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自宅、一人じゃない [シトラス]

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先週月曜、ニュースで流れる汚染水の映像のように、胃腸の上から下から大漏出で(キタナい話ですみません)、その後ずっと微熱と腹痛と食欲減退で1週間を棒に振ってしまう。

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体調悪い時は、PCに向かうのがつらいもんだ。

ふらふら出歩くのを止め、日曜は意を決して寝ながら映画を観て過ごし(『メイドイン・マンハッタン』のジェニロペの肩幅がうらやましかった)、ようやく立ち直って来た感ありの夕食は気合い入れにステーキを食べに行ったけど、まだ白ワインのグラス1杯がどうしても飲みきれず、無念。

さあて、今週は頑張ります!

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美容院で髪を少し切り、足にはトトロのネイルをしてもらう。
特にジブリファンではないが、器用なネイリストさんがやりたそうだったので。

「これで、地震に出会っても一人じゃないですから!」

3月11日、帰宅困難者となり川口まで歩いて帰ったという彼女のその言葉に、勇気づけられるような、不安掻き立てられるような・・・・

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母の日に長男夫婦から送られたクロムハーツで髪をまとめて。

動き出した日常にあるのは、私の場合いつも香り。
復帰第1日はベルガモット(Bergamot:Citrus bergamia)とライム(Lime:Citrus aurantifolia)をブレンドして、朝のパウダールームに拡散する。

フレグラント・アース社のスタッフさんに教えてもらった新しいデフューザーは、薄くて小さくてスタイリッシュ。
単3を2個入れて携帯も可能。

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パーソナル・デフューザー”スクエア”/アットアロマ社。

最大拡散能力40畳ってすごい。




自宅、閑話休題 [シトラス]

小春日和であります。

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メグのミルクティー色の毛が日射しに溶け込んできらきらと輝き、金髪のソバージュが美しかった(過去形?)メグ・ライアンにちなんだ名前の本領発揮というところ。

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ミナサンの他2名も、穏やかな日射しに包まれています・・・

・・・って試験はどうした、試験は!

今日は勉強を追い込むために、仕事も聖心の英会話もベルリッツも休んでいるんじゃないのかっ!

わかってますって。

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でも勉強している部屋とミナサンがあまりに平和的なものだから・・・

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机上にはレモン(Lemon:Citrus limonum)のエッセンシャルオイルを焚いてます。

レモンは、『知的活動の間、その状態を維持。短期記憶喪失を食い止める』。

某有名コンピューター会社で空調にレモンのエッセンシャルオイルを入れて社内に拡散したところ、仕事の効率が上がって利益が30%アップしたというのは有名な話。
そのせいかどうか判りませんが、「社内環境や作業効率アップのためにエッセンシャルオイルを使用する企業が日米で増加しつつある」とか。

不明点をネットで調査中に出てきたサイトの文字にいちいちこんな風に引っかかっています。

がんばろう!



自宅、言うてくれるな [シトラス]

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ミナサンはハロウィーン仕様である。

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「別に本意じゃないわよ」

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「おかあさんはあさって試験なんだよね!」

言うてくれるな、それを!

明後日はIFA・ATT(アシスタント・テューター・トレーニング)コースの試験である。
なのに、いざ机に向かうとぱしゃと頭の中にシャッターが下りて真っ白。(真っ黒かな)
やらなきゃ、やらなきゃと気ばかり焦るが、情報が脳に染み込んでいかないんである。

ワタシ、体調悪いんだろうかと思ってみるも、悪いのは体調ではなく頭らしいんである。

気温18℃。

今年、季節は移ろうことなく、階段を踏み外したように落っこちる。

試験勉強は、手編みのセーターと膝かけにくるまって・・・・というのが相場である。
らしくなってきたその晩。

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エジプトのフセインさんの農場の蜂蜜を取り出す。

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ゆったりとした農場の一角にある平屋仕立てのビーハウスには、
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縞模様がきれいな、
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むくむくしたまるっこいハチたちが一生懸命蜜を作っていたんである。

カップに大匙3杯。
そこに熱いお湯を注ぐ。

普通ならレモンオイルを使うところだが、ライム(Lime:Citrus aurantifolia)を入れてみる。
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・・・・・・おいしくない。

ハニー&レモンっていうのはダテに決まっているわけじゃないんだなと思う。

ていうか、ブログを書いている暇は本当は無いんである。

成城、熱血ベルガモット教師 [シトラス]

終わった。

永遠に涼しい日は来ないのだと思えた狂ったような夏も。
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情報と知識の森に彷徨い込んで出口の見えなかった教育実習も。

LSAのATT(アシスタント・テューター・トレーンング)コースのヤマ場として、ベルガモット(Citrus bergamia)とレモン(Citrus limonum)の章を生徒におしえることになっていたのは、前述の通りだ。
そして毎日ベルガモットに頭を突っ込んでしまい、にっちもさっちも行かなくなっていたのも前述した。

Behind scheduleで切羽詰まり、最後は休日返上でPCと格闘してハンドアウトを作り、マインドマップも作成する。
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科学的な知識に決定的に欠けるので、私の授業はワタシらしく。
小難しいことは言いませんと決める。

バックグラウンドやエピソードを知ることによって、精油のキャラクター(だんだんアイデンティティを持った人間に思えてきます)を探る楽しさ、しいてはアロマテラピーの奥深さを知ってもらうことに的を絞る。

