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自宅、ジンジャー頼み [スパイス]

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え?どうなの、ミナサン。

人間はそこんところで苦労しているわけで、この頃公用語は英語にする!という会社が増えているとか。

いや、正解でしょう。
やっぱり海外へ行くと、英語がしゃべれた方が文句なく勝ち!ってつくづく思うもの。
エスペラント語で全世界を統一するっていう話しなんて、もう誰もしないしな。

英語教育を強化するなんていうと、必ず「日本語も満足にしゃべれないくせに・・」という人が現れるもんだが、いや、どっちもちゃんとやれって。

そんならさー、我が家の公用語も英語にする?
・・・・と提言して英語タイムを作ると、途端に二人で熱心にTVを観出したりして、しゃべらなくていい状況を必死に作り上げるから情けないのである。

このところ、いろんな行事や所用で停滞気味の私の英会話レッスンもヤバいが、さらにヤバいのが体重である。

体重計には滅多に乗らない。
理由は、もう何年も変化が無いから。
このままの重さで棺桶に入るんだろうと確信していたから。

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先日、12月に予定されているフラのホイケ(発表会)の衣装の採寸前日に、キラキラの姫ネイルをしてもらってモチベーションアップした足を乗せて、思わず体重計からころげ落ちそうになる。

最後の計測は、エジプトから這々の体で戻り、どんだけ痩せたかとおそるおそる乗った日だったから、2ヶ月前である。
この猛暑をものともせず、何年も変わらなかった体重がたった2ヶ月で2kgアップである。

2kgくらいなにさーと言われる。
しかし、夫のように80kg超えなら2kgの増減は許容範囲かも知れないが、その半分も無い私にとってのパーセンテージは大きい。
そういえば、お腹に浮き輪をつけているような感じがする。

そんなに暴飲暴食をした覚えも無いので(・・というか今までは暴飲暴食しても体重の変化は無かった)、この暑さと電車や部屋のクーラーでの冷えが極端過ぎて、交感神経や代謝が不具合を起こしたのだと思う。
それとビールか・・・やっぱり。

その日からお風呂にはブラックペッパー(Black pepper:Piper nigrum)やジンジャー(Ginger:Zingiber officinale)をシトラス類とブレンドして入れ、代謝を活性化しつつ、老廃物や水分の排出に努めている。

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ビールはやめ、代わりにイギリスのTIERRAジンジャーオーガニックコーディアルを、お湯やスパークリングウォーターで割って飲む。

繊維成分が沈殿しているほどの濃縮ジンジャーなので、からいのなんのって。
有機サトウキビとレモンでだいぶ飲み易くはなっているが、慣れないとちょっぴりキビシいかも。

これで代謝を上げて一気に身軽になりたいと、ひたすらジンジャー神社に詣でるしかない。


水戸ケアレジデンス、処暑祭 [スパイス]

前日の真夜中凍結列車帰宅は、ジンジャー(Ginger;Zingiber officinale)とスパニッシュ・マジョラム(Marjoram,spanish:Tymus mastichina)を入れたお風呂に午前2時まで浸かって身体を解凍。
その後、お風呂上がりの体温が冷めていく時の眠気を利用して一気に眠り、翌朝の目覚め感は悪くない。

昼過ぎ、夕方からの両親が入居する施設の「処暑祭」に参加するため、PL顆粒を一袋飲んで自宅を出発する。

入居2ヶ月経過。
貴重品を盗られた、友人が出来にくいと、自分の責任や人格を棚の一番上まで上げて不平不満のオンパレードの父に会わなければならないのが気が重いが、夫婦揃って入居者代表で挨拶をするからと耳にタコができるほど聞かされていては、行かずばなるまい。

息子たちの発表会だ、運動会だと駆り出された時のような上向きのベクトルではなく、完璧真下を向いている自分がいる。

外環を走っているうちに空きっ腹に飲んだ風邪薬が過剰な効果を発揮し始め、強烈な眠気が襲ってくる。
このままじゃ事故起こすと判断し、守谷SAに車を入れ、20分ほど車内で爆睡する。

