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自宅、かわいい自分には旅をさせよ [マイハーベスト]

巻き物フェチである。

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鶏ガラを連想させる首を隠すのと、上の方にボリュームを持ってきて良くないスタイルを良く見せるのと、巻けばセーター1枚着込むよりはるかに暖かいのとで、ワードローブのストールの数知れず。

ベトナムにいる次男の部屋で見つけたグレーや、凍えた出先で買ったMUJIの1980円。

これは、最近凝っているイタリアのFaliero sarti。
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一見ドレッシーでも、巻けばなぜかラフに決まるところがお気に入りである。

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気候の読めない海外ではなおさらの必須アイテム。

春のストールを巻いて、せめて活字の世界へ旅に出よう。

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「かわいい自分には旅をさせよ」(浅田次郎/文藝春秋)

それこそ白ストール巻いてそうなチョイ悪オヤジの旅の勧めかと思ったら、もちろんそれも含めての異色の出自から来る無頼な人生観を綴るエッセイ集である。
時に、「(ラスベガスに行くなら)てめえが命がけで稼いだ金、あるったけ持ってけ」と自衛隊出の勇ましさが痛快である。
三島由紀夫に感化されて作家の道を選んだというだけあって、国を思う気持ちもハンパない。

海外居住経験はなさそうだが、頻繁に国外へ出掛ける経験や見聞をもとに独特の人生論を展開し、日本は離婚率が低く、格差社会とはいえ比較的富が公平に分配されており、しかも医療の行き届いた長寿健康国家であるから、もっと夫婦が老後の海外旅行を楽しんでよい国なのにと残念がる。

そう、かわいい自分にもっともっと旅をさせよう。

とりあえず二人の息子を育て、次世代の納税者を世に送り出す義務は果たせたのだから、大好きなストールを巻いて旅に出よう。



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