NY弾丸トラベラー、ティファニーで晩餐を [セルフィッシュ・ジャーニー]
昼間のフレンドリーなNYは、夜の帳が下りるとぐっとグラマラスに変貌する。
3泊中2晩がブラックタイのフォーマルなパーティという設定は、普段白衣や術衣で髪ひっつめて働く我々には、それ自体がこれまた映画の中に迷い込むようである。
日本からの12時間フライト時差ボケ真っ最中の身を投げ込んだのは、ハドソンリバー・ナイトクルーズである。
あいにくの小雨模様で肌寒く、自体が一大エンターテイメントと言われるほどのビューティフル・マンハッタンの摩天楼の先端は霞んでいる。
それでもディナーが終盤に差し掛かり、自由の女神付近で折り返す頃は、何とか甲板に出られる程度に天気が回復する。
星条旗を掲げるのは、T社日本法人代表で超フレンドリーなパックン(似)である。
まるで宝石箱の中にいるような夜である。
2日め。
唯一パーティの無い夜は、ぐっとカジュアルにブロードウェイのミュージカルを観に行く。
分かりやすさを最優先にして選んだ『Sister Act(天使にラブソングを)』は大正解。
セリフの部分はよく分からなくて、観客のどっと笑いについていけなかったが、音楽のノリと俳優の声量の豊かさに圧倒され、最後は自然にスタンディング・オベーションに乗っていける。
金曜の夜とあって人波も最高潮である。
そのままミート・パッキング・ディストリクトにある和食の鉄人”モリモト”へなだれ込んで酒宴。
ヒップな店内は超満員。
スシ・サシミをつまみに男性陣3人は冷酒、私は熱燗(アメリカ人のスタッフには通じなかった)で盛り上がり、店を出たのは午前2時近く。
日本人ドライバーがリクエストどおりに、マンハッタンの夜景が見える対岸のブルックリンをドライブしてくれたのに、男性陣は全員沈没。
一人で必死に話しを繋いで、ホテル着2時半。楽しさの余韻に身を委ねた就寝は午前3時を回る。
最後のサタデー・ナイトは、鉄鋼王ヘンリー・クレイ・フリックが生涯をかけたコレクションを私邸に公開している美術館The Frick Collectionにての晩餐会。
http://www.googleartproject.com/museums/frick
とりあえず、ジャパニーズ第一礼装の着物で臨む。
1913年に建てられた18世紀様式総大理石の家自体も美術品と言えるほどに素晴らしいが、コレクションした絵画もまた素晴らしいビッグネームが揃う。
特に世界で36点しか現存していないと言われる中の3点のフェルメールは圧巻である。
その邸宅の中庭でのディナーは、各国からの200人のゲストが一同に会するビッグイヴェントだ。
(雰囲気に蹴倒されて、写真を取り損ねた・・・・)
ディナーの後は、邸内ミュージックホールにて、MET(メトロポリタン劇場)のプリマドンナ、ルネ・フレミングが『わたしのお父さん』以下著名なオペラの楽曲を独唱で披露。
http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/renee_fleming/renee_fleming.html
絵画、食事、歌唱と見事に揃えて、五感が満足するというのはこういうことをいうのであろうかと思う。
それにしても、キモノは外国の方に対して、誰かのプアなイングリッシュなんかより、よほど饒舌な外交ツールであることを再確認。
NY。
この人種の坩堝の多様性は訪れる人を決して拒まないが、住人たちにとっては日本人の想像域を超える格差が確かに存在するのだろう。
原作者トルーマン・カポーティは、ホリーに繰り返しこの台詞を言わせている。
「ティファニーで朝食をとれる身分になっても、私は自分を見失いたくないの」
この言葉の意味を噛みしめつつ、今日からまた地に足を付けて、しっかり歩いて行こうと思う。
2011-10-19 17:07
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コメント(2)
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manaさん、NYだったんですね。
いいなあ。
NY大好きです。って言っても一度しか行ったことないですが。
私の数少ない海外渡航経験中で一番好き!と思っている場所です。
あの気分の上がり方は何なのでしょうね!
by 朋子 (2011-10-19 22:29)
朋子さん
やはりどんな楽しみ方でもできる、どんなゲストをも受け入れる、その懐の深さがNYの魅力なんだと感じました。
今度は是非一人で(!)気ままに訪れてみたいです!
by mana (2011-10-20 18:31)