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そんな寄り道のせいで、水戸インターを滑り出て、レジデンスに着いたのは開会ぎりぎりの17:00。
施設前の芝生には、提灯が飾られ、あちこちにテーブルとイス、職員手作りの食べ物の露店が出て、想像以上の賑わいを見せている。

マネージャーさんが私を見つけ、
「ああ、お父様たちのご挨拶に間に合ってよかったわー」
と走って出迎えてくれる。

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自己顕示欲が強く人前でしゃべるのが大好きな父は、2週間も構想を練った大演説をぶち(はっきり言って聴衆には迷惑)、後に続く母は長く続けた俳句の世界から「処暑」の意味を引く。

「処暑」は二十四節気の一。
8月23日頃、暑さが峠を越して秋に向かうことを指す、秋の季語である。

早く施設に溶け込むようにと、新参者の二人に一番晴れがましい場を用意してくださった施設側の配慮に感謝である。

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若いヘルパーさんたちのアトラクションは、本当ならこんな格好で街を歩きたい年頃なのだと、改めて気付かされ、その溌剌さを老人介護に捧げている彼女たちの姿勢に涙が出そうになる。

車いすのおばあちゃまたちのコーラスや熟練ナースの日本舞踊など、微笑ましいアトラクションと手作り料理を楽しみ、屋上から上がる慎ましやかな花火で閉会。
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老人たちを部屋に送った後、月明かりの下で、スタッフたちは撤収に追われる。
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施設に入居した老人たちが家族から孤立しないように、家族参加のこのような機会を設定する。
そこに労力を厭わず奔走する施設職員の努力に胸が熱くなる。

独居の老人たちが熱中症で孤独死するニュースが連日伝えられる。

今宵、ここに住まう老人たちは家族と憩い、本当に幸せそうに見える。


銀座、強制終了 [スパイス]

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ようやく射してきた春の陽光ってやつを、コンクリートのスリットから覗く。
何だかものすごくお久しぶりである。

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階段室にはタイのハーバルボールから、クローブ(Clove:Eugenia caryophyllata)の香りが振り撒かれている。
過日の桜へのお客様のように、置いてある観葉植物等に、小さな虫がつき始める時期で、忌避のために置いてみたんである。

祝日は木曜。
フラも英会話もお休み。
(つまんないんである)

何かを覚えたい、何かをしたいと心が急く。

身体はとっくにだるい、だるいと悲鳴を上げているのに、頭が前へ前へ進みたがっているんである。

ここらでちょっと強制終了しといたほうがよさそうだ。

なので・・・・・
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ネイルをしてもらいに銀座へ出る。

仕事柄、普段はネイルができないので、どんなに短い旅行でも、その前に必ずネイルをしてもらう。
往路の機内でなんか、それこそことあるごとに自分の爪を見ていたいくらいテンションが上がる。

みゆき通りはフラワーカーペット。
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これ、去年もフランスに発つ前に見たでしょー。

今年も明後日フランスへ発つので、何だかちょっと理由なく感動する。
去年はこれを見ながら「フェーズ5」という指数を頭に巡らせ、まだ日本は島国でよかったなんて、愚かにも信じ込んでいたことを思い出す。

爪を塗ることは、アロマセラピストの自分と医療機関に勤務する自分に、しばし別れを告げることである。

ネイリストに指を預けながら、心の中で強制終了のDeleteキーを静かに押す。















自宅、全部で12ってこと? [スパイス]

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欲しい、欲しいと大騒ぎしている時に出さないから、ほら、余ったじゃん。

もちろんH1N1のワクチンの話しである。

・・・でオマエは何が言いたいんだよと言えば、その大騒動のさなかでも平気で出歩いていた私が、ここへ来て洟ズルズルである。

うそー、何?
エマージェンシー?