その辺のスーパーで顔を利かせているはっちゃき娘のレモンに比べ、お姿を拝見したことの無いベルガモットは雲上人である。
その氏も素性も諸説紛々、杳として知れないのである。

であるがゆえに捜索意欲を掻き立てられ、ビンゴな情報に感動し、それを伝えたくて作った資料がネタの実習は、それはそれは大混乱である。

マインドマップから大きく外れて、あっちへ行ったり、こっちに戻ったり。

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「ベルガプテン・フリー(光感作因子を除去したオイル)は、圧搾オイルより芳香が劣る」と所々にある記述が本当かどうか、ブラインド・テイスティングをしてもらったり、

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1960年代から化学合成できるようになった合成ベルガモットの香りをレクチャー室に撒いてみたり、それはそれはもうパフォーマンス多過ぎで、1時間半では全然足りないのである。

LSAの生徒のみなさん。
拙い授業を最後まで微笑ましげに見守っていただき、ありがとうございました。

生徒のみなさんにしてみれば、究極の目的はIFAの試験に受かることなので、絶対試験に出ない合成ベルガモットの香りや、光毒性発現の濃度限界なんて教えてもらっても困るはずなんである。
自分が知り得た情報を喜々としてしゃべり通すなんて、昔流行った(今は絶対流行らない)自己満足熱血教師とおんなじで、本当はテューター失格なんである。

でも、授業が終わってから、
「ベルガモットって奥が深いですね」「精油の勉強って面白いですね」
とみなさんが言ってくださったので、私の意図が全く外れたわけではないとほっとしたんである。

教えることって本当に難しいし、終わったあとはただのカスのような自分である。

でもその仕事の魅力にちょっと目覚め始めた自分もまたそこにいるんである。




水戸、ありがとうベルガモット [シトラス]

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見つけた時には買う。

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アルコール度数96%のポーランド産スピリタスである。

エッセンシャルオイルを溶かして、お風呂に入れたり、デフューザーに入れて拡散したり、ヘッドマッサージのトニックにしたり、アロマテラピーの日常には大消費するアイテムである。

敬老の日。
三たびマストなベルガモットネタである。

ベルガモット(Bergamot:Citrus bergamia)をリツェアキュベバ(Litsea cubeba:Litsea cubeba Persoon)とブレンドしてスピリタスに溶解させ、ガラスの小瓶に詰め、デフューザーと虎屋のどら焼きを一緒に積んで愛車を発進させる。

連休の最終日。
帰路の高速は大混雑が予想されて気がくじけそうになるが、ここは行っとかねばというくらいが正直なところの両親訪問である。

「時折抑うつ状態を観察する」
両親が暮らす施設から毎日メールで届くレポートに、そんな文字を発見する。

91歳の母に、気力の揺らぎが見え始めている。

ベルガモットを日々掘り下げていながら、なぜここにその香りを運ぶことを、これまで私は考えなかったのだろうか。

母の部屋はドアが半分開いており、ベッドに洋服のまま横になっている彼女が廊下から見える。
かすかな不安が心をよぎる。

私を見て起き上がった彼女とどら焼きでお茶を飲みながら、デフューザーにブレンドした香りを入れて作動させる。
老人の嗅覚は、この成分のシグナルを正確に受け取ってくれるのだろうかと怪しみながら。

「ああ、いい匂いね。楽しくなるわ」

デフューザーのガラス管から立ち上る白い気体に顔を寄せて、母が目を閉じる。

教科書のとおり、その香りはともすると希望を失いそうになる老人の大脳に確実に届いているのだと確信する。

ベルガモット、ありがとう。

こんなに身近に、私とアロマテラピーを必要としている人がいるのに、私はどこを向いていたんだろうと、涙が出そうになる。

「あなたがエジプトでジャスミンを摘んだと言うから、ジャスミンのことを沢山調べたの」と、習っているフラワーアレンジメントの先生から頂いたというソケイの葉(一説にはジャスミンの香りがすると言われている)と一緒に、本の内容を書き留めた紙の切れ端を見せる。
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今、彼女の思考は、唯一一人娘の私を経由してしか広がらないようだが、偶然母娘で香りの勉強を一緒にしていたことを笑い合う。

一番よくしてくれるヘルパーさんにデフューザーの使い方を教え、毎朝10分、母のベッドサイドで作動させてくれるように頼み、ケアレジデンスを後にする。

ベルガモットとリツェアキュベバ。
気持ちを明るく引き立てる効果は折り紙付きのオイルたちに、母のQOLを託して。



自宅、ベルガモットは眠らない [シトラス]

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ヴァージン・アトランティックのアッパークラスアメニティが、確かCOWSHEDだったと思う。

アロマテラピーをまだ知らなかった頃だったが、本物の(合成香料ではない、エッセンシャルオイル入りの)ハンドクリームやローションが、こんなに素敵なものかと感動し、普段は持ち帰らないアメニティの小さなチューブを大事に持って帰った覚えがある。

白地に黒い草花のシルエットが描かれるパッケージデザインも素敵で品がよく、早速到着したロンドンのハロッズで探しまわり、いくつかのCOWSHEDを買った。

この不況の中で「香り」は新しい商戦のカギになる、と読み、日本のデパートはこぞって新しいヨーロッパのプロダクツを輸入し、店頭に並べている。
最初のイギリス旅行の時、二度とお目にかかれないと思って持ち帰ったCOWSHEDもFLORISも、今は日本で手に入るようになった。

