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ふじみ野、夏は夕暮れ [フレグランス・ストーリー]

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どの季節が一番好きかと問われれば、断然初夏である。
それも梅雨入り前の湿度が低い夕方限定で。

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一年で一番日が長いこの季節は、仕事が終わって駆け戻れば、明るいうちにバラ色の界隈の中へミナサン(トイプー3匹)を連れ出すことができる。

この時期に吹き渡る風は、楽しげで肩の力が抜け、しかも咲き乱れる白い花々の香りを含んで甘く、かぐわしい。
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(クリニックの泰山木。何とも言えない濃く甘い香りを毎年振りまく)
被毛がこの風に吹かれ、心地よさそうに目を細めて歩くミナサンを見るのが大好きだった。

それぞれに年老いて、去年からミナサンの散歩はかなわなくなったが、この夕暮れに遭遇すれば家じゅうの窓を開け放して風を入れる。
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冬の間ぐっと縮こまって外気温との差に難渋していたコンクリートの壁が、一斉に呼吸を始めるようだ。

チーク材の床に大の字に寝転がって、荒々しいむき出しの壁を渡る風に吹かれていると、なんだ、人間はこんなことで幸せになれるんだなと思う。

6月最初の日曜は、普段すれ違いの休日を好き勝手に送っている我々夫婦が、珍しく「予定なし」という一致点を見た日だ。
しかも、異様に早い梅雨入り後の中休み、からりとした晴れ。

確実なかのマジックアワーの到来を予感して、1年中で一番贅沢な晩餐の準備を始める。

初夏に合うのはキンキンに冷えた白ワイン。
シャブリを2本冷蔵庫に仕込む。

二人で気に入っている近所のフランス菓子屋のカスクートを買いに走る。
ブリーチーズと、トマト・ショルダーハムの2種類。
サーモンとクリームチーズのそば粉クレープも買う。

コンビニのシャウエッセン・ソーセージを、トリュフソルトで炒める。
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じゃ~ん!
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なんて簡単な白ワインディナー。
そう、贅沢なのはメニューじゃなくってシチュエーション。

ほぼ真昼間の4時頃から飲み始めて、一昨年までだったら十分ミナサンの散歩にも行ける6時頃には二人で酩酊状態。

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どうよ、一発覚えたてのキラキラ星でもぽろろんと弾いてみれば、と次第に濃くなる夕暮れの闇の中で夫を振り返れば、とうにあちら様は夢の世界へ飛び立たれている。

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春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて。
・・・じゃなくて、夏は夕暮れ、だなあ、絶対。




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