ジンジャー(Ginger:Zingiber officinale)のEOにレモンを絞り、マヌカハニーを溶かしたお湯に入れて、緊急風邪対策用アロマティック・グロッグを作る。
カップは、7年前(もうそんなに経つんだなあ)、ウィーンのカフェオーナーの舞踏会に潜入した時のアメニティだ。
女性だけがもらえるマストアイテム。

氷点下の夜、デコルテを思いっきり出した薄いドレスで、ガタガタ震えながら馬臭い(すみません・・)馬車で王宮に向かったウィーンの一夜に思いを馳せつつ、温かいグロッグを一気に飲んだら、身体は速攻で熱くなったが、洟は4倍ぐらい出る。

目がかゆくなり、花粉症かぁと戦意消失して、カモミールのおしぼりを作り、目にのせてしばし休憩・・・・・・・

・・・・目を覚ます。

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あら?

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まあ。

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巣まで作っちゃって・・・

"PASS THE BATON"で買った鳥たちを、サンルームに解き放つ。

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発泡スチロールに本物の羽毛を「植毛」してできている小鳥たちは、800円というお値段には見えないリアリティがあり。
サンルーム中を小鳥が飛び回っているようにしたくて、次の日も店に行き、倍の数を買い足してきたのだ。

サンルームには12羽の春が到来し、自分には花粉症が到来した、今日この頃。

「全部で12ってこと?」
Do you ( ) 12 ( )( )?

大きな鳥かごも要るな。

「寒くないよう気をつけて」
(Make) (sure) you keep warm!


プラチナ通り、スパイシーな生き方 [スパイス]

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はぁ〜。

土曜の昼下がり、ハイソで(死語?)楽しげな家族連れが行き交うプラチナ通り(白金だからってこのダイレクトな命名はどうよ?)を一人とぼとぼと歩く。

本日のGregレッスンのテーマは「Staying healthy keeping」。

忙しくて、2週続けて加圧ジムに行けず。
恐ろしいことにせっかく締まってきたと思っていた身体が、どよーんとみるみるたるむのが判る。

折しも梅雨入り。
むくみも最高潮に達した感あり。

全くキープできていない、私の健康。

「Could you tell me what you are doing stay healthy?」

絶対に何かしゃべらせるぞ、という強い意志を感じる質問が飛んでくる。
(Yes一言で片付けんな、というのがGregの基本)

2回も休んでるし、「加圧トレーニング(’pressure training’なのかなあ?)」なんて言ってそれが何なのか説明できないし、仕方なく「お風呂にエッセンシャルオイルを入れる」なぞと言ってしまう。

結果、どういう時にはどういうオイルかという最高に難しい会話に突入してしまい、疲労困憊。
何がhealthyだ。

Gregとの格闘(?)を無駄にしないため、たるんでむくんだ身体をオイルでdetoxifyすることにする。

ミネラルウォーターにジュニパー(Juniper:Juniperus communis)のハイドロソルを入れ、1日1.8ℓを飲む。
お風呂にはジンジャー(Ginger:Zingiber officinale)とローズマリー(Rosemary:Rosmarinus officinalis)のブレンドを希釈して入れて汗をかく。

身体のたるみは、心のたるみに直結する。
それが一番自分にマイナスだと思う。

ぴりりとスパイシーに。

解毒作用のあるオイル達のように、刺激的に生きたい。


 

軽井沢、待っていてくれるもの [スパイス]

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久しぶりに夫がハンドルを握る。
きゃー!
リタイア層向けの車のCFみたい。

フロントガラスの向こうに、大きな大きな夕陽が浮かんでいる。
土曜の診療を終え、ミナサン(トイプー3匹)とセーターをがーっと積んで、高速の北西への流れに合流する。

またあそこへ行けるという気持ちは、あったかい紅茶を冷えた身体に流し込む感覚に似ている。
毎年山荘を開ける日はその感覚を楽しむ。

「山荘があって本当によかったと思うよ」
夫がハンドルを握りながらつぶやく。

命に向き合う張りつめた毎日である。
私たちには贅沢だと思いながらも、7年前、高速を使って1時間で行ける軽井沢に小さな山荘を建てたのは、そんな緊張の糸を緩める場所が必要になる日が必ず来る予感がしたからだ。

