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軽井沢、金平糖の降るところ [マイハーベスト]

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朝冷えきった山荘に着いて、リビングだけの暖房を付け、ソファに倒れ込んで昏々と眠る。

時折目が覚めると読みかけの本を読み、数ページでまた眠りに落ちる。
それを幾度となく繰り返して、とっぷりと森の中に闇が降りる。

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今日はもういい。
一日中本と心中してしまおうと思う。

一昨日の関越の所沢出口で割り込んできた軽トラとの軽い接触事故で、自分の限界を知らされた思いだ。

母の死で一旦止まった日常を軋ませながら再開した秋以降。
クリニックのリニューアルオープンに伴う新しい仕事が増えたところへ、5年勤めたお手伝いさんが辞め、孫の入院騒ぎがあり(おかげさまでもう少しで退院のようです)、セラピスト2人が産休と心の病気で現場を離れ、てんやわんやである。
その中で真夜中にHP作りを進めながら、毎朝6時起きで一日にいくつもの仕事を詰め込む日が続いているところへ、一昨日の父の入院の報である。

「7の倍数の女の厄年」なんて鼻っからバカにしていたが、これが厄年というのなら今は諸手を挙げて賛成しよう。

今年後半はいろいろな事情で大好きな海外旅行を諦めているので、この連休は山荘終いを理由に、ゆっくりミナサンと冬の軽井沢(これがまたいいんです)を楽しむつもりでいたが、父の入院でそれも消える。

しかし接触事故はこれ以上、今のままではニシジマ、アカンですよという警告灯だ。

昨日夫と父を見舞って、緊急性の無い、我が儘対処入院であるように理解したので(老人施設では連休などの手薄になる時期には時折あるみたいです)、今朝はミナサンを乗せて一気に関越を下ってきたのだ。

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夏の間うっそうと茂っていた木々がすっかり葉を落として、からんと明るい鹿島の森。

まるでコンファタブルな冬眠のベッドを作るような気持ちで、一部屋だけに暖房を入れ、明かりを灯し、浅い眠りの白昼夢と交互に江國ワールドの中を彷徨う。

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「金平糖の降るところ」(江國香織/小学館)

ブエノスアイレスと東京を行き交う愛の交錯。

「やわらかなレタス」のほんわかムードは影も形もない。
あ、このひとって漢字も書くのね(あたりまえだが)と、彼女をひらがなの作家だと思っていたので、まずはそこにびっくりである。

アルゼンチンに育った美しい姉妹の周辺に散らばるイレギュラーな恋愛関係を、不倫などという下世話な言葉を思い浮かばせずに描く江國ワールド。
海外生活経験をいかんなく駆使して舞台を海外へ飛ばしたところが、日本のモラルじゃ異端、あるいはくだらないと切り捨てられそうなシチュエーションを文学の高みに引き上げている。

それにしてもこのところ手に取る本はことごとく姉妹関係関連である。
男兄弟の糸はかなり淡白だから文学にはなり得ない気がするけど、濃いなあ、姉妹。



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藍色

こんにちは。同じ本の感想記事を
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by 藍色 (2014-01-17 14:11) 

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