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自宅食卓、美食の思い出 [フレグランス・ストーリー]

半死半生のジェットラグもようやく今週に入って治まってきた。
フランス土産話も底をつき、日常は日常に戻りつつある。
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2週間もパパと留守番させられたミナサン達はすっかりおへそが曲がってしまい、ひらすら不貞腐れている。

朝はフルーツピュレ、お昼はクリニックの食堂でスタッフ達と、そして夜は夫の糖尿食に付き合う毎日である。
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食卓にはアヴィニヨン郊外で求めたMiel de Lavande(ラヴェンダー・ビーの蜂蜜)が乗っていて、紅茶にひとさじすくって入れて飲めば、たちまち広大なプロヴァンスのラヴェンダー畑が目の前に広がるような気がする。
les baux-de-provenceの食料品店で買ったブーケガルニは、繊細な蛹のように丁寧に可愛らしくハーブ類が紐でくくられていて、まさに「ブーケ」たるにふさわしい。
年に3ヶ月しか稼働しないという家族だけで営んでいるオリーブオイル工場で求めたタプナード(オリーブ実のピュレ)はイチジクが入っていて、ほんのり甘く、絶妙な味のバランスである。
プロヴァンス地方の象徴、蝉の形のお皿はオリーブ専用。羽の部分にオリーブを盛りつけ、頭のへこみに吐き出した種を入れるのだ。

美食の国、というのは単なる枕詞ではない。
もともとあまり食べることに興味の無い私がそう思うのだから、食べることに「だけ」興味のある夫などは、行けばどんなに楽しかろうと思う国である。
どんな田舎の小さなパン屋でも香ばしいクロワッサンやバゲットが何十種類も並べられ、一緒に売られているケーキやお菓子もついつい1個、2個と手が伸びてしまう。
カスタードがあふれるようなシュークリームや、蜂蜜味のマシュマロ、フレッシュないちごなど、何度小さな買い食いをしたことだろう。
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市場にはあふれんばかりの食材。
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感心したのは陳列している加工食品、タプナード、蜂蜜、コンフィチュール、バターなどの種類の多さとそのコンビネーションのセンスだ。
マロンとオレンジのコンフィチュールなど、その文字を見ただけでおいしさが伝わってくるようで、ラゲージの重量がオーバーしていて重いものは買えないはずの自分を置き去りにして、手を伸ばす。
フランス人のセンスの良さはファッション、デザインだけではない。
食べるものに絶妙の感覚があるように思う。

約2週間の旅の間、いわゆる正式なフランス料理というものは一度も口にする機会が無かったが、ずいぶんとおいしいものを沢山口にしたように思う。
機内食にはいつもほとんど口をつけない私が、往きのエールフランス機で出たフィレステーキを完食した時からその予感。
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冷えたシャブリがとてもおいしい!
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「プロヴァンスに来たら、冷えたロゼを飲むものよ!」
というバーグ先生の教え(?)を真に受けて、よく飲みました、冷えたロゼ。
日本ではロゼというと何だかワインリストに載っていさえしなかったりするほど、虐げられた?存在なのだが、プロヴァンスでは健在、というか王道?

ネリーとの数日間はすべてオーガニックの野菜が中心の食事。
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サクランボがたわわに実る木の下でのピクニックランチはじめネリーの提唱する食事は、砂糖、乳製品、赤身の肉、精製したでんぷんをすべて除いたオーガニック。ここまでバラエティ豊かに美しく作れるのは、お母様のイレーヌさんの長年の成果なのだと思う。

ただし、精進の足りない我々である。
オーガニックの野菜ばかりではさすがに無理。
アヴィニヨンの繁華街へ繰り出し、靴底のようなリブステーキにかじりつく。ロゼそっちのけでビールも飲む。
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ネリーが見たら顔をどんなにしかめることだろう。

おかしかったのはメレンゲ。
デザートのメニュにはよく載っているのだが、人の顔ほどもあるかちんこちんの代物だったり(スプーンで叩いたりしても全然割れない)、ふわふわの揚げ豆腐風だったりする。
どちらも涙が出るほど甘い。
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カンヌ、ニースといった海沿いの町ではひたすらシーフードを。
ムール貝はいずこも洗面器1杯が一人分。
次男曰く、「もうムール貝は1年間見たくない。」

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美味しかったのは人影まばらなヴァンスで食べたコッコ・オ・ヴァン(鶏肉の赤ワイン煮込み)。
観光客相手ではない丁寧な味付けで、これぞフランスの家庭料理。

でも一番美味しかったのはニースでシーフードばかりを詰め込んだ後のパリで、次男に案内されて行った国虎屋の讃岐うどん。
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自分の国にも醤油や味噌という加工食品の絶品があることを思い出させてくれる。

食はセンス。
食物の自給率30%台という日本。
ニースからパリへと向かう機内から見たフランスの国土は、放射状の農地がほとんど。
食をまかなうことへのセンスを、我が国は見習わなければならないだろう。


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コメント 2

アライ

こんばんは。
私も時差には激しく弱いです。
そろそろ復活されましたか?
フランスは4度?行きましたが、パリしか行ったことがないので
南仏行って見たいです。
ネリーさんのピクニックは(フランス人のと言った方がいいのでしょうか)
素敵ですね。ピクニックでもプラスティックや紙ではない
食器を使うところがいいですよね。
そしてロゼワイン!
私もパリで冷えたロゼを中華で勧められ
甘いんじゃないの~なんて思っておりましたが
美味しいの何の!
というかワインはとにかく美味しい!!
とにかく何でも絵になる街、国ですね。
一番上の写真は桃ですか?ハート型のような。
楽しい旅行記ありがとうございました!


by アライ (2008-07-18 22:46) 

mana

アライさん、いつも読んでくださってありがとうございます。

ネリーのピクニックでは、日本のビニールシートを出した同行者が叱られました。そうなんです。食器も鮮やかな色の南仏の陶器でしたし、シートも布で、それだけでも満たされた気分になりますよね。

桃です。
日本の桃より少し固いです。
イチゴも可愛いトレーにアイスクリームのように盛りつけたものが沢山売っていて、歩きながらずっと食べていました。

売り方もいかにも豊か、という感じが出ていて、食に対する贅沢さが伺えました。

パリが少し消化不良気味なので、この秋、もう一度リベンジを狙っています。

南仏、行けるといいですね!
by mana (2008-07-19 08:27) 

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