じるこの国が、肩をぶつけ合うような窮屈な船室でのおしゃべりで、一気に身近になる。

もう一つの出会いは本当に導かれたとしか言いようがない。
日本人はもちろん、一人のアジア人すらそれまで見なかった船旅の下船30分前に声をかけてくれた邦人夫妻。
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フランクフルト在住で奥様はアロマセラピストになったばかりというご夫婦とは、その後2日間に渡って香料を追う行程をご一緒することになる。

だからイレギュラーな旅って面白い。


ちょっと待って… excuse me?

156cm、38kgの私はどのライフジャケットを使うべき?
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1週間に渡るチュニス滞在は、相方がAirbnbを通して借りた旧市街のメディナの複雑な路地の一角にある可愛いアパート。
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オーナーはWEBで見たとおりの(実は相方と二人、こりゃ出来過ぎやろ!とすごく疑っていたのだけれど)リッチなイケメン。
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シーポートまで迎えに来てくれ、石畳の路地ではスーツケースを引いてくれ、部屋の説明をしてくれたばかりか、最終日には私を空港まで送ってくれた。

27歳、独身。
保険会社勤務。
父親はチュニスじゃ有名な癌専門医。
https://www.facebook.com/sofiene.rahal?fref=pb&hc_location=friends_tab&pnref=friends.all

日本からの花嫁エントリーはお早めに。
(私もあと40歳若ければなー)





チュニジア北端、地中海に親指のように突き出た温暖なボン岬は、3~4月、陽光が満ち溢れ花が咲き乱れる。
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この季節、地域の農家は多く生息するゼラニウムやビターオレンジ、ローズの花を集めて、簡素な蒸留器で「花水」を作る。
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私たちが走るバイパス沿道の両側は一面オレンジブロッサムの畑。
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オレンジの木の下にビニールシートを広げ、女たちが脚立に上って花を下に振り落とす。
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その花を集めて水を入れた素焼きの壺に入れ、火にかける。
立ち上る蒸気は水を入れた別の壺を通されることによって冷却され、花の成分と香りを移しとった蒸留水となってボトルに集められる。
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おどろくほど単純なこの装置はどの農家の庭先にも備え付けられ、花水は沿道に並べて売られている。
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道行く人はそれを買ってお腹が痛いときに飲んだり、熱中症になったら頭に振りかけたりする。
農家のおばあちゃん達とは身振り手振りでしか話せないが、何となくこういう効用は伝わるものだ。

もっと複雑で大掛かりな蒸留装置なら、そこに浮いてくる精油を採取できて高額な取引もできるのだろうが、この素朴な仕掛けでは蒸留水を取るのが精一杯だろう。

一方ビジネスとして蒸留を行い、精油まで採取してフランス企業と契約して「最高のネロリ(ビターオレンジの精油)を世に送り出す会社もここには多く存在する。
ゲランと契約しているというファクトリーにも足を運んだが、残念ながらビターオレンジの蒸留は2~3週間前に終わったとのこと。
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こういう番狂わせもイレギュラーな旅ならでは。



海岸でオレンジブロッサムのブーケを売るおっちゃん。
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帽子の上じゃ蕾が可哀想。
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陽気な太陽と香しいオレンジの花水。

岬の春は本当に素敵だ。
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