自宅、チョコレート・ストーリー [フレグランス・ストーリー]
バレンタイン・デーである。
だからどうしたって話なんだが、一番苦手な人込みかき分けてゲットしたトップスのチョコレートケーキを買って帰るも、家には誰も居ないんである。
思えば、私はこのケーキに釣られたのである。
(夫はエビでタイを釣ったのである)
東京へ出て来て、初めてチョコレートの生クリームとクルミとスポンジが何層にも重なったこのケーキを食べた瞬間、あまりに美味しくて倒れそうになり、その後群がる(?)オトコたちの中で、一番おカネに糸目をつけずにこのケーキを食べに連れて行ってくれる夫と付き合うようになった。
なんと安上がりなオンナだったことよ。
その頃六本木のロアビル(今もあるのでしょうか?)の中にあったトップスには、死ぬほど美味しいチキンカレーもあって、思えばそれが私たちのフルコースであった。
ワタシたち青春してたよねーと語り合いたくて、毎年バレンタインデーにはこのケーキを買うのだが、なんかこう肩すかしを喰らうのである。
温度差を感じるこの頃。
今夜はチョコレート色の話をもうひとつ。
7年前に銀婚式ってことで夫婦でドバイに行った時、さる店で2枚のパシュミナのストールを買った。
パシュミナヤギの原毛の色だというこの柔らかなミルクチョコレート色が気に入り、値段を聞いたらヴァレンティノのフルレングスのイヴニングドレスが買える値段だった。
テキスタイルの品質もさることながら、この繊細な刺繍はひと針ずつ手縫いされたもので、1枚作るのに半年から10年かかると言われたけど、眉にツバつけて聞いていた。
特にこちらの複雑な刺繍が全体に施されたものは、10年かかるほうで、イヴニング3枚の値段だった。
ミシンで刺繍したのじゃないかと疑うと、裏を見てみろ、ミシンだったら全部糸がつながっているはずだろ、とオヤジはのたまった。
そして上半身をすっぽり覆う大きさのこのストールを、小さな銀の指輪にするりと通し、どんなに細く繊細な毛で織られているかをパフォームしてみせた。
銀婚式のご祝儀代わりと思って清水の舞台から飛び降りたが、結果的には海外旅行で手に入れたモノの中で一番価値のある買い物になった。
折り畳んで丸めれば500mlのペットボトルほどの大きさなのに、飛行機の中で眠る時にはブランケット代わりにもなる。
冷房の肌寒さにも、真冬の北風にも過不足無く心地よいぬくもりを提供しつつ、重さはハンドタオル1枚ほどである。
海外旅行にはどちらかを必ず携える。
全体に刺繍がある方がリッチで雰囲気があり、しかも刺繍糸の重みでよりしっとりと身体に絡みつくので多用するが、使えば使い込むほどとろとろと肌になじんで来て手放せない。
この色がまた、どんな洋服にでもフィットするのである。
折しも去年雑誌のグラビアでアンジー様が、安い方(・・・といってもイヴニング1枚)と全く同じものを着用してアフリカを訪問している姿を発見した。
今までに訪れた他の国でも、日本でも、パシュミナのストールはよく見かけるが、この2枚に匹敵する物にはまだ出会えないでいる。
30数年前、トップスのチョコレートケーキを前に恥じらっていた私は、食べた手前何だか後に引けなくなって夫と結婚し、25年めにドバイでパシュミナストールを買い、今、バレンタインデーにチョコレートケーキの半分を一人で食べる。(彼の名誉のために付記すれば、当直である)
悪くない人生である。
だからどうしたって話なんだが、一番苦手な人込みかき分けてゲットしたトップスのチョコレートケーキを買って帰るも、家には誰も居ないんである。
思えば、私はこのケーキに釣られたのである。
(夫はエビでタイを釣ったのである)
東京へ出て来て、初めてチョコレートの生クリームとクルミとスポンジが何層にも重なったこのケーキを食べた瞬間、あまりに美味しくて倒れそうになり、その後群がる(?)オトコたちの中で、一番おカネに糸目をつけずにこのケーキを食べに連れて行ってくれる夫と付き合うようになった。
なんと安上がりなオンナだったことよ。
その頃六本木のロアビル(今もあるのでしょうか?)の中にあったトップスには、死ぬほど美味しいチキンカレーもあって、思えばそれが私たちのフルコースであった。
ワタシたち青春してたよねーと語り合いたくて、毎年バレンタインデーにはこのケーキを買うのだが、なんかこう肩すかしを喰らうのである。
温度差を感じるこの頃。
今夜はチョコレート色の話をもうひとつ。
7年前に銀婚式ってことで夫婦でドバイに行った時、さる店で2枚のパシュミナのストールを買った。
パシュミナヤギの原毛の色だというこの柔らかなミルクチョコレート色が気に入り、値段を聞いたらヴァレンティノのフルレングスのイヴニングドレスが買える値段だった。
テキスタイルの品質もさることながら、この繊細な刺繍はひと針ずつ手縫いされたもので、1枚作るのに半年から10年かかると言われたけど、眉にツバつけて聞いていた。
特にこちらの複雑な刺繍が全体に施されたものは、10年かかるほうで、イヴニング3枚の値段だった。
ミシンで刺繍したのじゃないかと疑うと、裏を見てみろ、ミシンだったら全部糸がつながっているはずだろ、とオヤジはのたまった。
そして上半身をすっぽり覆う大きさのこのストールを、小さな銀の指輪にするりと通し、どんなに細く繊細な毛で織られているかをパフォームしてみせた。
銀婚式のご祝儀代わりと思って清水の舞台から飛び降りたが、結果的には海外旅行で手に入れたモノの中で一番価値のある買い物になった。
折り畳んで丸めれば500mlのペットボトルほどの大きさなのに、飛行機の中で眠る時にはブランケット代わりにもなる。
冷房の肌寒さにも、真冬の北風にも過不足無く心地よいぬくもりを提供しつつ、重さはハンドタオル1枚ほどである。
海外旅行にはどちらかを必ず携える。
全体に刺繍がある方がリッチで雰囲気があり、しかも刺繍糸の重みでよりしっとりと身体に絡みつくので多用するが、使えば使い込むほどとろとろと肌になじんで来て手放せない。
この色がまた、どんな洋服にでもフィットするのである。
折しも去年雑誌のグラビアでアンジー様が、安い方(・・・といってもイヴニング1枚)と全く同じものを着用してアフリカを訪問している姿を発見した。
今までに訪れた他の国でも、日本でも、パシュミナのストールはよく見かけるが、この2枚に匹敵する物にはまだ出会えないでいる。
30数年前、トップスのチョコレートケーキを前に恥じらっていた私は、食べた手前何だか後に引けなくなって夫と結婚し、25年めにドバイでパシュミナストールを買い、今、バレンタインデーにチョコレートケーキの半分を一人で食べる。(彼の名誉のために付記すれば、当直である)
悪くない人生である。
2012-02-14 22:16
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