筆頭の新宿◯勢丹と合併して、古色蒼然とした銀座店をリニューアルし、どこまで◯勢丹色を打ち出せるかと期待された◯越に偵察に行く。

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(これはカフェですが・・・)
正面玄関前にフレグランスコーナーが設けられ、プロダクツは別館、と分けられてはいるが、破格の扱いである。

懐かしい、愛すべきCOWSHEDのuplifting room candleを見つけてひとつ。
マンダリン・レッド(Mandarin red:Citrus reticurata)、プチグレン(Petitgrain:Citrus aurantium ssp.)、グレープフルーツ(Grapefruit:Citrus paradesii)。
朝、このキャンドルを焚くと、もうそれだけで口の中に唾液が溜まってきそうなジューシィーな香りが部屋いっぱいに満ちる。

シトラス類の一番の特徴は商品名の通り「アップリフティング(気分を高揚させ、明るくする)」。
極上のシトラスの香りで始まる一日は、身体と精神に活力をみなぎらせ、後退しそうな気持ちを呼び戻してくれる。
TVの朝のしょぼい占いなんかぶっ飛んでしまう。

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シトラスと言えば、来週に迫った「教育実習」で割り当てられたベルガモット(Bergamot:Citrus bergamia)とレモン(Lemon:Citrus limonum)の資料作りが遅々として進まない。

なぜって、他の仕事で忙しいことも確かなんだが、ベルガモットが面白過ぎるんである!

一行読んで「これはどうして?」と思い始めると、答えが出るまで知識の森をさんざん彷徨ってしまう。
ネットでは確実な情報にヒットしにくく、何冊もの本をひっくり返すことになる。
そうすると、ベルガモットのページだけでなく、その本自体に今度は彷徨い込んでしまうのである。

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今はもう絶版になった『ゲラン 香りの世界への旅』ジャン-ポール・ゲラン著(フレグランスジャーナル社)。
どうしても欲しくて、Amazon で定価の3倍の値段で競り落とす。

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調香師であったジャンが、祖父からゲラン社(有名な香水メーカーですよね)を引き継ぎ、最高品質の香料を求めて旅した世界の秘境(多くは商業の手がまだ届いていない最貧国の農地であったりする)の様子を、実に美しいスケッチや写真と共に紹介している。

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当時のゲラン社の香水瓶のスケッチやラベルデザインも実に繊細なタッチでスケッチされている。

ベルガモットの産地。
まず最初に引っかかった問題だが、さまざまな文献から、真正のオイルはイタリアのレッジョ・カラブリアからのみ産出されるという説はほぼ疑いがないようである。

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ジャンも、チュニジアをごく近い対岸に望むレッジョ・カラブリアを訪れており、マフィアがはびこる貧しい村が、19世紀に合成香料が登場するまではベルガモットのおかげで大変な利益を得たと記している。
(長靴の先っぽで、果実の絵が描かれているところがカラブリア地方)

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本当にちょっとした水彩のスケッチが美しくておしゃれな本!

小さな貧村レッジョ・カラブリアは、近年、中村俊輔が地元チーム、レッジーナで活躍したり、服飾デザイナーのジャンニ・ヴェルサーチの生家があることで、その名を聞くことが出来る。

ベルガモットの産地を調べるだけで既に1週間を要してしまい、さらに圧搾法(シトラス類オイルの抽出法)も調べ始めるとまたどっぷりとペラトリーチェ・システムの歴史にはまり込んでしまい、とにかく進まず、デッドラインのみが迫ってくる恐怖と焦り。

ベルガモットの夜は眠らないんである。

丸の内、ベルガモットを追って [シトラス]

1年に何度か、切羽詰まる。

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お気に入りのアヒル柄のシャワーキャップを被ってみても、道は開けないのである。

あたりまえである。

それは、自分の勉強やひたすら(手や頭や身体を)動かす量の多さでしか解決できないし、デッドラインが過ぎ去るのをじっと待つという時間の経過頼みになってしまうこともある。

今回の切羽詰まりは、LSA(London School of Aromatherapy)のATT(アシスタント・テューター・トレーニング)コースを受講中で、再来週に『教育実習』が迫っているからである。

すでにマッサージの指導のアシスタントはやってみたのだが、それはそれでいろんな問題が自分にあることが判った。
今度は理論の方を、実際にLSAの生徒に教えるんである。

教育実習なんて大学時代に教職員免許を取るために、母校の中学校へ行って以来である。
母校の洟垂れ小僧たちは、大学生の私を「せんせー、せんせー」と無性に慕ってくれ、とっても楽しかったんである。

しかし・・今度はそうはいかんでしょう。

教科書をそのまま読ませて終わり、なんてマヌケな実習を展開しようものなら大顰蹙を買いそうなムードである。
なぜなら、義務で教育されている中学生と、アロマテラピーで自分の人生切り開きたいという生徒が集まるLSAとでは、授業の喰いつき方が全く違うからである。

私に割り当てられたのは、ベルガモット油とレモン油。
ラヴェンダーやローズマリーほどではないにせよ、どっちもものすごく使用頻度が高く、エピソード満載のオイルではないか。

調べ始めると、「ベルガモットという名前はイタリアのベルガモ市が原産だから」みたいな通説でさえ、あっちこっちでひっくり返されている。
(スペインのベルガ地方から独特のビターオレンジの枝がもたらされ、イタリアのカラブリア地方原産のオレンジに接木したからという説がほんとっぽい)

