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水戸、ガストはゲストか [フレグランス・ストーリー]

90歳母が元気だ。

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プラタナスの落ち葉散る歩道を抜け、抜き打ちお宅ほうもーん!!と部屋のドアを開けると、首にバンダナを巻いておしゃれした母がいる。
「今、素敵な紳士とガストでお茶を飲んで来たの。」

おいおい、ついにあちらの世界に行っちゃったかと唖然とする。

でもよく話しを聞いてみると、ヘルパーさんが付き添って、近くのファミレスに話しの合いそうな入居者同士を連れて行ってくれるのだと言う。
この小春日和、今日のお相手は、学のあるご紳士だったらしい。

「(その方がおっしゃるには)ガストってゲストの複数形なんですってね
まー、それは違うような気がするが、楽しかったようだ。

我が母親ながら彼女が本当に聡明だなあと思うのは、与えられた環境に順応する力が90歳になった今でも存在していることだ。
部屋は暖かく使いこなされており、マランツのデッキでクラシック音楽を聴き、昔の写真の整理に取りかかったのかデスクの上は一面セピア色だ。
出入りするスタッフの名前も覚えて談笑し、興味を示さなかったTVも、昨日は男子バレーボールの試合をラテ欄から選んで観たと言う。(学生時代はバレーボールの選手だったみたいだ)

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コンビニで大好きなキャラメルを買った母から、イマドキのキャラメルはこんなに種類があることを教えられる。
スタッフに支えられて、少しずつ施設の外の世界に足を踏み出す母の姿が目に見えるようだ。

こまめに届くハガキは「いつまでも元気でいようネ」と結んであり、彼女の新しい人生への覚悟が読み取れる。

そして、毎日施設からメールで届く介護日誌を読むと、母達の最後のQOLを支える、絶対に必要な人たちの努力に頭が下がる思いである。

以前は自分の部屋の鍵穴さえ見つけられなかったのに、「玄関まで送るね」といとも簡単に施錠して、母はもうすっかりそこを自分の住処と決めたようだ。



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