SSブログ

自宅、それでここにいる [フレグランス・ストーリー]

IMG_1286.JPG
ずるいっ!

究極のおねだり目線。

日曜、捻った右足をかばって在宅とする。

・・・が、散歩に連れてけビームをまともに受け、スニーカーでがっちり足元を固めて、3頭だてウォーキングを規定どおり行う。

ハーフ地点を過ぎると、やみくもに家の方角に向かって走り出すベベ。
カワイイ女子(人、犬問わず)に好意むき出しですり寄るクロ。
半径2m以内に入ってきた全犬種に、首吊ってまでも吠えかかるメグ。

おまえらー、統率って言葉を知らないな。

犬ぞり散歩は、いつも転覆寸前なんである。

IMG_1267.JPG
Amazonから6冊の本が届いている。

IMG_1265.JPG
丸の内のアメリカン・ファーマシーで文房具を物色していた時、見つけたノートに懐かしい絵柄が描かれていて、何だが胸が熱くなる。
急に、この逆さに寝ている女の子に会いたくなる。

彼女こそ、私の原点だから。

彼女の名前は、
ピッピロッタ・タベルシナジナ・カーテンアケタ・ヤマノハッカ・エフライムノムスメ・ナガクツシタ。
(この長い名前が今でもすらすら頭に浮かんできたことに感動する)

9歳の彼女は、ひとりで「ごたごた荘」に住み・・・・「いーえ、ネルソン氏もいるわよ」

とにかく彼女は世界一強い女の子で、ものすごくお金持ちで、隣家のトミーとアンニカを夢と冒険の世界へがんがん引きずり込むのである。

・・・と書いてしまうとそれまでなんだが、小学校1年生でこの本に出会った私は、作者リンドグレーンが導く、本のページの向こう側にあるファンタジーというとてつもなく広い世界に魅了され続けたのである。

そこで一気に読書熱に火のついた私は、1年間にこの岩波書店のリンドグレーン作品集『長くつ下のピッピ』『ピッピ 船にのる』『ピッピ 南の島へ』から『やかまし村〜』シリーズを次々に読破し、今日の基礎を形成したのである。

ゆえに当時の私の生活は思い切りスウェーデンかぶれ。
その頃飼っていた「さくら」という柴の雑種犬が生んだ子犬たちは、思いっきりのしょうゆ顔にも関わらず、トミー、アンニカをはじめ、カールソンとかエッラとか北欧風の名前がついていたのを思い出す。

何十回、何百回読み返したであろうこの本たちを、確か実家から持ってきたはずと数日押し入れを探すも見つからず。
ピッピ会いたさ見たさに負けて、遂にAmazonのカートに放り込んでしまう。

日曜の午後いっぱいをかけて、丁寧に6冊の本を読み返す。

北欧の、短くてきらめく夏の陽光の中で、ネズの枝の香りに抱かれてピッピの後を走っていく私を、大きな活字の行間に追いかけながら。

「それでここにいるんだ!」
( )( ) I'm here.

大学では、児童文学を専攻。

今日のファンタジーはどこかバーチャルの世界と混同されつつあるように思う。
本の中のそれはもっと穏やかで、血の通った世界である。
子どもには「もしかすると(隣にいるかもしれない)」という繋がりの一端を握らせたい。

「9時発の電車に乗ろう」
Let's (take) the train that (leaves) at nine.




nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。