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大阪、ファンタジーの現実 [セルフィッシュ・ジャーニー]

ハリーとの出会いは、かれこれ15年以上も前。

「Harry Potter and the Sorcerer's Stone」を読んで(もちろん原書)感想文を書くという夏休みの宿題を放棄した当時高校生のウチの劣等生に、出版されたばかりの邦訳本を買って渡したこれまたバカ親は、息子が読み終わった「ハリー・ポッターと賢者の石」を手に取り、たちまちローリングの世界に引きずり込まれてしまった。

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大学で児童文学を専攻して一応ファンタジー文学の何たるかを勉強したが、ハリー〜は正と邪の闘いという王道の構図そのままで思想的な捻りは無く、商業的な匂いの圧倒的な分量の架空要素をふんだんに盛り込んだという意味で、文学というよりは遊園地に迷い込んだような楽しさを単純に読み手に提供してくれるツールだと感じた。

果たして、すぐに映画が出来、フロリダのユニバーサル・オーランド・リゾートにはテーマパーク、The Wizarding World of Harry Potterが開園する。
新刊発売に行列ができるアディクティヴな現象も、こういうアトラクション設定に合わせたようなエンターテイメント性も、文学という点では評価は分かれるところであろうが、全世界にファンを大量生産させることのできるエネルギーと体質はスター・ウォーズシリーズ等と共通するものがあるのだろうと思う。
(スター・ウォーズの面白さは未だに全く理解できていないが)

本も映画も全巻、全作品踏破したハリー中毒者としては、USJにそのハリー・ワールドが出来たと聞いた時から行ってみたいとは思っていたが、ねえ。
オバサン一人でわざわざ大阪まで行くっていうのも、ねえ。
だいたいディズニー・ランドがあまり得意じゃないし、ねえ。
絶叫マシーン大嫌いなダンナさんも一緒に行ってくれる訳がないし、ねえ。

・・・みたいな感じでずるずる今に至っていたが、友人と急に意気投合して。


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Yeahhh, Universal Studio Japan!

ユニバーサルシティ行きのJRはハーマイオニー!
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大阪行きの新幹線に乗る数日前に、クリニックのスタッフに「USJに素手で(=何の予約も無く)行くなんて正気ですか?!」と言われ、慌ててネットを覗いたら本当にメジャーなアトラクションのファストパスは全て売り切れ。
かろうじてウィザーディング・ワールドといくつかのアトラクションに乗れるささやかなパスと入場券を手に入れた次第。

舐めてた、USJ。

しかし2時間3時間待ちの行列を尻目に、お金さえ出せば5分であっさり座るシートを確保出来るってこのシステム、子どもの夢を育てるファンタジーの世界の横に、地獄の沙汰も金次第みたいな超現実が並列してるって感じで、教育的によろしいのか。

大人の世界には、ある程度の煩わしさを金銭で解決するという構図はそこここに散らばっているが、子どもにそれをこの夢の国で見せつけるのは結構キビシい。

ファンタジーとリアリティが近い。

すごく後ろめたいけど、許してね。
オバサンは長年働いて、このファストパス買うお金を獲得したのよ。

・・・と、行列に疲れて座り込んでいる子ども達に心で勝手に言い訳しつつ、最短時間で効率よく「大人の」USJを堪能する。

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ハリー達がたまのお楽しみに出掛けるホグズミート村ではバタービール(これを一度飲んでみたかった)を飲んだり、魔法の杖を買えば(オイ!)魔法だって使える。
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魔法魔術学校となっているホグワーツ城はまさにハリー・ワールド。
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3D4Dを駆使して、まるでクディッチの試合に自分が参加しているような大興奮が味わえるアトラクションもあり、絵が喋るのもストーリー通り、トイレには嘆きのマートルまで居て、まさに映画では半分足を突っ込んだだけのハリー・ワールドに、全身でどっぷり浸かれる趣向。

小雨模様の中、大人の幻想が溶け出していく。


いつも日本から飛び出すことしか考えていないが、いやいや十分異国情緒。

コリアンタウンの焼肉、パチンコ初挑戦。
エスカレーター左側通行。

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こういう興味に引かれた小さな旅もまたいい。


まだハリー・ポッターを読む年齢に達していない孫達は、お土産のカエルチョコにも百味ビーンズにも興味無し。
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おばあちゃんがこの百味ビーンズにどんなに憧れたか知らないでしょ?

小説としてのファンタジー要素を現実に手に入れられる可能性を見せつけるという意味で、このウィザーディング・ワールドはディズニーランドとは違った衝撃がある。

孫たちは、先ず現実を手にしてからこの小説を読む。
それは手探りでバタービールやスニッチの感触を文章から手繰り寄せた私の感情と、どのような差があるのだろうか。



家では白いアナベルが咲き始める。
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私のハリーは、キッチンに吊るしたバタービールのマグからこちらを覗いている。
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私は魔法の杖を置き、努力しなければ成就しない現実のスティックに持ち替え、当然の結果に振り回される事にしよう。
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