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ミャンマー、春を待つ人々 [セルフィッシュ・ジャーニー]

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歩いてきたミャンマーの道が記憶の中で細くなり始める頃、スーツケースの一番奥にしまい込んであった傘を広げてみる。

竹と蝋引きの布で出来たこんな美しいものが、たった400〜500円(それでもヤンゴンのこの値段は原産地の5倍だそうだ)で、猥雑な市場の片隅で無造作に売られている。

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手配した従兄が、まだまだ情報が少ない中からホテルを厳選してくれたので、有名な停電にも給水ストップの憂き目にも遭わず、(そして付け加えれば、アヤシげなローカル便を乗り継いだ割にはロストバゲージにも遭わず。これ、素晴らしい!!)快適な滞在だったが、ホテルを一歩出れば、度重なる内戦とイギリス支配、軍事政権支配に屈してきた混沌が町中に溢れている。

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ちょうど春節の初日で賑わう中国人街の活気ある路上ビヤガーデン。

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35、6℃の炎天下での生もの陳列も日常のよう。
ぐっとくる濃い臭気。

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お茶の葉っぱを煎って発酵させ、胡麻や豆類と混ぜ合わせて食べるミャンマーを代表するスナック(?)おつまみ(?)、ラペッ・トゥ。
屋台で試食させてもらったが、高菜漬けに似た味で違和感無し。

美味しいのでバガンで2袋ほど購入してみたが、パッキングが甘いためスーツケースの中で無惨にも爆発。
泣く泣くヤンゴンのホテルで廃棄処分。

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芸術的な並べ方で売っているビンロウの葉。

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中に刻んだ香辛料を包んで噛むと目が冴えると言われ、ミャンマーの人がガム代わりに噛む。
噛んでいると真っ赤な抽出液が出るらしく、歩道は噛み終わって吐き捨てられたその赤いマークが至る所にあって、はっきり言って道が汚れている。


市場は欧米人の観光客も押し寄せて、どこも大変な活気だ。
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ココナツは大事な供え物として、赤白のリボンが結びつけられるように柄を残して売られている。

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その場で調理をしながら提供するミャンマーのファストフード。

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めっちゃおいしそうなんだけど。

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前回イタい思いをしているので、今回は慎重を期して屋台フードは回避、リバーサイドのレストランのミャンマー料理に留まる。

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犬はペット用に売っていると信じたい。

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客引きのためだろうが、民芸品のデモンストレーションをする首長族。
100近い多民族が集まる国ゆえの内戦も多かったという。

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ミャンマー特産の化粧品、タナカ。

タナカという香木をすり下ろして水で溶いたもの。
商品は軽いクリーム状で売られている。
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美白、日焼け止め効果があると言われており、子どもから大人までみんなタナカ顔!
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タナカは一種の女性の身だしなみで、塗っていないときちんとした躾をしない家だと思われるんだという。
手の甲に塗ってもらったタナカから立ち上るほのかな優しい香りは、穏やかで友好的なビルマ人の人柄そのもののように思えた。


もう一つのミャンマー特産品は漆器。
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竹の器に漆を数十回重ねて塗り、その厚みのある表面に針で模様を彫った後、朱や金の塗料を被せて彫りに色を入れ込むという手法だ。

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確かに模様は繊細なのだが、塗り自体がぼってりとしているせいか、日本のつややか、かつ軽やかな漆器の洗練度には及ぶべくもない。

値段も別室展示の特別高級品でも、へたをすりゃ数百万円になる日本の漆器に比べ、数万円どまりのもの。

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民族衣装の巻きスカート、ロンヂーは、女性のみならず男子もほとんどが身に付けている。

ズボンよりもきちんとしている格があり、リクルートの面接などはみなこれで行くそうだ。
写真が上手く撮れなかったが、若いビルマ男子がキュッと上がった腰にきりりとロンヂーを巻いている姿は、着流しの腰帯のようで妙にカッコいい。

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黄金の寺、コケティッシュな仏像、キッチュな街。

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軍事政権へ警鐘を鳴らした欧米諸国からの経済制裁を2011年にようやく解かれて、民主主義へ第一歩を踏み出したばかりのミャンマーには、国を織りなす多民族の文化と深く浸透した小乗仏教が、色濃い独特のエキゾシズムとしてまだ手つかずで残っている。

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日本の影響は街のそこここに見られる。

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第二次世界大戦中に日本軍がアウンサン将軍(スーチーさんの父上)率いる国民軍に加担してイギリス統治から解いたせいもあり、他のアジア諸国が当時の日本を侵略国として敵視したのに対し、ここミャンマー(当時ビルマ)だけは日本への眼差しがどこか優しいと感じる。

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4日間、つききりでガイドしてくれたアウン(Aung)。
この時、人生で2度目のパスタだと喜んでいたっけ。

ミャンマービール飲みながら、いろんなことを話したね。

小学校だけが義務教育だが、そこにすらも子どもも通わせられない家庭が多く就学率は60%だってこと。

欧米からの経済制裁で事実上の鎖国だった時代に唯一つながりのあった中国に、現政権がいいように操られて、豊富に産出している天然ガスも市民には行き届かなくて、停電が多いこと。

燃料不足でヤンゴン市内はバイク使用が禁じられていること。
そのために市民の足はドアの無いオンボロバスだけであること。

停電というネックのために、各国のODAも開発の手を今ひとつ差し伸べられないこと。

若者の失業率が異常に高くて、大学を出た子でさえ、渋滞中の車の間を縫って水や地図を売っていたりすること。

でも、スーチーさんが軟禁を解かれて、ミャンマーは確かに民主主義という出口の明かりに向かって歩み始めたところだと感じる。

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マンダレー地元民の四男で、通信制の大学在学中にお寺で日本語をマスターしたという彼は、「101回目のプロポーズ」を観て、ミャンマー語と日本語は主語と目的語の配列が同じだと気付いたという、優秀でシャイな青年だった。

普通日本語を学ぶ外国人が苦手な漢字もほぼマスターして、日本の新聞が読めるというから驚きだ。

「あなたは101回目のプロポーズのヒロイン(誰だったかな?)に似ています」と精一杯のお世辞も言ってくれた。(多分日本人は皆同じ顔に見えるんだろう)

アウン、私、もうすぐあなたたちの時代が来ると信じている。

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お寺の参道で売られている、日本のだるまのようなラッキー・アイテム。

ミャンマーに本当の意味の幸せが訪れることを心から願う。




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