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大手町、ビッグ・アースクエイク [フレグランス・ストーリー]

Crisとひとしきりバカ話しをした後、「さーて最近のヘッドラインの復習をしようか」ってことになり、「じゃー、NZのearthquake・・・」と彼が言いかけて、いきなり口をつぐんだ。

「揺れてね?」(shakeを使ったんだか、swingを使ったんだか、swayを使ったんだか、全く覚えていない)

TVの上のカレンダーがぱたりと落ちた。

二人とも立ち上がって机につかまった。
自立しているのが難しかった。

「Calm you!」とCrisが言った。
こんな時まで英語でしゃべるのか、とは、その時思わなかった。

経験したことの無い長い横揺れ。
カリフォルニアで何度も地震を体験しているから大丈夫だよ、とCrisが言ったけど、窓の外の高層ビル群が巨大な竹薮のように揺れるのを見ていたら、船酔いのような気持ち悪さが胸にせり上がってきた。
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すぐに夫に電話をしたが、全く繋がらなかった。
Crisが自分のiPhoneでチェックし、「Miyagi、 M8(エムエイト)!!」と叫んだ。
「M8?!」と、隣の部屋にいたJimが顔を出した。
私は「東京直下でなくて、少し落ち着いた」というようなことを英語で伝えたような気がする。

「このレッスンは中止として後日代替えをとってください。全員避難してください」
とスタッフが飛び込んで来て言い、ガクガクの足で巨漢のCrisに支えられて表に出た。
また大きな揺れが追いかけて来るのでは、と恐ろしかった。

大手町のオフィス街は、ビルから避難した人々で溢れていた。
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会社で準備があったのか、ヘルメットを被っている人も沢山いた。

「電車は全部止まっているはずだよ。これからどうする?」
というCrisに、
「皇居の反対側にコンドがあるから、そこへ行く」
と言って、千鳥が淵を目指して歩き始めた。
それしか私には思いつかなかった。

大手町ビジネス街の避難場所になっている皇居前は大勢の人々で埋め尽くされていた。
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大手門の白壁が一部剥がれ落ちているのが見えた。

「大変なことになった」
人混みの中を歩きながら目に飛び込んで来る、これまで一度も見たこと無い風景を前にして、何度もそう思った。
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空襲に遭った後ってこんなふうなんだろうか。
お濠沿いの道なら安全だろうと選んで歩きながら、そんなことを思った。

お濠沿いにオフィス街から逃れてきた人々が列をなして佇み、ワンセグかなんかで情報を収集しようとしていた。
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即座に閉鎖された、1台の車の影もない首都高を初めて見た。
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千鳥が淵のマンションはライフラインもちゃんと確保されていて、スタッフも落ち着いた対応をしてくれ、ようやく気持ちが落ち付いた。
TVで刻々と伝えられる画像は、目を覆うばかりだった。

家族と全く連絡が取れないのだけが、心配だった。
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