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ダナン、ヴォールトを編む [セルフィッシュ・ジャーニー]

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帰国して数日経ち、手元に残された現地のオブジェクトは僅かでも、あの湿り気を含んだ風と、視覚を刺激したしなやかな撓みを鮮烈に今も思い出す。


今回の旅の第一の目的は、ホーチミン市の建築事務所で働いた次男の退職をもって、その4年の軌跡を辿ることであった。
震災直後の打ち拉がれた感情の中で送り出した時の親としての無力感が、時間の経過と彼自身の努力で培った対象物を見ることで、何か変わるかも知れないと期待したから。



ビリヤードはこのベトナムに来てから覚えたらしい。
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朝食後の運動に、彼のレクチャーを受けつつ一戦。

その後、オフィスの手がけたリゾート施設を見学に出掛ける。
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投宿したThe Nam Haiから車で5分のNAMAI RETREATは、近年発展目覚ましいダナンのビーチ沿いに立ち並ぶ大型リゾートホテルの一つで、その中にの次男の所属していたVo Trong Nghia Architects が手がけた建築物がいくつか点在する。
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ボスのギアさんはベトナムの今や若手のトップ集団に属する建築家で、次男とは同じ大学に留学されていた関係で、震災後の混迷の中にいた息子に声をかけてくださったようだ。

ギアさんの建築のシグネチャーは何と言っても他に類を見ない竹の建築。
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長期間下処理を施した竹で巨大なバスケットを編むようにドームを作り上げるのは、長年ギアさんの指導のもとで技術を学んだバンブーワーカーと呼ばれる熟練現地職人。
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その手仕事は正確で美しく、繊細で力強く、見ていてため息が出る。




NAMAI RETREATにはいくつかのギア・アーキテクツ作品がある。

コンベンションホール。
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プールバー。
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地中にもぐりこんだようなコンドミニアム、通称スシ・ハウス。
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竹は構造としては使われていないが、打ちっぱなしのコンクリートの型枠となっている。
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特筆すべきは中央の大きなレストラン。
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これを見て、ゴシック建築の交差リブヴォールトや英国の聖堂によく見る扇状ヴォールトを思い浮かべるのは私だけだろうか?
(次男によると特にそこは意識していないということだったが・・・)

このレストランは8月、日本のTV番組でも紹介されている。
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いい加減、子離れせいよ!!と息子にど突かれながらも、その足跡を追う。
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それは自分の下から飛び立った存在が、社会に何を還元するかを確かめる模索でもある。
母親とは、かくも愚かで面倒くさいもの。


覚悟しなさい。
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