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丸の内、KATAGAMI-Style展 [マイハーベスト]

本欄に頻回登場の大学時代の友人S子と、三菱一号館美術館で開催中の「KATAGAMI-Style展」を見に行く。
http://katagami.exhn.jp/

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「気持ちがいいので外のベンチで待ってるわ」というメールはいかにも彼女らしく、そしてまたちょっと肌寒い土曜の夕暮れは、美術館前の中庭の雰囲気にとてもよく似合う。

ジョサイア・コンドル設計の丸の内オフィスビルのスターター、三菱一号館が改装されてできたこの中庭は、近年相次ぐ東京駅周辺の改築・改装の中で、群を抜いて秀逸な空間のアイディアである。
いつも来るたびに、イギリスのトラディショナルな街角に迷い込んだような錯覚を覚える。

私もS子も、結婚前の短い独身生活をこの丸の内を勤務先として過ごして来たのだ。

今の中通りのようにブランドショップもエノテカも無い、無愛想な灰色のオフィスビル街だった丸の内で、お気楽な私たちは、会社帰りに待ち合わせてインベーダー・ゲームに熱中し、もうもうと煙が立ちこめる焼き鳥屋で串を頬張って笑い転げ、もう社会人であるはずなのに全くその自覚が無く、まだぽわぽわとした大学生活の余韻を弄んでいた。

S子が勤めていたブラジル銀行はまだ何とか小さなテナントで元の場所にあるが、私のいた日立系列の会社は既に他所に移転しており、「あの頃、丸の内がこんなにきれいなところだったら、もっと仕事も熱心にしたかもねー」(んなわけがない)という軽口も、受け止める相手がいない。

『世界が恋した日本のデザイン』というサブタイトルに惹かれつつ興味深く展示を観る。

この展示は、江戸時代に発達した小紋などの着物の柄を染め抜く型紙が、廃棄される際などに、当時人気のあったジャポニズムに惹かれた海外のコレクターの手に大量に渡り、そのパターンが、1880年以降イギリスのアーツ&クラフツ、フランスのアール・ヌーヴォー、ドイツやオーストリアのユーゲントシュティールなどの名だたる芸術文化活動に多大な影響を与えたことを、実際に海外の美術館に所蔵されている型紙と比べ合わせながら実証するものである。

しかしながら単純に、私はその型紙の製作過程の細かさとパターンの完成された美しさに見とれる。
(参考ウェブサイト)
http://www4.airnet.ne.jp/sakura/kata_contents.html

和紙に柿渋を塗って重ねて補強した渋紙に小さな彫刻刀のようなもので作る、0.5ミリ以下の細密なドットやストライプを連続させた大胆で美しい構図。
手のひらほどのパターンの最小単位を繰り返して寸分の狂い無く12メートルの反物を染めきる技術。

なんかやっぱり日本てすごい!と単純に思う。

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ミュージアム・ショップのポストカード。

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透かすと型紙風。

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これは海苔!



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