交配種であることは間違いが無いのだが、ビターオレンジ×レモンという説もあり、オレンジ×マンダリンという説もあり、調べれば調べるほど大混乱である。

一番びっくりしたのは生産地で、ベルガモットは世界唯一カラブリアの首都レッジョ・カラブリアから40キロほど離れたコンドフーリ(Condofuri)という村の1,500ヘクタールの畑でしか穫れないのだという、かなり限定された記述もあったりすることだ。
(そりゃかなり高価なベルガモット油になるわねー)

圧搾法という抽出の常識も、歴史をたどればスフマトリーチェだ、エキエル法だと細分化されており、ハンドアウトやビジュアルエイドを作ろうと思っても考えが全くまとまらない。

資料を求めて丸善に行けば、
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面白そうな本を沢山見つけて大人買いし、興味が勝ってちょろちょろ読んでしまい、いつになったら私のベルガモットとレモンができあがるのか、想像もつかない。

かくして苦悩は続き、成果はいまだ遠くにかすんでいる。

切羽詰まった状態は継続中なんである。

自宅、夏の元気なご挨拶 [シトラス]

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夏の元気なご挨拶。

出入りの花屋さんからの大量のカサブランカ。
花のために、2階のリビング24時間エアコンつけっぱなしの季節がまたやってくる。

1階は1階で、全身リアルファーのミナサン(トイプー3匹)のために寝る時以外はこれまたエアコン作動しっぱなしなので、Global warmingには、何も貢献していない我が家である。

それがまた乾くのである。

室温29℃維持でもエアコンの風は容赦なくお肌の水分を奪う。

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ヴィ・アロームのセージ(salvia officinalis)ハイドロソルで、冬と同じようにローションパックを始める。
香りはイマイチだが、ぐんぐん吸い込まれていく感じが病みつきになる。

だらけ切った身体にはカツを入れるべく、カート・シュナウベルト博士推奨の、「シャワー後の原液塗布」に踏み切る。

本日は摂り過ぎた塩分を排出させるため、グレープフルーツ(Citrus paradesii)とする。

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シャワー後、水分を残したままの身体に、エッセンシャルオイルの原液を10滴ほど塗布し、そのまま極上の肌触りの大きなバスローブにくるまってしまう。
定評あるエジプト綿のリネンは、エジプトのオーガニックコスメショップ、ネフェルタリから。

思うに、身体をだらけさせるのは、糖分よりも塩分のような気がする。
(糖分はそれほどむやみに摂取できないため)
日曜に余暇を持て余して食べまくった素麺の塩分が抜けるのに4日かかってしまう。

グレープフルーツの甘く、すっきりした香りが衣服を着てからも持続して、ハンパなくいい感じ。

ただし、原液塗布は自己責任において行うもので、一般の方には不可である。

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高島屋さんからの夏の元気なご挨拶は、名物大団扇。
毎年変わる日本画家さんの絵が美しい。

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はるばるエジプトまで出かけて手に取ったジャスミンはもちろん素晴らしかったが、我が家でもマダガスカル・ジャスミンが蕾をつける。
去年頂いた鉢植えに水やりをしていたら、また今年も元気なご挨拶をしてくれる。

そんな、我が家の夏の扉が開いた今日この頃。


自宅、『和癖』 [シトラス]

自分をずっと「洋」な女だと思っていた。
長男の結婚式だって留袖でなく、ソワレ着たし。

去年の夏頃から「和」なものが少しずつフィットしてくる感じがした。
「和」の持つやさしさ、繊細さ、そこはかとなさに惹かれる。

新年会に思い切って着物で出かけたのは、そんな気持ちの具現化だったかも知れない。
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日だまりの中の樟脳の匂い。
着はしないのに、嫁入りの時に母に買ってもらった結城を取り出して手触りを楽しむのも、またうれし。

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最中で有名な空也の練り切りはほろほろと上品な味で、本当なら抹茶で食すべきところ、私はロンネフェルト社の「ベストバランス」で。

一日動き回ってこりこりの身体を沈めるお風呂には、ユズ(Yuzu:Citrus junos)と最も日本の蜜柑に近いタンジェリン(Tangerine:Citrus reticulata)とグレープフルーツ(Grapefruit:Citrus paradisii)。
◯疋屋の店先にいるような幸福感。
もうこのまま目が覚めなくてもいいや、と思える。

ブレンドの仕方にも洋と和はあると思う。
対照的な香りをミックスさせて調和を際立たせるのは洋。
同じような香りをブレンドして微妙な変化を楽しむのは和、と感じる。
密やかな香りを聞き分ける聞香のような感覚。
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うちのバスタブ、こんな芸当ができるんだった。
色がつくと、香りがさらに躍動する感じがする。

こんな『和癖』。(もちろん勝手な命名です)
洋風な生活に溶け込ませる工夫が楽しい。

自宅、高橋さん、お世話になります [シトラス]

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右2008年度、左2009年度。
手帳は1年の思い出とスクラップ、情報で、厚さが3倍ほどになる。
「手帳は高橋」
高速5号線の下り、飯田橋のカーブを過ぎた辺りで目に飛び込んでくるカモノハシ(?)マーク。
今年もお世話になります。

