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新生児室、大賑わい [ブレンド・プロダクツ]

「うわあ!」

新生児室を夕方覗いて、だーっと並んだベビーコットの数にびっくり。
昨日退勤する時は4人しかいなかったのに一気に11人だ。
18床しかないクリニックなのに、1日で7人のママがお産をしたのだ。
べビたちは「ふにゃあ~」(決しておぎゃーじゃない)と声を発しながらおっとり首をかしげたり手を上げたりして、始めたばかりの肺呼吸にゆっくりゆっくり慣れようとしているかのようだ。
羊水から脱出し、初めて肺に取り込んだ空気は、どんな味でどんな匂いなのだろう。(そういえば「35歳になると羊水が腐る」なんて言った芸能人がいたそうですね、まったく・・・・)
このねずみ年のべビちゃんたちは、新生児室の匂いをいつまで覚えているのだろう。

2ヶ月ほど前の新聞に「猫だって怖くない」という見出しで、特定の嗅覚回路を切断されたマウスは猫を怖がらなくなる、という東大理学部の研究成果が載った。
これまで匂いを嗅いだ時にどのような反応をするかは後天的に決まるものだと考えられていた。
だが、実際には嗅球という匂いをキャッチして行動を起こす脳の領域の下半分の働きを止めると、猫に一度も襲われたことのない赤ちゃんマウスでも忌避行動を取り、逆に上半分の働きを止めると痛み刺激を与えて学習させないと忌避行動を起こさなかったという。

嗅覚は五感の中で一番解明が遅れている器官だ。
我々アロマセラピストは通常の成人を相手にその嗅覚を呼び起こしてセラピーをするのだが、このように生まれたばかりの赤ちゃんや、反対に老化したり、父のように認知症だったりする場合は、匂いや香りはどこまでその人を導くのだろう。

クリニックでは昼間は母児同室を、夜間はママがゆっくり休めるように新生児室でのお預かりが基本だ。
生まれたばかりのべビちゃんにはママの匂いをいっぱい嗅いで覚えてもらうため、病室での香りを拡散するデフューザーの使用は夕方から夜間に掛けてをお勧めしている。

白い病室では香りは楽しい彩りになる。
採用しているヴィ・アローム社では素敵なブレンドのデフューザー専用オイルが用意されている。
出産時の高揚が続いて眠れないママにはラヴェンダー系をお勧めすると、「本当に良く眠れました」とだいたいの方に喜んでいただける。
上のお子様が遊びに来たり、だんな様もいらっしゃる場合は、「オランジェリー」など身近な香りの柑橘系をお勧めする。特に冬場は暖かい、楽しげな香りの「トロピカル」が大人気だ。
「家でも是非この香りを」とおっしゃって、買って退院される方も少なくない。

今まで全く香りを楽しむ習慣がなかった方が、ご出産という大きな節目にその楽しさや効用に気付いてくださり、これからのご自分とご家族の人生の伴走者としてアロマを取り入れてくださるのを見るのは、セラピスト冥利に尽きる。

「香りは記憶をつかさどる」という。
ここで生まれたべビちゃんが、いつかこの日にちょっぴり嗅いだ「オランジェリー」や「トロピカル」を思い出すことはあるのだろうか。


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