ふじみ野、認知症とアロマテラピー [ブレンド・プロダクツ]
日射しはいくらか春めいてきたように思える。
22時までの舞台稽古で、普段もほとんど見ないTVを、これまた一切見ることが出来なかった日の翌日、トリートメントにいらした患者様から「昨日、アロマが認知症に効くって番組を見ました!」と教えて頂く。
(「たけしのみんなの家庭の医学」2月25日放送)
その日の私の細々としたFBには、数多くの同業者がこの番組について触れた記事がアップされ、これまた多くの「いいね!」が踊る。
あ、ツボを見逃したか、とちょっと残念がる。
(ま、舞台稽古が無かったとしても見なかった可能性は大いにあり得るんだが)
匂いの刺激によって発生した電気信号は、大脳底部の嗅球で整理された後、大脳皮質の嗅覚野に送られることで匂いとして認知されるが、同時にこの信号は脳の記憶情報を司る器官である大脳辺縁系の海馬に送られる。
視覚や聴覚に比べ、嗅覚が記憶を呼び起こす作用が強いのは、このシステム経路のせいである。
また匂いには、交感神経を優位にして記憶力を高める刺激を持つもの(ローズマリー、レモンなど)と、逆に副交感神経を優位にして心身をリラックスさせる刺激を持つもの(ラヴェンダー、カモミールなど)があり、これらを使い分けることである程度精神のスイッチングができる。
えーと、ここらへんまでは、正統なアロマテラピーを勉強した者であれば、誰でも知っていることである。
医療現場でアロマテラピーを実施している身としては、未だ完全には解明しきれていない嗅覚を使うせいで、なんとなくアヤシげなものに思われがちなアロマテラピーを出来るだけ科学的に説明できるようにと心がけてきたつもりで、この辺のことは毎週の両親学級で夫の講義時間を10分分けてもらってレクチャーを患者様達に差し上げている。
夫には毎回、長過ぎてオレの講義時間が削られる、と文句を言われる。
(蛇足です)
かの番組の鳥取大学医学部の浦上克哉教授は、斯様な文献をお読みになり、嗅覚機能低下を押さえることで、匂いの認知が記憶に先立って失われる認知症の予防や治療に効果があるのではないかと考え、特別養護老人ホームの高齢者にアロマオイル(このネーミングが私としてはちょっと残念だ。エッセンシャルオイルであって欲しかった)を嗅いでもらう臨床試験を実施した。
そして有意に認知機能が向上している結果が得られたという内容。(だったらしい)
アロマセラピストなら誰でも知っている知識を医学的に掘り下げ、認知症に繋げたところが画期的なんだろうと思う。
そして脳の活性化にはローズマリー・カンファー2滴+レモン1滴、鎮静化にはラヴェンダー2滴+スィートオレンジ1滴が最適、というブレンドまで紹介された。(らしい)
まあ、アロマセラピストとしてはもっと他のブレンドもあるような気がするが、交感神経を優位にする香りを活動期の昼間に、逆に副交感神経を優位にする香りを鎮静が必要な夜間に嗅ぐことによって、嗅覚機能をアップさせ、同時に生活のリズムにより明確なメリハリをつけて認知症を予防・改善する。
これ、私は認知症のためではなく、毎日の生活をより健康に過ごすために、学級のレクチャーで患者様にも7年間ずっとお勧めしてきました!
こうしてメディアで取り上げられるような現場の医師が、アロマテラピーの医学的な裏付けを発表してくれることは、多くの真摯にアロマテラピーを学んでいる人たちに大きな勇気を与えてくれたはずだ。
FBに踊った多くの仲間の「いいね!」が、それを物語る。
エッセンシャルオイルが未だ「雑貨」としてしか認証されない日本では効果を人体実験することが出来ず、そのエビデンスは西洋医学と大きな隔たりがある。
アロマテラピーを受け入れる医療機関も医師も非常に少ない。
一方、アロマテラピーはまじめに勉強すればするほど、医学的な効果に信頼が傾くものだ。
この春から、我がクリニックでは、私の卒業したLSA(London School of Aromatherapy)の実習生を受け入れる。
学校の生徒からの医療現場における実習を熱望する声に応えたものである。
大好きな香りが、もっともっと人の役に立つように。
私も頑張ります。
2014-03-06 23:51
nice!(3)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0