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マダガスカル・マダム芳香紀行、シャネル・ジンジャーオイル工場 [セルフィッシュ・ジャーニー]

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帰国から2週間。
あんなに強烈だったマダガスカルがどんどん遠くなる。

原稿も書かなきゃいけないのに、記憶も感動もどんどん薄まってきてしまい、ヤバいヤバい。



そうだ!地球儀買おうと急に思い立つ。

WC(トイレではないですよ)参加国、ホンデュラスだかコスタリカだかナイジェリアだか、これどこ、とその度に聞いていたら、夫に「地理弱すぎ。どうやってマダガスカルまで行って来たの」と吐き捨てられ、そんならよーし!って感じである。

日本橋の地球儀専門店というところへ行き(天体科学好きのJohnnyも一緒に行きたがったので連れて行く)、地球儀を3つ買う。
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施設にいる父と、そろそろ世界へ目を見開き始めた孫へも勝手に送りつける。
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父は、定年退職後母と巡った海外の国々に殊更思いを寄せているので、きっと興味を示してくれるものと思う。
弱い視力でも出来るだけ文字が読めるように、光を反射しないマットな表面のものを選んで。


さて、届いたマイ地球儀はアメリカ・カーライル社のもので英語表示。
さっそく平面じゃなくて丸みの距離を加算したマダガスカルを眺める。
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ぼんやり明かりを灯すと、宇宙に浮かんでいる地球を見るようで(見たことないですけど)ロマンティックである。

直径30cm、1/42,000,000縮尺のこの地球儀だと、日本を右上の端に置くとその面のようやく左下に浮かんでくるマダガスカル。
すごく遠いと思ったけど、裏側ってわけじゃない。
(ま、1/42,000,000ならですけど)


ドン、ドン、ドン!!!

ようやく眠りに落ちたと思った途端、ロッジのドアをぶっ叩く音に飛び起きる。
何事が起きたのかと、一瞬頭の中が真っ白に。

シャネルのジンジャーオイル工場という魅惑的な響きにすがるように、壮絶なロストバゲージ騒動の後にたどり着いたAndasibeのVokona Forest Lodge。
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その時点で午前2時半。

何しろ最後の日はマダガスカル脱出(あえてそう言わせて頂きます)国際便に乗らなければならないので、ジンジャー工場見て、また5時間の道のりを戻る行程を相当正確に見積もって、ロッジ出発は6時と言われる。

えーと・・・

朝ご飯の時間入れると、部屋へ入って、シャワー浴びて、顔洗って、また顔洗って、最低限の化粧する時間を差し引いたら、寝る時間はほぼ1時間半てことですね。

ぴぴー!

なぜか頭の中でホイッスルが鳴る。

ロストバゲージの大騒動+揺られに揺られた夜道を体験したら、もう怖いものなんか何も無い。
睡眠時間1時間だろうが、30分だろうが、そんなことなんでもないです。
日本へ帰って(無事帰れたら)、目玉がとろけるほど寝てやりますから。

マダムの戦闘モード、キックオフ。(・・・のホイッスルだったんですね・・・)

・・・な覚悟で横たわったはずのカントリー調の蚊帳付きベッドの心地良さに思わず態勢忘れてまどろんだ途端、スタッフが1棟、1棟のドアを目覚まし時計代わりにぶっ叩いたわけだ。

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頭のネジを巻きに巻いて身支度をし、スーツケースをパッキングして食堂へ行くと、暖炉に暖かい朝食。
アフリカって暑いイメージしかないけど、高地の朝夕はぐっと冷え込む。
熱いコーヒーに涙がチョチョ切れる。

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さああ、シャネルのジンジャーオイル工場へ!