その夫は夏のゴルフに使うくらいで、私の方が犬や友達と過ごしたり、一人でリフレッシュするのにもっぱら使っていたが、ここ1年ほど彼がゴルフもせずこうしてただそこにいる時間を楽しむだけに訪れる日が増えた。

山荘は厳しい冬を一人で耐え、静かに我々を迎えてくれる。
ようやく自分が本来の目的を果たす時期が来たことを悟っている。

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去年の燃え残りのアロマキャンドルに灯を入れると、カンファー(Camphor:Cinumomum camphora)とクローブ(Clove:Engenia caryophyllata)の心地よい刺激が、たちまち山荘中に満ちる。

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山荘で待っていてくれるものたちは、静かに降り積もったほこりを馴染ませて、深みのある味を醸し出している。

着いてすぐ馴染みの店に食事に行く。
白ワインの杯を重ね、饒舌。
ここへ来るとこうして息子達の将来や思い出を話して飽きることが無い。

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息子達が育つ過程でここへ回帰する体験をさせたかったね、とか。
あおちゃん(お孫ちゃん)はここで夏の思い出を作れるかな、とか。

他愛のない会話が続く。

仮設小屋、満身創痍 [スパイス]

満身創痍なんである。

黄砂が飛び始めた頃から鼻水が止まらなくなり、鼻セレブを使ってもセレブでない鼻になってしまう。
まるでパッチ・アダムスである。
鼻を使う仕事ゆえ、マスクをするわけにもいかず、「セラピストっぽい鼻でしょ」と訳の判らぬ自虐ネタにするしかない。

口唇ヘルペスも出た。
疲れとストレスが溜まると出てくる嫌な奴である。

昨夜陣発で入院した患者さんが付き添い希望の方だったので、飛び起きて歯ブラシを咥えた途端、またやっちまった!と思う。
歯ブラシに塗ったのは、ペーストの隣のレモングラス入りのハンドクリーム。
朝からタイか。

午前中はLDRとトリートメント室のクライアントさんを掛け持ちで。
LDRは初産の方だったので時間はかかったが、一生懸命痛みに耐えている姿を見ると、思わず私も分娩台に飛び乗ってマッサージしてしまう。
横にいる助産師の目が点になっていたかも。
がんばれ、がんばれ!
お昼過ぎに元気な男の子が誕生。

午後は給与と支払いの振込みの入力。
看護師の面接。
セラピスト2人の退職、復職の相談。

夕方になって増設の業者と團設計と打ち合わせ。
仮設小屋の2階から降りてきたら、一番下の段だけ高さが違っているのに気付かず、真横に落下。
またどっか折れたかと思ったが、恥ずかしいので回りに誰もいないのを確認、診察室の夫のところへ。

右肘と右膝に大きな傷と打ち身。
夫に見せると
「なにやってんだ」と言われ、同情も手当ても無し。
さっきのお産に付き添っていた優しいイケメンのだんなさまがうらやましい。

傷が痛くてお風呂にはアクロバティックな格好で。
一緒に入ってきたクロが物珍しそうに足の指を舐める。
やめてって。

お風呂上りにシナモン(Cinnamon:Cinnamomum zeylanicum)とラヴェンダーをブレンドして温湿布を作る。
どちらも外科的な痛みにはばっちりだ。
特にシナモンは打ち身に、ラヴェンダーは切り傷に。
肘と膝にその湿布を貼って、ほっと一息。 

さすがに毎日やることにしたフラの練習は休み。
活字中毒ゆえ、何かを読まずには寝られない。
新潮選書「渋滞学」西成活裕を4分の1ほど読む。
こういう、だからどーした、という感じの本が割と好きである。

ようやく1日が終る。

有楽町、で逢いましょう。 [スパイス]

「どーぞー」
イヴの銀座のブランドショップは大賑わいだ。
とあるショップで、外国人の素敵なドアマンがシャンパングラスを差し出す。
グラス片手に店内を見て回る。普段なら絶対許されない行為。
ああ、今日って特別な日なんだ。
待ち合わせにはあと30分ほどある。

