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自宅、真夏の果実 [フレグランス・ストーリー]

何度でも言いましょう。

暑すぎる!
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大都会東京の熱気が海風で流れ込んでくるらしく、埼玉の暑さはがっしりと動かない、切なくなるほどの暑さだ。
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久しぶりに自宅で、つまみは持ち寄りの飲み会をする。
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その日、大学で講義を受け持つことになっていた夫は、暗にご学友様たちと講義後どこかへ流れる算段をほのめかすので、これはチャンスと自分のスタッフたちとの酒宴を企てたのだ。

「そんなに早く帰って来ないよ」

頼むから中途半端に酔って帰ってきて私の飲み会をぶち壊さないでねと言ったら、返す捨てゼリフがこうだった。
なのに、夕方4時半頃電話があって「今から帰る」

オイオイ。

わたしゃー、まだ仕事だぜ。
銀座はどうした。ご学友はどうした。

やっぱ、埼玉の片隅に引っ込んでひたすら地域医療に身を投じていると、中央には出づらくなるんだろうか。

いいよ。
仲間に入れてやるよ。

程よくシャンパンが回ったあたりで、最近ピアノを習い始めたと知っているスタッフから夫へリクエストが投げられる。
まだ『真夏の果実』のイントロしか弾けないのだからまさかやらないだろうという常識を打ち破り、さっさと夫はピアノの前に座って8小節(!)ほどを披露。

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ちょっと!!それでいいんなら私も弾いちゃう。

・・・というふうに、もう右手だけだろうが、不協和音だろうが、半分酔っぱらった客の弾き手も次々に登場、電子ピアノに組み込まれたテクに助けられて初見で弾き語る。

1階のミナサンの部屋に押込められている私の古いアップライトだけだった頃より、リビングに置いた電子ピアノで楽器がずっと身近になった今日この頃。

いやー、楽しい。

ちょっとお酒が入って気持ちが軽くなったところに入ってくる音楽は心地いい。

今は初老の弁護士となった従兄が、昔実家に遊びに来るたびに父と飲んで酔っぱらい、酔っぱらうと必ずショパンを弾いて、それがめちゃくちゃ素敵だったのを思い出す。

真夏の果実。

我が家のそれは、ハートウォーミングな飲み会。



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