デジタル一眼レフを一緒に選んでもらうつもりだった次男は、今日も風邪が抜けない。
マヌカハニーにレモン(Lemon:Citrus limonum)を入れたアロマティック・グロッグをたっぷり飲ませ、床に押し込んで、両親、夫と共に川越の喜多院へ。

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ものすごい人、人、人。
ご利益よりもウィルスをもらいそうで、早々と退散。

「お正月は太る」ということが今まで判らなかったが、今年はなるほど、と言いたくなる。
お餅をたっぷり食べて、久しぶりにじっくりとTVを観る。
手の指がひと回り厚くなった感触。
やばい、やばい。

TBS系「ピラミッドの謎」は5時間という長丁場だが、全く飽きさせない。
スフィンクスの鼻が欠けているのは、ナポレオン軍がやって来た時に、
「あそこに当てたら10点な!」(これはくりいむの冗談)
と鉄砲で的にしたせい、などと笑わせながら、これまで「どうやって作られたのか」ということにばかり焦点が当たっていたピラミッドの、それでは「なんのために作られたのか(ミイラも財宝も見つかっていない)」という最大の謎に、構造的な面と星(オシリス)信仰・太陽(ラー)信仰の対立の面という両面から迫る。
天文学、建築学、数学、そしてもちろん考古学。
あらゆる学問の集大成のようなピラミッドが伊達や酔狂や見栄で作られたはずが無い。そのミステリアスな存在が、もう私にはたまらない。

スフィンクスとギザの3つのピラミッドのラインを結ぶと直角三角形になるという図を見て、
「三角形の内角の和って何度?」
とスザンヌ並みの質問を次男にすれば、
「文系って所詮、そんなもんだよな」
と言い捨てられる。

悪かったね。
一生懸命看病してやって、それはないだろ!

さあさ、明日からだらけた身体と精神を元に戻さなくては、ですね!


青山、ベルガプテン・フリー [シトラス]

「んまいねっ!」と言いつつ後楽園で次男とラーメン・餃子を食べ、別れた後小雨振る青山へ向かう。
「トリートメントされたい日」から数日経っての日曜、ようやく「される日」が訪れたのだ。

ストレスのせいも年齢のせいも思い当たる節はいくつもあって、この頃、時折くらりと視線が揺れることがある。
自律神経失調なんだろうなあ。
更年期障害なんだろうなあ。

妊婦さんばかりを施術していると、妊娠中には絶対禁忌のホルモン作用系のオイルからは自然と遠離ってしまう。
今日はそんなオイルたちと再会させてもらおうと心に決めていく。

サイプレス(Cypress:Cupressus sempervirens)は、最近使いたくて仕方が無かったオイルだ。
それにマージョラム、ジンジャー、グレープフルーツをブレンドしてもらう。
目を閉じて横たわっていると、そのブレンドオイルをセラピストが持って入ってきただけで、すいっと心の奥に射しとおってくるような強い香りが心地よい。

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終了後、フレグラント・アース社のベルガモット(Bergamot:Citrus bergamia)とレモン(Lemon:Citrus limonum)を買う。
通常、圧搾法で採取されているシトラス類だが、この会社のものは水蒸気蒸留法で、日光に当たるとシミを作るクマリン類、ベルガプテンがほとんど含有されていない。
いわゆるベルガプテン・フリーというものだ。

妊婦さんの中には気分の落ち込みが大きい方が結構いらっしゃり、ベルガモットならばっちりだろうなあと思うのだが、燦々と日光が降り注ぐ日中にはまず使えない。
また、体型がどんどん変わることに気持ちが付いていけず、うつうつと毎日を過ごしている妊婦さんも多く、レモンですっきりしゃっきりさせてあげたくても、やっぱりベルガプテンのせいでダメだ。

このベルガプテン・フリーの2本が加われば、妊婦さんの施術にぐんと広がりが出るのは間違いが無い。

ついでになかなか手に入らないヘリクリサム=イモーテル(Immortelle:Helichrysum angustifolia)を自分のオイルケース用に。
ちょっとアドバンスなブレンドができる。

新発売、と聞いて、ケルンの水の香りを再現したというアロマキャンドル”O”も買ってしまう。
だってオレンジ、ベルガモット、プチグレン、レモン、ネロリ、ローズマリー、オレンジブロッサム、ライム、ベンゾインのブレンドですよ。
シトラス勢揃い!
もう拍手!のみ。
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バスルームの窓辺において湯につかれば、そこは明るい幸福感に満ちたパラダイスだ。



銀座、灼熱のお買い物 [シトラス]

歩行者天国のアスファルトの上は、体感温度35℃以上だと思う。

土曜の銀座、マンションのメンテが予想以上に早く終わったので、暑いのは判っていたが中央通が歩行者天国になる前に、駐車場に車を滑り込ませる。
もうすぐ私の誕生日。
勝手にプレゼントを買わせていただくためだ。

お目当てはアップル・ショップ。
話題のiphoneを手に入れるべきか、とても迷っていて、先日、早速手に入れた長男に実物を見せてもらう。
パソコンと携帯とipodがひとつになってる、って私が海外に持って行くものすべてがあんな小さな機器に集約されてるんですよ?
それと携帯がsoftbankになると、「しゃべるお父さんストラップ」もらえるのかなぁ?・・・なんて。

アップルショップはすごい人だかり。
それでも店員さんをつかまえてiphoneの説明を受ける。
う〜ん、使い方と契約の仕方がいまひとつ面倒くさそうだ。
携帯とすれば大きすぎ、PCとしては小さすぎ、本当に海外に行く時だけかなあ、便利なのは。

