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有楽町、そしてIFA試験が終わった [ハーバル]

IFAの試験が終わったらアロマでしょう!

なりふり構わず勉強してきたのは、この日のためだ。
息子達が独立して空き部屋となった空間で彼らの机に夜通し向かい、気がつくと東の空が初夏の早い朝日でうっすらと明るくなっていた日が最後の1ヶ月で幾日あったろう。
でも!
それもその日午後3時で終わるのだ。

終わったらすぐ飛び込もうと、有楽町にできた新しいネイルとアロマテラピーのサロンに予約を入れる。
にんじんを鼻先にぶらさげられた馬は試験に向かって突進したのだが・・・
結果は散々。
出題予想が大きく外れ、あんなに頭に詰め込んだ知識がただただ重いだけ。

失意のうちにとぼとぼ歩いてサロンへ。
熟年体型の近所のおばさんのような人がトリートメントルームへオイルケースを抱えて入ってきたので、ちょっと引く。
いやいや、私が入ってきたっておんなじだ、と気を取り直して彼女と向かい合う。
コンサルが始まる。

「お困りの症状はありますか?」
「更年期なのでその諸症状にはずっと悩まされています。」
「では、これらをブレンドしてリンパドレナージュをしますね。」
え?
そこに出された3つのボトルを呆然とみつめる。
クラリセージ、フェンネル、サイプレスって・・・
あまりにも昨日までめくっていた教科書どおりだ。
・・・というかフルーツジュースを作るのにみかんとオレンジとネーブルを入れるようなものじゃないか。
それにむくみやセリュライトもなく、リンパドレナージュにする意味がわからない。
「えーっと、これでは香りがちょっと・・・」
とささやかな抵抗を試みるが、
「じゃあ、サイプレスの代わりに・・」
とゼラニウムが出た。
おおっ!またまた更年期のマニュアルどおりだ。

女性ホルモンに関わる症状へのオイルがいくつかある。
その中でも、クラリセージ(Crary Sage:Salvia sclarea)の主成分アンドロステノールの分子構造を化学の時間に見せてもらった時の衝撃は忘れられない。
エストラジオール(E2=エストロゲン)の分子構造とそっくりなのだ。
産婦人科という舞台をバックにアロマテラピーに飛び込んだ自分の選択が間違っていなかったと確信した瞬間だった。

あきらめてベッドに体を横たえ、施術が始まる。
数分で飛び起きて「私と代わってご覧!」と言いたくなる。
そりゃあセラピストとしてはIFAを受験したばかりの駆け出しだ。
でもクライアントとしては色々な国のさまざまなスパやサロンで恥ずかしげも無く身体を晒してきた私だ。
彼女の手の動きが自信が無くおどおどしていることぐらいすぐわかる。
苦痛の80分が過ぎる。
IFA惨敗に加えてこの仕打ちは何だろうかとがっくりくる。

着替えた私の前に、彼女がお茶と名刺を持ってくる。
その名刺に「IFA認定セラピスト」と刷られているのを見てティーカップを落としそうになる。
彼女ですら通った試験に自分は通らないかもしれない、と思うと泣ける。
そしてさっきの自分の思い上がりを恥じる。

IFAは2ヵ月後合格していることがわかったが、あのサロンにはそれきり行っていない。












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