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自宅、ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち [マイハーベスト]

冬になると、身体が脂質の多い木の実類を欲するようになる。

ただの無塩のクルミを貪り食うのも冬眠前のリスかクマになった気分で悪くないが、この冬の羊羹、旨し。
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22日、冬至。

花屋さんが畑からもいできたばかりの柚子をバスタブに投入。
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香しさよ、よくぞ日本に生まれけり。


23日、自宅でクリスマスパーティ。
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翔子さんのパフォーマンスに、孫達は釘付けである。
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音楽と、ちょっとした食べ物と、仲間たち。
何だかそれ以外に欲しいものが今は見つからない。


久しぶりに読後、心がすっと晴れやかである。

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「ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち〜ボートに託した夢〜」
(ダニエル・ジェイムス・ブラウン著/森内薫訳/早川書房)

1936年、ナチス政権下のドイツで開催されたベルリンオリンピック。

上流階級のスポーツとされていたボート競技で、田舎者と言われたシアトル・ワシントン大学のボート部が、オリンピックをプロパガンダに利用しようとするドイツ・イタリアを相手に熱戦を制し、全米を熱狂させる。

邦題を見ると焦点がこのオリンピックの特異性に当たりがちだが、クルーの中で最も過酷な生い立ちを辿るも、彼の人間としての圧倒的な資質が読む者の胸を打つジョー・ランツのバックグラウンドを軸に、芸術的なボートを創作する職人で、クルーの人間性に大きな影響を与えたジョージ・ヨーマン・ポーコックの示唆を絡めながら語られるノンフィクションは、大長編ながら全編に爽やかさが吹き抜ける。

成長期にある青年が全身全霊をかけて打ち込む姿と成果は、いつの時代も感動的で芸術的でさえあると私は思う。
悔しいけれど、女性はその世代においてその域に達する極限性を持たない気がする。

若者のひたむきで清潔な熱量は、傲慢な政治や征服欲を圧倒するものだ。


ボート競技というものに特に触れたことがなかったので、本著で初めて詳細を知ったが、ステージが水の上だからだろうか、スポ根ものにありがちな泥臭さが感じられず、ただ清涼感のある折り目のようなものが通ったスポーツという印象。

もし精神的肉体的に「正しい」成長というものがあるとしたら、まさにこのクルーの青年たちのそれだろうと思わせる。

気温零下。
ボートが湖の上を滑り出した途端、街の喧噪がすっと遠ざかる。
聞こえるのは艇尾でストロークのカウントを叫ぶコックスの声だけ。

そんななめらかな無音の世界を体験してみたいものだ。

数年前の英国旅行中、ウィンザー城のそばを流れるテムズ川の支流を、授業なのか、高校生たちがボートで漕ぎゆく情景が美しくて見入ったことを思い出す。




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みみちゃん

この小説 知りませんでした。検索したら面白そうですね。読んでみます。
香港で年越しなのですね。我が家は今日 娘家族が東京に戻り、私は今一時帰国している息子家族と明後日岐阜で会います。
あとは、近場の登山とジョギングです。
来年もよろしく〜
by みみちゃん (2014-12-31 07:15) 

mana

みみちゃん。あけましておめでとうござます。
今年は主人がまとまった休みが取れたので、急遽気ままな外国を選んでしまいました。
みみちゃんはお孫さま達とお過ごしなんですね。

ノンフィクションですが、「正統な男子の育て方」を反省させられました。ボート男子、孫のうち誰かそうなってくれないかしら?

今年もよろしくお願いいたします!

by mana (2015-01-01 21:43) 

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