結局買う決心がつかず、アップルショップの後ろにそびえ立つブランドビルで、秋の靴を買ってしまう。
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足が極小サイズゆえ、靴は季節の走りに34sizeを見つけたら即、買いだ。
夏もののバーゲンで50%OFFの白いキャミソールも、来週からのサムイ島にと買う。
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何だかアップルショップからの500mくらいで知的欲求がフツーの物欲に変わった感じでがっくりくる。

炎天下の中を歩き回って、その後クリニックに戻って仕事をして帰宅すると、身体の熱がこもってしまってだるくて仕方が無い。
こんな時、特効薬はベルガモット(Bergamot:Citrus bergamia)を入れたぬるいお風呂にゆっくりつかることだ。

鬱の症状には真っ先に挙げられるベルガモットだが、アイスティー・アールグレイの香り付けに使われるのでも判るように冷却効果にすぐれ、衰えた食欲を増進させる作用もある。
うだるような暑い夏の心身の衰えに、こんなにぴったりのオイルがあろうか、と思うほどである。

暑いときは湯船に入らずシャワーだけ、という方も多いが、身体の疲れを完璧に取るためにもぬるい入浴をお勧めする。
イタリアのベルガモ市が名前の由来だというこのシトラスオイルは、お風呂上がりはさっぱりと汗が引いて、異国のシトラスの高い香りの中でゆっくりと眠りにつくことができる。

ただし、ベルガプテンの作用で日光に当たるとしみをつくるので、くれぐれも使うのは夜だけに。




まだ軽井沢、見てろ!パソコン、下克上だっ! [シトラス]

山荘では何をするか。
・・・何もしないのである。

しかし、である。

今回は普段どうしても向き合う時間が無く、後回しになっていたMacを使いこなそうと、山荘に指南本、取説、付属機器を目一杯持ち込む

これまでパソコンは仕事の関係で仕方なく始めたもので、接続も設定も業者任せ、トラブルに陥ればパソコンに詳しい出入りの営業マンにすがりつく始末だった。

パソコンは仕事机の上に鎮座しているもので、自分がそこに行って恐れ多くもキーを叩かせていただくといった完全P優位が長く続いたが、ひょんなことで持ち歩くことを前提としたMac book Airがやってきてからは、パソコンがmanaの「お供」であるというM優位に逆転しそうな予感がする。
見てろ!パソコン。下克上だ!

オフィキナリスとクリニックのHPの管理・制作者であるウェブ・デザイナーはMac愛好家、私がMacを手に入れたとブログ公開した時に、「すてきな世界が広がりますよ」と予言していた。
でも「楽しく」なるためにはこれをどうしていいのか、その入り口がまず固いのがパソコン音痴の悲しさである。

長男には「解説本を一冊も買わないで、使いこなそうとするのはいくらなんでも無理」と一蹴され、本屋に走るが、同じようなタイトルの本がずらりと並ぶ本棚の前でどれを買ってよいのかも分からず途方に暮れる。(ちなみに夫は私に輪をかけたパソ音痴である)
とりあえず一番初心者向きの詳しそうなものを買って来て開くが、デバイス?アラート?オートフィル?
目がテン、戦意消失。

・・・で放り出して、仕事でVISTAと格闘していたのだが、この軽井沢を逃すと一生Macを制覇することができないような気がして、放り出したものをかき集め、山荘入りした次第である。

先ずはiPodを機能させるのが最大の目的である。
デフューザーにはレモン(Lemon:Citrus limonum)。
頭脳を目覚めさせ、活力を与えるオイルで、IBM社で空調にレモンのEOを入れて社屋内に拡散させたところ、仕事の能率が5割だかアップして企業の成績におおいに貢献した、というのは有名な話である。
パソコンと格闘するにはハマりすぎるほどのオイルだ。

アメックスの点数をためてとりあえず貰ってみたiPodはどう使うのかも分からなかったが、次男に頼んで自宅のWindow's xpに接続してもらい、彼が留学してしまってからはおそるおそる細々と使っていた。
それが当然このMacでも使えると思っていたのだが、何度やっても指南本のような画面が出てこないので、軽井沢から休暇中であろうウェブデザイナーにメールで泣きつく。
ウェブデザインだけでなく、GWの真っ最中にクライアントのパソ音痴にまでつき合わされるデザイナーさんは嫌な顔(してたかもしれないが)一つせずにていねいなメールを返してくれた。
「一つのパソコンに一つのiPodが前提なので、一度初期化してください。やり方は・・・」

そっか。
何を使うにしても一度そのパソコンに認識させる、という大きな前提があることが何だか分かってきたような気がする。
パソコンが「私はあなたのためにこれを機能させるんですね?」と理解しない限り、何も動きはしない。
そこがアナログとの違いなんだな。
MDにCDから曲を録るような感覚でいたのだが、パソコンて一個の人格(?)があるんだ。
おー、何だかパソコンが一緒にツルんで遊ぶ同志のような気がしてきた。
またP優位になりそう。

初期化が何とか完了し(これを自分でやっただけでもほめてあげたい)、iTunesから曲を買いまくってどんどん「同期」する。
iTunesから曲を移すこと(・・ですよね?)を「同期」というのだって、初めて分かった。
「録音」でもなく、「移行」でもなく、「同期」ですよ、なんて指南本には書いてないものだから、曲の準備は万端、でも最後のクリックがどこなのか分からないで1時間を費やして、である。