朝靄の森林を走るバスの中は、睡眠不足とジンジャーオイルへの期待のせいか、異様な高揚感。

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小1時間ほど山道走って、あの煙が見えるところが工場ですと言われてもまだ、さすがシャネル、超レアなところに工場持ってんなあーくらいにしか思わなかったけど。

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崖上にバスを止め、

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自力で向こう岸の工場へ辿り着けと言われた時には、何かの冗談かと。

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プラダのハイビスカス柄スリッポンを黄色い泥に突っ込みつつ、辿り着けばたしかにジンジャーの蒸留工場。

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ルートはまずスタッフが手動で水を足しながら叩き潰す。
生醤油で初鰹が食べたくなってくる。

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蒸留はルート以外に2種類のジンジャーリーフも。

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一応完成製品となった数少ないオイルのラベルには、CHANELではなく、Association Manara-Penitraの名。

標高600〜800mの高地にあって水田を作ることが出来ないこの地の村民に、自然を破壊しない産業をと蒸留の技術を教えて雇用を生み出し、販売ルートを与えたNGOである。

シャネルはその販売先の1社にすぎない。

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崖にへばりつくように建っているスタッフの住居。

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一応ショップだという小屋にも案内されたが、そこにもシャネルの一文字も無く、またみんなが購入するほどの数を取り揃えた完成品のエッセンシャルオイルも無い。
人々は自分たちの蒸留するオイルがフランスのトップブランドに渡ることや、自社ブランドを立ち上げて極東の島国から寝不足の目をこすりながらやって来る奇特なツァー客に売って儲けようなんてこれっぽっちも思わず、ただ穏やかに与えられた日々を営んでいるっていう気がする。

隊員の中には希少なオイルの買い付けが目的の人もいたから、そのあたりは当てが外れただろう。
(また何とか手に入れた彼の1kgのイランイラン油がロストバゲージに逢うという悲劇もあり・・・・)

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マダガスカル。

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未だ経済の発展に自力で立ち上がるには遠い国だ。

ナショナルフラッグシップは遅延が日常化し、勝手に乗客の荷物を置き去りにする一方、機内では「とってもレアなワイン」をサーブするちぐはぐさを露呈する。
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(サンテミリオンじゃなくて、名物だというグレーワインを頼んでみたんだけど)

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帰りはバンコクで乗り継ぎ。

2階建てのタイ航空機がなんと近代的な乗り物に思えたことか。

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買い物をする時間はほぼゼロだったこともあり、加工品や完成品はほとんど手に入らなかったが、ノシベ島の道ばたで売っていた素朴なワオキツネザルは、自宅の窓から2匹でじっと日本の梅雨空を眺めている。

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最後に空港のキオスクみたいな売店で急いで買ったマダガスカルプロダクツのチョコレートも食べ尽した。

さあ、このへんでマダム芳香紀行マダガスカル篇の筆を置こう。

・・・・え? ちょっと待て??

アンタ、さんざん事前に青空トイレだ、介護用オムツだって騒いで行って、そっちの報告は無いのか、と。

それが・・・

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便座無しとか、汲み置き水を自分ですくって流すとか、スレスレのトイレにはよく出会ったけど、ビール飲んだ男性陣はともかく、ガイドのセルジュさんがそのところはだいぶ気を遣ってセレクトしてくれたように思う。
露天で穴だけ、みたいなトイレには出会わず。

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ちょっとぬるっとしたアヤシげなものと飲み物、生野菜は徹底的に避けまくったおかげで、お腹もすこぶる快調。

オムツにはパリで買ったスタバのマグを大事に包んできた。

えー、つまんない。

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ロストバゲージ組は成田にでかでかと名前を貼り出され、スーツケースたちが勝手にパリ経由で帰国後4〜5日経って帰って来たというのに、アンタ、無傷で生還かと。

いいえ。

マダムは、ノシベのプレジャーボート合戦を皮切りにその後も続いた長時間移動でお尻が擦りむけ、最後にタイ航空に搭乗した時には、ワオキツネザルというよりニホンザル状態のお尻に。

マダム、 帰宅後薬用シートを患部に貼ってもらいながら、この時ほど夫が医者で良かったと思ったことはありません。
なぜって、他のお医者にこの状態を見せる勇気は無くってよ。

で、教訓。

マダガスカルに持って行かなければならないのは、オムツよりも、分厚いお尻の肉かクッション、そしてたくましい両腿の筋肉。(便座が無いトイレが多いので。毎週ジムでスクワット鍛錬しているので、そこはクリアー)

よろしくて?

でも、皆様。

ご想像いただけると思いますけど、いくら35年連れ添った夫とはいえ、この手当てをしてもらうのは大変屈辱的でした。

なので、今回のシメは・・・・

マダム、お尻の皮とプライドをマダガスカルにロストバゲージ。

・・・ってことで。

それでは皆様、一旦ごきげんよう。

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