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古門前通、そうだ、京都行こう [セルフィッシュ・ジャーニー]

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京都初心者である。

修学旅行で神社仏閣を訳も判らず巡り歩かされたトラウマなんである。

「そうだ、京都、行こう」
有名なCMで、人は西へ西へと旅立つのに、私がその古都に「そうだ、行こう」と思う日は無かったのだが。

今年は京都、という日本産婦人科学会へ出席する夫に随行する。
京都に一緒に行こう!と思ったのは、新潟に勤務する長男の発表があることと、和装に興味を持ち始めて「着倒れの街」をじっくり見ようと思ったからだ。

行くと決めたら徹底的に調べ上げるのが、常である。

宿は老舗旅館などではなく、デザイナーズホテル『THE SCREEN KYOTO』がアンテナに引っかかって来る。
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http://www.the-screen.jp/
古い建物を何人かの若手デザイナーの手で改装した美しく、小さなホテルは寺町通が丸太町通にぶつかる直前にある。

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しつらいはモノトーン。
白いタイルが印象的な広々としたスィート。

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ティーセットやアメニティを収めるのは黒漆の文箱。

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アメニティはオリジナルの『REN』。
石鹸は、ローズウッドとカモミール、ボディウォッシュはネロリとグレープフルーツである。

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寺町通のご近所さん、一保堂のお茶と柳苑の名菓「つくばい」のSCREEN版。
ああ、京都だ、と感動する演出である。

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しかし、和菓子とは何と美しいものだろう。
このまま飾っておきたいオブジェのようだ。
外国の方は感動されるだろう。

夫が学会に出かけて(長男の発表には間に合わなかった!)、夜の会食までの2時間ほどが、It's Showtime!

祇園、古門前通へ直行。
まずは『てっさい堂』さんで、アンティークの帯留めを探す。

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てっさい堂の女主人の貴道裕子さんはアンティーク帯留めを一冊の本にまとめた方。
京都らしい間口の狭い小さな店で、古伊万里がぎっしり詰め込まれた棚をすり抜けるようにして奥に進み、貴道さんのはんなりとした京ことばにナビゲートされながらいくつかをようやく選び出す。

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彫金、水面にツバメ。いかにも初夏という図柄に惹かれる。
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象牙、菊。彫りが深く美しい。
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同じく象牙、クジャク。ベビーパールをちりばめた細工は今では到底出来ないそうだ。
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同じく象牙、ひょうたん。ぽっこりとした厚みに暖かさを感じて。
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珊瑚、牡丹。やはり彫りの美しさが際立つ。

買い物の後、お茶室でお抹茶とお菓子をいただきながら、貴道さんのお話を聞く。
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お菓子はゴディバのパリ店限定だというジャンジャーにチョコレートをかけたもの。
「私、パリが大好きで、年に2回は行って、ブリストルに泊まるんどす。」
と、貴道さん。
う〜ん、うなずける。

もっともっとお話を聞いていたいけど、なんてったって弾丸トラベラー。

次のお目当ては『えり萬』さん。(「え」は古いほうの字だけど変換できない)
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店内に陳列された商品は無く、お目当てのものを伝えて出していただく着物上級者編のお店だが、えいやっと飛び込む。
ここではオリジナルの帯揚げを。

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ふんわりとやわらかい白の地に、紅の飛び絞りは何ともいえない色香を感じる。
明るい赤から暗いえんじまで年齢に応じて選べる。

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『みの忠』さんの草履。
黒、白、赤のモダンな配色にひとめぼれ。
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川端康成始め多くの文人が愛した下駄を多く取り扱うが、草履もこうしてかっこいいシャイなお兄さんが左右の微妙なサイズの違いを、鼻緒で少しずつ調節してくれる。
その間の話し相手は、女主人であろうおばあちゃん。
岡田嘉子さんが二階に下宿していたことや、女主人であろうと女が鼻緒をいじってはいけない家訓(?)などを楽しく聞く。

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私のShowtimeはあっという間に時間切れ。

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白川通の桜は満開直前。

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うわー。舞妓はんだ!
テンション、ボルテージマックス状態。
だが、時間だ。

花見小路を渡って、新門前通の約束の料亭へ。
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よろしゅうおす。
夫、義弟、息子とネギシ先生、明治のクラバヤシ君とハモ料理に舌鼓。

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夜桜が雨に濡れて一層妖婉さを増す、この界隈。
アンティークで、セクシーで、同じ日本なのに全く違う文化を感じる。

そうだ、パリ。
鴨川をセーヌに見立てれば、それもうなずける。

細長い、決してコンファタブルではなさそうな町家を保存しつつ、コンテンポラリーも追求しつつある。
THE SCREENは、去年のパリのBellechasseと全く同じ空気が流れていて、唖然とするくらいだ。

そして東京の、モノを売ってオシマイ、というドライさ(それが心地よいこともある)とは対極の、売るものへの思いがディープな商人さん達の応対のていねいさ。
貴道さんが「パリが好き」とおっしゃっていた時に、その共通項に気付くべきだろう。

ハマる。

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コメント 4

あいか

はじめまして★

えり萬さん、以前から伺ってみたいのですが、お店はどこに構えわれてるのでしょうか。

お教えいただければ幸いでございます。

by あいか (2009-05-30 20:19) 

mana

あいかさん、はじめまして。
ご訪問ありがとうございます。

えり萬さんは、祇園の古門前通りと新門前通りの間にあります。
今、山荘にいて資料が無いのですが、明日帰宅したら通りの名前をアップしておきますね。

すっきりと改築された小さなお店ですが、粋な若旦那が丁寧に応対してくれますよ。
by mana (2009-05-30 23:49) 

mana

あいかさん、こんばんは。

自宅に戻って地図を見てみました。

えり萬さんは、鴨川脇を南北に走る縄手通に、新橋通がぶつかる角にあります。(新門前通りじゃありませんでした)

是非いらしてみてください。
素敵な帯揚げや帯締めが見つかると思いますよ!
by mana (2009-06-01 22:08) 

NO NAME

履いて良し、脱いで美しいみの忠さんの草履が大好きで今春京都へ買いに行きました。何とお店がなくなっていました。京都行の最大の目的だったのでがっくり。みの忠さんの草履が手に入る方法はありますか?
by NO NAME (2015-06-25 11:14) 

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