毎年クリスマスには20年来の友人夫婦と食事をする。普段は家も遠くなり会うことはないが、クリスマスには共通の思い出があり、その記憶がお互いの存在を呼び寄せるのかも知れない。

1年ぶりに会う友人夫婦は相変わらずおしゃれで素敵なカップルだ。
来年早々に孫ができるとうれしそう。
我が家も長男が結婚し、4人で「あの小さかったショーちゃんがねえ・・」としばし子供の話に夢中になる。

その頃特に親しく付き合っていたのは5組の家族だった。
子供達は小学校の高学年からヨチヨチ歩きの子まで全部で11人。
毎年クリスマスにはマンション近くのこじんまりとしたレストランを借り切ってクリスマス会を開いた。
5人のパパたちが毎年交代でサンタの扮装をして、ご丁寧にもレストランの窓から入ってプレゼントを子供たちに配るといったベタな演出もそれはそれで楽しく、少し大きな子供たちは悟り顔、まだ未就学の子供たちは目を真ん丸くしてはしゃいでいた。
奥方たちはパパの扮装に笑い転げ、我が夫がナイフで七面鳥の切り分けを「執刀」し、そんな光景は少し前に流行った「金曜日の妻たちへ」を地で行くようだった。
お開き後は決まって一旦マンションに戻り、子供たちを寝かしつけて、誰かの家か近所のカラオケで、大人だけの2次会をやるのが決まりだった。

今年はタイ贔屓の夫に譲った形で、その日のディナーは新しく有楽町に出来た「ジム・トンプソンズ・テーブル」だ。
パクチー(香菜・シャンサイ)がたっぷり入ったタイ料理は、辛くて酸っぱくてシンハー・ビアが進む。
香菜の葉はタイ料理には無くてはならない強烈な匂いを放つが、種はつぶされてコリアンダー(Coriander:Coriandrum sativum)のEOとなる。刺激して温めてくれ、消化を助け、特にブレンド・エンハンサーとしては1滴を加えるだけでしなやかな女らしさが香り立つ大好きなオイルだ。
12月、立て続けの食べすぎで胃が重いとき、コリアンダーをラヴァンジンで稀釈して寝る前にみぞおちから胃へのエリアにトリートメントすると、軟らかい香りに助けられて、穏やかな眠りにつくことができる。

いろいろな事情で5組の家族は次々にマンションを出てばらばらになり、そのうちの2組の夫婦は離婚したと聞く。
あの幸せそうなパーティの光景の後ろに、夫と妻、それぞれの思惑や事情があり、またバブルがはじけて夫たちの仕事も大きく変わろうとしていたのだと気付く。

食事が終わっても別れ難く、4人で夜更けのカラオケルームに飛び込む。
「昔の方がいい歌が多い」と言うのは年を取った証拠、などと憎まれ口を利きながら夫たちは往年自分たちが華やかなりし頃の歌を歌いまくる。
「あの頃、何にも考えて無かったけれど楽しかったよね。あの時代は私たちの宝物だよね。」
奥さんのほうが私の耳元でつぶやく。

その後、彼女たち夫婦は家業がうまくいかなくなってセレブな主婦だった彼女が仕事をすることになり、我が家も夫の病気やそれに伴う地方への移住と挫折があり、そんな幾多の山を彼女と思い返す。
私たちが失意のうちに元のマンションに帰ってきた時は、「(地方に出た)あの時はそうするしかなかったんだよ。」と夫君のほうが言い、「私たちはまた一緒に付き合えると思うとうれしいわ。」と彼女が言って迎えてくれた二人だった。
自分達もそれぞれに辛かったであろう夫達は、それでも家族を養うために必死で今日まで来た。
お互いの胸にいろんな思いが去来した。

短い期間に濃密に付き合って次第に離れていってしまう友達もいる。
でもこんな風に長い人生のところどころで会って、涙をこらえた日のことを話し合える友人はいいものだ。
「また来年のクリスマスに会おうね。」と地下鉄の駅へ消えていく二人の後に、イヴのベルの音がこだました。


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