でも、使い始めると超楽しい。
こんな小さなiPodに200も300もの曲がぐんぐん吸い込まれていく。
自分の脳みそもこんなに柔軟で知識をぐいぐい吸収していったらどんなにいいだろうと思う。
旅行に出かける前には、眠い目をこすりながらひと晩かかって沢山のMDに持っていきたい曲を録音していたのは、つい2、3年前だ。
テテテテ・・・と指で回すだけの操作も、小さなこの機器を撫でてあげているようでペットっぽい。

まだ、CDドライブ(・・という名前か?)を接続できないという課題もあるし、その後には写真を取り込んでサイズを変更するという最重要課題も残っていて頂上は見えない。
でもパソコンが恐ろしい仕事のツールではなく、自分の生活を楽しくするための名補佐役になりつつあることが実感できる。

世の中、パソコンに詳しい人が勝ち!である。












鶴瀬、卒業写真 [シトラス]

帰ってきたのは深夜2時、寝付いたのは今朝方だ。

昨夜10時に終わったクリニックの忘年会は、例年通り歌あり、踊りありの大盛り上がりで幕を閉じた。
その後の二次会はこれまた例年通りカラオケで、それが延々深夜まで続いたのだ。

声の幅が極端に狭く、カラオケが、というより歌うことは嫌いなのだが、このところ1年を締めくくる忘年会の二次会だけは参加することにしている。

4床という小さな個人事業で開業した当初は、宴会後の二次会も全員でなだれ込み、大騒ぎをしたものだったが、土地と建物を得て医療法人となり職員数も当初の5倍に膨れ上がった現在では、歌が好きな院長がいくら誘っても皆個人の嗜好が優先して、二次会に参加するのは数えるほどの職員と出入りの営業マンだけになってしまった。
事業を拡大することが強いては職場の安定という究極の福利厚生に繋がると信じて、一人でクリニックを引っ張ってきた夫には、これは結構寂しいことなのだと思う。

狭い音域でも何とか歌える荒井由実の「卒業写真」は、この年になると深い思いが行きかう歌だ。
大学1年の時に知り合ってそのまま結婚した私たちの背景には、いつもユーミンとサザンが流れていた。
医師を目指し、テニス部のキャプテンも務めながらがんばっていた夫、そしてそのテニスコートに声援を送っていたお気楽な女子大生が私。
「あの頃の生き方を、あなたは忘れないで」というフレーズを歌う私の脳裏に、コートを駆け回る夫の姿が大写しになる。

喉も、頭も痛い。
飲みすぎと言うより騒ぎすぎだろう。
仕事は休みだが押し詰まって家庭の仕事が溜まっている。来客もある。
ようやく起き出したが、喉の痛みと胃の重みで朝食を食べる元気が無い。

バスタブに熱いお湯を張って、グレープフルーツ(Grapefruit:Citrus paradisi)をたっぷりと、喉のためにパインを1滴、スピリタスに溶かし込んでバスタブに入れる。
こういう朝は効果がはっきり出る過激なものより、穏やかなオイルを多めに使うほうが好きだ。
香りのブレンドとしては少しすっきりしすぎだが、この二日酔いのどろどろ気分には爽快そのもので、消化と浄化の作用を持つグレープフルーツはこんな日に最も助けにしたいオイルの一つだ。
熱い湯気の中に溶け込んだ香りを思い切り吸い込むと、胃の重みがすっと楽になる気がする。
風呂上りにデトックスのMINを身体の5箇所に擦り込んで、「卒業写真」を口ずさみながら休日の遅いスタートを切る。








横浜、更年期王侯貴族の憂うつ [シトラス]

その小さな赤文字が結構ショックだ。
年に一度の職場健診で、血液検査からコレステロール値が初めて通常値からオーバーしたのだ。
156cm、40㎏という貧弱な身体ゆえ、50歳を過ぎてもいわゆるメタボ系の障害には無縁だと勝手に思っていた私だ。

夫に結果を見せ、説明を受ける。
閉経してエストロゲンが急速に減少すると、骨密度が減り、コレステロール値が上昇する(エストロゲンがコレステロールを溶かす役目をするので)のだと言われる。
生活習慣による値でないことは理解し、LSA(ロンドン・スクール・オブ・アロマテラピー)で必死に勉強した内分泌の変化が自分の身体に今、実際起きているのだなあと感じる。

約10年前、ちょうど夫の開業と息子達の大学受験が重なった頃、身体に異変が起きる。
当時住んでいた横浜からの通勤途中で、硬いコンクリートの上なのに、綿を踏んで歩いているような浮遊感に見舞われる。混んだ電車の中や渋滞した高速の上で、言いようの無い不安感、吐き気、動悸に襲われる。
今でこそポピュラーになった「不安障害」、「パニック障害」だが、当時はその症状をそこに特定するまでに大変な時間を要した。40歳で、その症状が更年期という内分泌変化に起因しているかもしれないとは考えもしなかった。
また発作に襲われるのでは、という予期不安から外出もままならなくなった。

そんな時出会ったのがアロマテラピーだ。
受診して三半規管や脳神経には異常が無いと診断が出た以上、自分で外出のできない生活を変えていくしかない。
ネットが唯一の情報源。読み漁って読み漁って、アロマテラピーという手段に行き着く。生半可な知識で手を出すのは危なそうだと、当時ネットで手に入る物の中で一番品質の確かそうなプロナロムから、「禁忌が無く安全で、気分の落ち込みに効果がある」と自己判断したマンダリン(Mandarin:Citrus reticulata)を購入して使い始める。
私が手にした最初のオイルである。
このオイルをデフューザーに入れ、初めて吸い込んだ時の気持ちは今もはっきり覚えている。
嗅覚が大脳に作用している!

