混迷のインド、サンバックの香り [セルフィッシュ・ジャーニー]
国の玄関口である空港にはその国独特の匂いがある。
例えば韓国の金浦空港はキムチの匂い、インドのニューデリー空港はカレーの匂い・・・・
・・・って誰が言ったんじゃい!
(ちなみにその頃、日本の成田空港は味の素の匂いがすると言われ、妙に私も納得した覚えがあるんだが・・・)
なんの匂いもしないよ!インディラ・ガンディー空港!!
みてみて〜〜〜
仏様の手の形オブジェだよぉ。
この後11日間のインド滞在中、あと4回、いや、最後は2日続けて通ったんだから正確には5回、私はこの空港を訪れるのだが、この時点でまだそんなことには気付かず、ノーテンキ&上機嫌のまずはインド上陸である。
調香師のミスター稲葉と二人、インド・オーダーメイド香料視察の旅。
(注:サイババではありません)
上々のスタートである。
後で一生恨むことになるエアインディア往路便での私の興味は、ひたすらこの前の席の紳士が寝る時は頭のかぶり物を取るのかということ。
(トイレに行くついでにそれとなく観察したが、お休み時もこのままだった)
私のスーツケースには要注意のタグが付けられている。
だってだって、混迷のインドだよ?
ペーパーレストイレが日常の国だからトイレットペーパー必携だと訪印経験者数人に言われ、一番暑い季節の訪問につきポカリの粉末とOS1のゼリー、9割がお腹壊すらしいからレトルトおかゆ、梅干し、蚊取り線香、エトセトラ、エトセトラ・・・
持ち物は果てしなく増え続けたんである。
これじゃキャンプだよ。
持ち物からも図られるとおり、私は身も心もインドというカオスから武装し、身構える。
「洗ってもすぐに乾くのでTシャツ2、3枚だけの軽装で出掛けましょう」という地球の歩き方無視、バックパック1コと妙に可愛い手提げだけのミスター稲葉とは格段の差である。
もとい・・・
インドはカレーの匂いじゃない。
何冊かのおもしろインド滞在記の記載のように、猥雑な人間の営みの匂いもしない。
香料の視察というデスティネーションを追う私たちは、結果的には香しい花の香りにいつも抱かれていたように思う。
香料視察は3カ所。
まずはミスター稲葉がコンタクトを取って視察に漕ぎ着けたALI BROTHERSのファーム。
デリーから東へ飛行機で1時間飛んだラクナウという古都からさらに車で3時間ほどの、地球の歩き方にも載っていないカナウジという小さな村にある。
そこで出会ったジャスミン・サンバック。
タイのポーワン・マライ(捧げものの花輪)にふんだんに使われるサンバックを見てから、長い間、一度でいいから咲き誇る場所を見たいと願ってきた花である。
この村は、まるでアリババの(サイババじゃないっす。しつこい?)の世界。
入り組んだ迷路のような不思議なロケーションだ。
インド特産のサンダルウッドに別の香りを移す「アッター」を生産する業者が集まった珍しい村である。
村の人口の65%が香料関連事業(天然・合成含め)に就業し、25%は天然香料業に関わっているという、まさに”香料の村”である。
外国人が珍しいらしく、小さな駅の前で休んでいると写真を一緒に撮ってくれと人が集まってくる。
ファームではローズとサンバックのアッターを生産する季節にあたっており、見渡す限りの畑でそれらの花を見ることが出来る。
気温は軽く40℃超え。
ファームの番人もお昼寝中。
ミスター稲葉は土の香りのミッティーの製造過程に興味津々。
アフガニスタンが出自の一族で経営するALI家では、さまざまな原料やアッターの製造過程を、ハンサムな次期社長が説明してくれる。
ガイドのランジャン(彼については後述)はカナビス(=大麻)と記念撮影。
そこじゃないって。
