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新宿、不良ですか? [フレグランス・ストーリー]

「これは父親には言わないでおこう」

大学1年生の時に、初めて六本木のバーに現夫と行った時にそう思ったことを急に思い出した。

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新宿の貸しスタジオで、2月のバンドライブに向けての練習。
前にも書いたけど、John Lennonの「Woman」である。

◯マハ「大人の音楽レッスン」はいいところをついていると思う。

仕事も子育ても一段落。
でも自分の人生を楽しむためには、さあて何が残ってるのさ、という迷える大人はここを目指す(んではないかと思う)。

3歳から親に習わされたクラシックピアノは、如何に楽譜どおりに上手に弾けるかという緻密なテクニック争いの世界。
記譜法はもちろん、合わせて聴音レッスンにも通い、先生がピアノで弾いた旋律をそのまま正確に楽譜に写し取る訓練もさせられた。

ピアノの先生のご主人がバイオリンを教えていたが、「この子はステージに上がって(緊張しても)速度が狂うことが無い」という理由で、長い間バイオリンの伴奏もさせられていたから、私の小学校生活のほとんどは、学校から音楽教室に直行して夜も更けた頃に父親が車で迎えにくるという生活だった。

聴くのも弾くのもクラシックしか許してくれなかった父の傘下ではそれが当たり前だと思っていたので辛くはなかったが、ソロでピアノの道を進んでいけるほどの才能も実力も根性も無かったので、高校受験を口実にストップした私の音楽レッスンは、以後長い間そのままであった。

こんな大人が世の中にはゴマんと居るんだろう。

50の手習いとはよく言ったもので、そうそう、その頃に第二の人生を何で楽しむかという選択に多くの大人は直面する。
それが子どもの頃にちょっぴりやったことがある音楽なら、そりゃー与し易い。

◯マハはそんな大人を集め、しかもクラシックほど厳格ではないポピュラーミュージックで間口を広げ、バンドを組むお手伝いをし、発表の場まで設定してくれる。

その想定内基準値ラインにまんまと乗っかっているワ・タ・シ。

ドラムを始めてケイオンの世界に飛び込んでみて、一番ビックリしたのは「楽譜どおりに弾くことには意味が無い」ということだった。

スコアに如何に自分の解釈をセンスよく加えるかが熟練の尺度なんだと気付くのに半年かかった。

引き出しを持っていないクラシック出身には結構そこがキツい。
アレンジも一度楽譜に落とさないと、恐ろしくて出来ない。

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夜の新宿の貸しスタジオは、ギターを背負った若者で一杯である。

私の、あの父という箱に閉じ込められた青春とは違って、自由で、楽しげで、どこか退廃的。
現実より夢の方に不等記号が開いた伸びやかさ。
心底、羨ましい。

練習を終えてバンドのメンバーと軽く食事した後、歌舞伎町にあるライブハウスに出演する知り合いのバンド演奏を聴きに行く。

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ひえ〜〜、これが有名な歌舞伎町二丁目なんですね。
寒空の下の鍋料理はありがたいかも(・・・コドモの振り)。

大学に入る時、父が絶対に足を踏み入れるなと釘を射しに射した禁断のエリアであるからして、もうそこを歩くだけでドキドキである。
まだ完璧(父の言う)不良になり切れてないってことですね。

不良はいい。
良くないという基準すら曖昧で、悪とは違うもの。

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Poutymouthhttp://poutymouth.netのKeisukeクンはクリニックの患者さんの弟さん。

歌舞伎町の薄暗いライブハウスの中で、掃き溜めにツルのような透明感のあるきれいなナンバーを披露していた。

伊達のスティックをバッグに差して、お父さん、どうよ、私不良でしょ、いや、これはやっぱり父親には言わないでおこう、と独り言ちながら歌舞伎町歩く57歳であった。


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