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軽井沢、クリスマス・ストーリー/ロバと王女 [マイハーベスト]

なぜか、カトリーヌ・ドヌーヴである。

高校生のころだったか。
「シェルブールの雨傘」を観て、あ、日本勝てないわ、と思ったんである。
その映画の芸術性もさることながら、こんなきれいな人がいる国ってどんなだろうと思ったのだと思う。

週末は、夫と共にまた軽井沢。

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アロマキャンドルに灯をともし、床暖房を入れる。
ここから山荘終いの11月末までが、私の最も愛する山荘ライフである。

本やDVDに埋もれて、ホットブランデーだのシナモンティーだのを傍らに、夫と私は膝掛けにくるまりながら思い思いの週末に没頭する。

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夫は展開が早いハリウッド映画や邦画のファン。
(「ヘア・スプレー」を観ています)

とろりと叙情性がとろけ出すようなフランス映画を私が見出すと、画面の前から離れていく。

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「ロバと王女」(1970年フランス/J・ドゥミ監督/カトリーヌ・ドヌーヴ主演)

カトリーヌ・ドヌーヴが最も美しかった頃(多分25歳頃)の一作と名高い映画で、何年か前に再リリースされたものだ。
シャルル・ペローの童話に題材を取った40年前の作品なので、背景やストーリー展開はそれなりに古びているのだが、彼女の輝くような美しさで、今観ても最後まで引っ張っていけてるという感じがする。

ただ王女が家出しようとした原因は実父王からの求婚を逃れるためという半道徳的要因もあり、そもそも童話として適切なんだろうか。

かたや、4年前に制作された「クリスマス・ストーリー」(2008年フランス/アルノー・デプレシャン監督/カトリーヌ・ドヌーヴ主演)
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「ロバと王女」で際立っていた芸術的ともいえる彼女のフェイスラインは、年齢という名の貫禄に消され、折れそうだったウェストは幾重のドレープに覆われているが、そこは大女優ドヌーヴ、太り方すらゴージャスで色っぽい。
ヘプバーンが年齢を重ねて、さらに細くなって女っぽさを完全に消し去ったのと好対照である。

小さな町の工場主の妻として4人の子どもを育て上げてみれば、それぞれがいろんな思いや問題を抱えてそれぞれの人生を生きているものだ。
クリスマスと自分の病気にかこつけて家族全員を呼び集めてみれば、別々に暮らしていたがゆえに沈静化していた昔のしがらみが、止まっていた時計の針を動き出させ、噴出する。

今やいい大人である息子や娘の泣く喚くの大騒動を、じっと眺めつつ自分のスタンスを崩さないゴッド・マザーがハマリ役だ。

子供たちの不倫も裁判沙汰も、そして自らの骨髄移植さえも、重厚なマダムにとっては人生のお飾りでしかない。

この再リリースが話題になった時の会見で、彼女はこう語っていた。

「私の人生で(私自身が他人の)お飾りだったことなんて一度も無いわ」

ひゃー、死ぬまでに一度は言ってみたい、このセリフ。



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