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タイ・エスケープ、THE ORIENTALにて [セルフィッシュ・ジャーニー]

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私がTHE ORIENTALという名を初めて知ったのは、学生の頃に読んだ、森瑶子の短編集だったと思う。

世界中の名だたるホテルを舞台に、独特の語り口で展開していく、ゴージャスでどこか悲しい情事。
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「一人の宿泊客に4人のスタッフが付く」という、THE ORIENTALを象徴した当時の有名なフレーズをこの本で知る。
行間から感じ取れたのは、ロビーを渡っていくエキゾチックな熱い風。
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それは、学生の私なんかが到底近寄れない、遠い大人の世界であった。

憧れ続けたこのホテルに最初に宿泊したのは、夫が開業して一息ついた夏。
従兄にリクエストしたものの、我々のような者が泊まっていいのか、という畏怖の念がよぎった。
それが奇しくも、息子2人と4人揃っての最後の家族旅行となった。

それから10年以上、このホテルは毎年我々を呼び寄せる。
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一通りの部屋に宿泊してみて、ここ数年は、最も気に入ったリバーウィングの突端に10部屋ある、チャオプラヤーに面したスイートの一室を、従兄が何も言わなくても取ってくれるようになった。

昨今、このホテルのサマセット・モーム・スイートに滞在している未亡人を、自分の妻に演じさせた作家の映画が流行っているらしい。
Amazonでその小説を手に入れようとしたら、売り切れだという。
とんでもない人気である。

サマセット・モーム・スイートは、一度義母が宿泊したが、そんじょそこらの小娘が泊まろうものなら亡霊に押しつぶされそうな迫力ある部屋である。
小娘ではないにしろ、若い女優さんではちょっと役不足かも知れない。
(小説も読んでいないし、映画も見ていないのであくまで推測)

それぞれに、このホテルを愛した10人の著名人の名を冠した私たちの定位置は、もっと開放的で、バンコクの息遣いが見渡せるような部屋だ。
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川面とプールの水に明かりが揺れる夜景が、このうえなく美しい。

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部屋には、完璧なステーショナリーと共に、金文字で我々の名が入ったレターセットが、毎回きちんと用意されている。

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ディナーに出かける、着飾った宿泊客がさんざめく夕刻のロビーには、弦楽四重奏が毎日入る。

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中庭と、アフタヌーンティーが楽しめるオーサーズウィングでは、結婚式があるようだ。
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ふんだんに花が手に入る南国ならではの、とことんスイートでラブリーな演出が楽しげだ。

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早朝、まだ暗いうちに出発する宿泊客のためには、銀のティーセットとスナックが用意されており、ロビーのソファに腰を下ろした途端、ボーイがオーダーを聞きに寄ってくる。

エレベーターに向かって歩きかけると、すかさず近くのスタッフがボタンを押しにくる。

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「ホテルの格は、リネンの質と量に比例する」という浦一也氏の名言を裏切らない、たっぷり用意された白い肌触り。
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マンダリン・オリエンタルグループの傘下となった今も、世界一のサービスは健在だ。

私の中で、THE ORIENTALは、やはり森瑶子が描いた世界である。
多くの人々にとってそうであるように、私にとってもまた、このホテルは「特別な場所」なのである。
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http://www.mandarinoriental.com/bangkok/

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See you soon.
(スワナプーム国際空港にて)

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朋子

ああ、溜息が出るほど
ステキ~

manaさんのブログで
自分も行った気分になれます、なう。
by 朋子 (2010-02-16 19:09) 

mana

朋子さん、こんばんは〜。

トークショー、見たかったです。
とっても写真が可愛くて、加藤夏希ちゃんにもひけを取らない感じでしたよ〜。

オリエンタル、是非、お出かけ下さい!
by mana (2010-02-16 23:07) 

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