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自宅、さらばモロッコ [フレグランス・ストーリー]

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ああ、行ってよかった。

例え、旅先で小さな失敗や行き違いがあろうとも、それも思い出の中の一コマになって後で笑えるのが旅のいいところだ。

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夫が当直の夜、ワインに身を委ねながら、スワナプームの山岳民族支援ショップで買ったカレン族のジャケットを羽織って一人ファッションショー。

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同じプロダクツで、髪をまとめるシュシュもキッチュでカワイイ。

帰国してからもこうやって思い出を反芻して、実物大以上に旅を楽しむのが私流。

こうして何もかもが人生の彩りになるから、旅は行ってしまえばそれで成功なんである。

というのも、自営の仕事を持ち、高齢の父を抱え、なおかつ人間で言えば齢100歳近いべっちゃんもいるため、最近特に海外旅行は計画する度ドタキャンでもやむなしと覚悟。
飛行機の発券期限と父の容態、仕事の進行状況、犬達の様子を睨み合わせながら、スーツケースをパッキングする。

だから計画どおりの飛行機に乗り込み、機が成田または羽田の滑走路をふわりと離陸した瞬間に、ああ、今回も行けたと心の中で万歳をする。

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しかし今回、58歳にして初めて計画した旅をリリースする。

幸いなことに理由は父でも犬でも無く、遠いところにあると思っていたエボラ、思わぬところにあった落とし穴である。

サハラ砂漠を見たい見たいと思いながら数年。

言う度に夫含む数人のオヤジたちから「鳥取砂丘じゃダメなの」と揶揄され(ダメに決まってんだろー。しかし、オヤジたちってなんで鳥取砂丘って異口同音に言うんだろう)、それでもめげることはなかった。

当初チュニジアから入るルートを想定していたが、その後の政情悪化で現在渡航要注意国となってしまい、行けなくなった。
しばらくあきらめていたが、先のマダガスカルで一気に心がアフリカへ飛んでいってしまった。

今なら行けるかも知れない。

家庭の事情と体力がすり減ってしまわないうちに、モロッコから攻めることにした。
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チュニジアならば市街地からすんなりと(一応人のハナシでは)砂漠に辿り着けたものを、モロッコで国際線が離発着するカサブランカからは険しいアトラス山脈越えの、往復少なく見積もって1500kmの陸路(当然舗装などされていない悪路だろう)移動を強いられる。

そのうえ、カギのかからない砂漠のテントでの宿泊は女性一人では止めた方がいいと言われ、そこはあきらめかけたところ、なんと一緒に行きたいと言う奇特な友人が「チーム58」(先日軽井沢に集合した同期メンバー)の中から現れる。
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さあ、勢いづいたのなんのって、もうすぐ58歳二人。

ドバイ経由でカサブランカに降り立ち、迷宮の都フェズでリヤド(モロッコ伝統の民家を改装したプチホテル)に泊まり、そこから日本語ガイドを雇って往復1泊ずつの途中休憩を含むアトラス山脈越えを決行し、砂漠に着いたらラクダ移動してテントに1泊、最後にマラケシュ郊外のアマンリゾート、Amanjenaに3泊、という、これ以上のアイテネラリーは考えつかんというくらいのプランを練る。

飛行機も決まって後は現地行程をもう少しスリムに練り上げるだけ、という段階で、西アフリカのエボラ出血熱の拡大が報道されるようになり、それに、これまで私のどんな我がままな旅行もダメと言ったことが無い夫が反応した。

地球儀回して流行地域4カ国から2、3カ国間に挟まってるしーとか、至ってのんきな外務省のHPを見て安心したりとかしていたが、夫含め回りの医療従事者、息子達は一様にNO
曰く、日本の外務省は過小評価し過ぎだと。

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同行するはずだった友人と誕生日前日5時間も飲んで検討重ねるも結論出せず、丸ノ内線の改札で分かれる間際にとうとう取りやめの意思決定をする。

何も今行かなくたって、またエボラが収束してから行けばいいじゃないか。

夫達周囲の意見はそうであろう。

でもそうじゃない。

今回行かなければ、多分もう一度家族の状態や仕事の状況、自分たちの健康状態など、二人揃ってGOの条件が揃うことがないだろう。
何よりもかなり過酷で費用もかかる旅なので、一旦こうして乗った気持ちで勢いを付けなければ、突破できそうも無いことは、お互いがよーく分かっている私たちである。

感染したアメリカ人医師が未承認薬で回復し退院したというニュースもその後流れ、エボラは多分このまま恐れていたパンデミックにはならずに緩やかに収束に向かうのであろう。

だが、さあエボラが治まったのでこの行程でまたモロッコに向かい合えるかというと難しい。

いつも思うように、旅は飛行機に乗ってしまうまではある勢いが無いと辿り着けない。
気持ちを盛り上げてくれる体験や経験則がまだそこには無いのだから。

飛行機が離陸した途端に早くもこみ上げる時期尚早な私の達成感は、年々海外へ行く条件がキビシくなっていく自分の年齢や環境を今回も突破したという、その満足感だろうと思う。


素敵なブーケをありがとう、S子ちゃん。
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でも、思いは繋げようね!



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