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自宅、ボヴァリー夫人 [マイハーベスト]


タンタンタンタンというシンプルなドラムのリズムが印象的な、グラミー賞最優秀新人賞とソング・オブ・ザ・イヤーに輝いた"We are young"。
このドラムバージョン、背中の方から撮って欲しい。(左右がこんがらかるわ)

ドラムを始めて1ヶ月。
ファッションの傾向が激変である。

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バスドラムのペダルを踏むために、ヒールのある靴が履けない。

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両足をがばと広げて座るので、スカートもNG。

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冬はブーツでいいだろうが、この季節は必然的にジーパンにスニーカーかローヒールのペタ靴しかない。

それでなくとも足の短さゆえか年のせいか、バスドラの音量が足りないと言われているので、もう背水の陣を敷いて、美しげなハイヒールなんぞは封印するしかないのである。

過去に二輪の教習を受けた時に、世間一般のイメージとは違って服装も髪型も持ち物も限定されるのが結構衝撃的だったが、今回のドラムはそれに次ぐ異文化である。
ライフスタイルはファッションを機能性が限定して初めて形作られるものだと思い知る。

還暦に数年で手が届こうという、少しは飾らないと薄汚く見える歳でまさかのカジュアルダウンへ走るベクトルも数奇だが、150年以上前、女の好奇心はここへ向かうしかなかったのだろうか。

60歳近い凡庸な田舎医者ボヴァリーの美しい妻エマは、夫との退屈な生活に嫌気がさし、虚栄と不倫を重ねて破滅を迎える。
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「ボヴァリー夫人」(ギュスターヴ・フローベール著/生島遼一訳/新潮文庫)

若い時に読んでおくべき名著と言われるもので、まだ読んでいないものを、一冊ずつ潰していくような気持ちで文庫本を読みあさるが、まー、これは正直手こずった。

フローベールが写実主義の創始者という名声を得た作品だが、言ってしまえばストーリーは前述の一文で終わってしまうほど単純。
今ならR指定にもなり得ない話しだが、当時は風俗紊乱(ふうぞくびんらん)・宗教冒瀆のかどで起訴されたというから、いかに二人の男と道ならぬ恋に走ったエマの行状が一般的でなかったかが知れるというものだ。
(あ、今も一般的ではないですか)

ストーリーが何も意外性が無く単純そのものであるのに対し、何がすごいかと言えば、微に入り細に入る、主観を一切排除した正確無比な視点で捉える物事の写し取り方で、その細かさ故の圧倒的な文章の分量に押し潰される。

私生活においても父が市立病院長だったフローベールは、エマに徹底的にないがしろにされる夫シャルルにも医者の職を選んでいる。
名声を博した写実は、ゆえに正確で科学的な分析力によって培われ、サント・ブーヴには外科用のメスのようだと言わせている。

不倫に走る夫人といえば、艶かしい熟女を思い浮かべるが、フローベールの「メス」をもって写し取られたエマはどこか無邪気で恋を夢見る少女のようだ。
一切主観を介入させないように見える表現の中に、唯一見え隠れする著者の女性観なのかも知れない。

読んでも読んでもなかなかストーリーが進まないので、寝る前に2、3ページ読むとぱったりと本を取り落としていつの間にか眠っているという日が続いて、絶好の睡眠導入剤となってしまった。

反省。




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