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赤坂、菊の井にて [フレグランス・ストーリー]

次男の仕事上のパートナーのフランス人が英会話レッスンのバイトを探しているということで、生徒になることにする。
フランス人に英語習うって・・・と思ったが、リサーチャーである父上の仕事の関係で小さい時からいろんな国で生活し、現在はカナダに家のある彼は、フランス語はもちろん英語にも何の不自由もない。

Berlitzに通ってはいるが、毎日でも英語を話していたいと思っているので、フランス人だろうが、タンザニア人だろうが、英語が喋れるなら(そして退路を断つために日本語ができないならなお)断然Welcomeである。

まずは次男も入れて顔合わせをしようじゃないかということで、和食というリクエストがあり、赤坂の『菊の井』に席を取る。
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京都の本店は言わずと知れたミシュラン2つ星の名店であるからして、当のフィリップでなくても期待は高まる。

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石畳に打ち水をしたアプローチが、ガイジンサンには大受けしそうである。

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鱧や若鮎が、季節感を見事にデザインした盛り付けで運ばれてくるたび、フィリップのみならず、安月給でコンビニ弁当が主食の次男も歓声を上げるので、日本人として、母親として、ちょいと恥ずかしい。
(この氷の高台は、毎日20個ほどスタッフが削って作るんだそうである)

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日本人より華奢なフィリップと年より幼く見える次男は、『陰翳礼讃』、『菊と刀』論を戦わせつつ、日本の文化の間違いなく顕著な一端である懐石料理を分析中。
(学生のゼミやってるみたいで、やっぱりとっても楽しそうである)

インターナショナルな店らしく、英語表記の食材リストとメニューも用意してあり、またどのスタッフに調理法を聞いても詳細な説明が返ってくるのが、さすがだと思う。

京都より敷居を低くするためか、お座敷以外はちょっとカジュアル過ぎて騒がしいのが難点。

初めてこんな牛肉を食べたと言ってフィリップが調理法をしつこく聞いていた味噌だれを供したステーキは、とろけるような柔らかさで、しかもサシの脂っこさが全く感じられない絶品。
そんな料理を英語で説明しようにも、語学力以前に、伝統や作法など基本的な日本文化を自分がいかに知らなさすぎるかも痛感する。


こんなに外国人を感嘆させる美しい日本の伝統料理を前にすると、その類いまれなる食材が放射能汚染という未だかつて無い危機の中にあるという事実を、食文化の衰退という面からも心配せずにはいられないし、やり場のない怒りも覚える。


フィリップが「Incredible!」「日本における素晴らしい体験の一つ」と喜び、器用にお箸を使って刺身も肉も食べてくれたのが救いと言えば救い。


さあ、彼はどんなレッスンを展開してくれるのでしょうか?






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