今の私ならこのような症状に悩むクライアントにはマンダリンは第一の選択にはならないだろう。
女性ホルモンの減少が起因しているのなら他に適切なオイルがいくつかあるからだ。
(某サロンにアロマテラピーを受けに行き、「更年期です」と言ったら、クラリセージ・フェンネル・サイプレスとマニュアルどおりのブレンドを提示され、がっかりしたことがあるにはある。)
エクステをつけて気持ちは若いつもりでいても、身体は確実に「枯れる」速度を増している。
今回の検査結果のように極端な数値を突きつけられると、エストロゲン様作用のあるクラリセージやフェンネルを使っても物理的に減少したホルモンを完璧に補充するまでには至らないだろうと私は思う。そこは病的に身体が辛ければ医療的な処置が必要だと思う。

でもそこまで至らない場合や、私のように精神的な負荷を感じた場合、レスキューはアロマテラピーだ。
そんな時、マンダリンはブレンドに加えたいオイルのひとつだ。
あの暗闇の中の心に、明るい火を灯してくれた香り。
嗅覚が心にこんなに作用するということを身をもって実感させてくれた香り。
昔中国で宮廷でしか食することを許されなかったという柑橘類マンダリンに出会わなければ、今の私はなかったのだ。

老化は恐れない。
怖いのは老化やその先の死にばかりこだわり、あきらめて、QOLが落ちることだ。
加齢によって失うものは少なくないが、そのためにアロマテラピーという世界に出会え、今があることを思うと、年を重ねて得るものを考えるほうがずっと楽しいことに気づく。










御茶ノ水、50’sの思い出 [シトラス]

81歳の実父が認知症の診断を受け、御茶ノ水の医科歯科大の受診に付き添う。
むごい病気であることには間違いが無い。
もともと独善的な人で私とは何度も衝突したが、認知症になってからはその傾向が強調された。
歳をとってまるで消しゴムのように自分の存在を弱め、消えて無くなろうとするかのような母とは正反対に、良かれと思って何をしてもストレートに厚意を汲んでもらえることは無い。
医科歯科大からの帰り道はいつもこの先を思うと心がふさぎがちになる。

何回目かの受診の帰り、父がどうしても帝国ホテルに寄りたいと言う。
また、そんなことを・・・と心が波立つ。

父は地方の海の傍の町に、アメリカから来た宣教師たちと共にプロテスタントのミッション・スクールを創設した。
ゴルフ場につづくなだらかな丘陵全体を学校の用地とし、幼い私は母が高校の教師として働いてこともあり、父に連れられてよくそのスクールへ行った。
歩幅の狭い幼児にはその丘陵を覆う芝生はとてつもなく広く、一番海側に建っている宣教師住宅へ父が仕事をしている間預けられるために歩くのは本当に大変だった。
宣教師住宅は今思えばまさに50’sそのもので、私の脳裏には網戸と二重になった白い開き戸や、靴のまま上がれる床が鮮明に焼きついている。

父はその学校の開設や拡張に事務長として関わり、当時の文部省に出入りし、御茶ノ水にある私学会館を東京の根城とした。
助成金が思うように下りなかった時、帝国ホテルのラウンジで日比谷公園を見下ろしながら飲むマティーニが唯一の慰めだった、と聞いたことがある。

そのラウンジの真横にある鉄板焼きの店に入り、ステーキを焼いてもらう。
何だかいらいらしてさっぱり食欲の出ない私の横で、父は黙々とたいらげる。
そしてぽつりとつぶやいた。
「これが父と娘の最後の晩餐だな・・・・」

あまりの身勝手さに病気ゆえとわかっていても酷い言葉を投げつけたくなる。
人生の終焉を周囲に厄介をかけて過ごさなければならないという意味で、認知症は冒頭のようにむごい病気だと思う。
しかし、迫り来る死の影におびえ続けて大量の薬をかかえこまなければいられないような本人にとっては、その恐怖を溶かし去る神からの最後の贈り物であることには間違いが無かろう。

父があんなに通ったはずの私学会館は、医科歯科大のすぐ裏手にある。
その私学会館ですら今の父にはわからない。

いろんな思いが交錯して寝付かれない夜を送った翌朝には、シャワーを浴びても、大好きな紅茶を飲んでも、身体と心が動き出さない。
できればこのまま丸まって眠ってしまいたいという衝動に駆られる。
そんな時、スイートオレンジ(Orange douce:Citrus sinensis)をデフューザーに入れ、スリーインワンのドレッシングルームいっぱいに香りを満たす。甘く、ジューシィーな香りが心を高揚させる。
そしてシャワー後の身体の五ヶ所にヴィアロームのフリクションVITをすりこむ。ローズマリーとスパイスのブレンドが「今日もがんばれ!」と背中を後押ししてくれる。
今日は妊娠25週のクライアントさんがやってくる。
先ず自分の目盛りを0にリセットして向き合わなければセラピーなんてできない。
いつもよりすこし濃い目に眉を仕上げて出発だ。


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