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みなとみらい、ドアは開いているか [ブレンド・プロダクツ]

目の前のベイ・ブリッジは見れば見るほど華奢で、あの長さをどうやって保っているのか不思議だ。

インターコンチネンタル#2201は、ベッドルームの目の前に大観覧車、先端のアールのついたコーナーはほぼ180度横浜港を見渡せる絶景ポイントである。
そのコーナーテーブルに、新しいMac book airを置いてブログを書く。

年に一度の産婦人科医の祭典(?)、今年の日産婦学会は横浜で開催だ。
あちこちの会場で様々なテーマに基づいた学会が催され、全国各地から産科医が集合するため、同窓会も多数執り行われる。
観光を兼ね、夫人を同伴されるドクターも少なくない。

近年は遠慮させていただいていた「同伴」だが、今年は長男夫婦も新潟から来るというので久しぶりに家族でご飯でも食べましょうということで、私も急に駆り出されることとなり(・・・・ということは私が手配をさせられるということなんである)、取り急ぎ午前中の施術を終えて投宿した次第である。
もちろん、バーキンにMacを入れて・・・である。

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外出したMac book airの向こうに、ベイブリッジ。

水回りオタクである。
国の内外を問わず、ホテルに投宿するとすぐにパウダールームを写真に収め、床の高低や勾配(これで床の濡れ方やオーバーフローが決まって来るからである)、ドアの開閉方向(これは濡れてほしくない床がびちょびちょになるか、もっと大切なのは中で倒れた場合の救出ができるかどうかが決まって来るからである)を見て、参考になりそうなアイディアを見つければ小さなスケールで計測をしスケッチもする。

私の旅のバイブル、「旅はゲストルーム」の著者は浦一也さん。
世界中のホテルを旅して、どんな高級ホテルに泊まろうともまず投宿するとご自身で床を這いずり回って部屋中をスケールで計測し、それを美しいスケッチと文章で綴った著書は、客室という限られた空間から担当した建築家の意匠を読み取ることで、ホテルに泊まるという当たり前の行為が数倍楽しくなることを教えてくれる。

彼によれば(彼もすばらしい建築家でホテルの意匠を多く担当している)、ホテルをデザインする建築家の知恵がもっとも凝縮されて詰まっているのが水回り、つまりパウダールームなのだという。
水という自然物を相手に意匠と実用のせめぎ合いが、わずかコンマ1ミリ単位で展開されている。

印象深かったのは、カンボジアのシェムリアップ、AMANSARAのパウダールームだ。
もっともバスタブは独立して部屋の真ん中にどんと置いてあったので、正確にはシャワールームというべきか。
何の飾りも無いミニマリズムに貫かれたパウダールームはドアが1枚もない作りだったが、巧みに配されたわずかな床の勾配と数ミリの段差で、シャワーの水は決して脱衣する場所には飛び散らず、流れ出ず、壁一面の大きなガラスを挟んで外のプールと一体となっていた。
東南アジアへ行くと必ず出る微熱に浮かされながら、何枚もパーツスケッチを書きなぐったものだ。

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AMANSARAの水周りスケッチ。拙い・・・


・・・で話はここ、インターコンチネンタルである。
ヨットの帆型のホテルの先端部分にバスタブを持ってき、スリーフィクスチャーの大きな開口からほぼ200度以上に海が見える配置がすばらしい。
アメニティはイギリスのElemis、残念ながら天然香料を使っているプロダクツではない。
外国のバスタブはやたら大きくて足が踏ん張れずつらい姿勢で入らなければならないことが多いが、ここは完成が20年ほど前だったこともあり(天井の汚れが目立って、もうそろそろ大幅なリニューアルが行われることを願う)、バスタブは日本人サイズで入りやすい。

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ちょっとデザインは古いが、抜群のロケーションを持つインターコンチネンタルのバ スルーム。

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インターコンチネンタルのアメニティ、Elemis。トレイがトレードマークの舟形。

シャワーブースからの水をいかに外へ出さないようにするかは、水回りのデザインがどんどん部屋のインテリアと変わらないようになった昨今では、いちばん気を使うことだ。
デザインと実用のせめぎ合いは、ほとんどがここに集約されると言っても過言ではないだろう。
ここは昔ながらのサッシが使ってあり、残念ながら「あたりまえ」であった。

ただドアはお約束どおりきちんと外側に開く。
一見どうでもよさそうなこんなオタクネタは、意外なところで効力を発揮したりする。

今回のクリニックのシャワールームの改装ではデザインにもこだわって、グリーンのガラスタイルがまるで深海にいるような美しいシャワーブース二つが出来上がることになったのだが、なんとフロストガラスのドアが内開きだったのである。
さっそく設計デザインにクレームを入れる。

シャワーブースのような狭い空間においては、中で人が倒れた場合、内側に開くドアはその人体が障害になって開かなくなる。もし心筋梗塞のような一刻を争うような事態であれば、ドアを工具で外したりする余計な時間は命取りだ。
・・・でブースのドアは外開きというのが、ホテルでは常識である。
入院患者さんが使うクリニックではなおさらのこと。
設計はやり直しだ。

換気も然り。
ホテルで一般的な24時間換気をここでも利用するというプランだったのに、シャワーブースは壁で天井まで閉じられてしまい、排気口と吸気口が内外に分かれてしまっている。
これでは換気が流れず、ブース内は湯気と結露でびっしょり濡れてしまう。
こちらは出来上がってから気づいたので、無粋なバス乾燥機の追加工事か、ホテルのようにブースの壁の上部を途中で切るか迷って、工事の大変さから前者を選択せざるを得ないこととなる。回避できたはずの手間と費用が余計にかかる。
オタクの面目丸つぶれである。

夫が学会に出かけている間、観光にも買い物にも行かず、スケールとデジカメを持ってパウダールームを這い回っているのは、単純に自分の好奇心を満たすためではあるが、こんなふうに実用に応用できることもある。

外は雨。
大観覧車もそぼ降る雨に止まったまま。
長男たちとのランチまで、心行くまで誰にも邪魔されず水回りオタクになれる。
こんな時間が無性に楽しい。





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コメント 2

しょーこ

どこか、わかる気がします ^^;

新婚旅行で、バリのアマンダリ、アマンキラに泊まりました。
一世一代のセレブ旅行でしたw
ハーブの香り漂うアメニティと、バリ独特の空気、
日本の蚊取り線香とはまったく違うウッド系のお香。
キラのお土産でいただいたアロマオイル、少しずつ少しずつ楽しんでいます♪

ダリ、キラとも、バリ独特の雰囲気でヒスイ色の小瓶に入ったアメニティが楽しく、水周りも開放的なのに、水が部屋まで流れることはない・・・
言われてみればそうだったな~~と^^

あ~~我が夫婦の妊婦期間旅行は、伊豆で手を打つことになりそうです、manaさん!!><。。

く~~!いつかまた、必ずアマングループのリゾートを体感したい!!
そう思って今日も仕事をがんばります。。。





by しょーこ (2008-04-23 18:55) 

mana

しょーこさま、いつも読んでくださってありがとうございます。

自他共に認めるアマン・ジャンキーでございます。
でもバリでは泊まったことがありません。
ライステラスの中のアマンは素敵でしょうね・・・・

一昨年の職員旅行で伊豆に行きましたが、どうしてどうして・・とってもよかったですよ。

7月にはオフィキナリスもちょっぴりアマン風に生まれ変わります。
お楽しみに!
トリートメント、お待ちしておりますね!

by mana (2008-04-24 13:48) 

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