ラクナウから往復6時間の車移動はきつかったが、アッターの製造過程や業者の集まる村という特殊な環境を見られたのは、本当に貴重な体験だったと思う。
ALI BROTHERS社から贈られたアッターのサンプルボックス。
シナモン、ヴェチバー、ミッティーなど、世にも珍しいアッターたちだ。
次に南のチェンナイ(旧マドラス)に飛んで、ALI B社のサンバックのエッセンシャルオイル工場へ。
カナウジから同行して案内してくれたムーサ氏、ガイドのランジャンと。
ミスター稲葉はここでチュベロースの蒸留が見られると思っていたらしく、チュベローズの最盛期は12月と言われて、ハシゴ外され状態。
まあ、インドの業者相手のメールのやり取りだけで取り付けた見学だから、いろいろお互いに齟齬はあろうと思う。
チェンナイでは、どの女性も髪にサンバックやペーパーフラワーのガーランドを飾っている。
ガーランドは道ばたで供え物として小銭で買える値段で売られており、車のミラーに下げたり、髪に飾ったりする。
両方着けてみた欲張り者。
朝着けた蕾のガーランドは夕方近くになると花弁が開いて、言いようもなく香しい香りをあたりに振りまく。
最後にどーしてもチュベローズが見たいと言い張るミスター稲葉のため、観光をぶっつぶしてチェンナイからさらに2時間以上車で突っ走った小さな村。(たしかバンガル村っていったっけ?)
その村からまた1キロ以上も雨上がりの悪路を歩かなければ到達しないという畑見学をあきらめた私を村人たちが優しく迎え入れてくれる。
アラウンド60の同年代。
村でトイレがあるのはここの一軒だけという家の奥様は、トイレを貸してくれ、一緒に写真に納まってくれ、私の両方にキスの雨を降らせて、チャイを作るよと歓待してくれる。
(裸足で、大量の虫が行き交うインド式トイレに入るには、かなりの覚悟が要ったのだが)
まるでウルルン滞在記だなー
インド人には気をつけろってみんな言うけど、そんなことないなー
ミスター稲葉が大満足で摘んできたチュベローズのように、小さな村々の暖かさがふんわりと花の香りと共に心に広がる。
武装してきた心をインドに解き放つ。
辺りの花の香りを両肺いっぱいに吸い込む。
そう、この時点までは・・・
例えば韓国の金浦空港はキムチの匂い、インドのニューデリー空港はカレーの匂い・・・・
・・・って誰が言ったんじゃい!
(ちなみにその頃、日本の成田空港は味の素の匂いがすると言われ、妙に私も納得した覚えがあるんだが・・・)
なんの匂いもしないよ!インディラ・ガンディー空港!!
みてみて〜〜〜
仏様の手の形オブジェだよぉ。
この後11日間のインド滞在中、あと4回、いや、最後は2日続けて通ったんだから正確には5回、私はこの空港を訪れるのだが、この時点でまだそんなことには気付かず、ノーテンキ&上機嫌のまずはインド上陸である。
調香師のミスター稲葉と二人、インド・オーダーメイド香料視察の旅。
(注:サイババではありません)
上々のスタートである。
後で一生恨むことになるエアインディア往路便での私の興味は、ひたすらこの前の席の紳士が寝る時は頭のかぶり物を取るのかということ。
(トイレに行くついでにそれとなく観察したが、お休み時もこのままだった)
私のスーツケースには要注意のタグが付けられている。
だってだって、混迷のインドだよ?
ペーパーレストイレが日常の国だからトイレットペーパー必携だと訪印経験者数人に言われ、一番暑い季節の訪問につきポカリの粉末とOS1のゼリー、9割がお腹壊すらしいからレトルトおかゆ、梅干し、蚊取り線香、エトセトラ、エトセトラ・・・
持ち物は果てしなく増え続けたんである。
これじゃキャンプだよ。
持ち物からも図られるとおり、私は身も心もインドというカオスから武装し、身構える。
「洗ってもすぐに乾くのでTシャツ2、3枚だけの軽装で出掛けましょう」という地球の歩き方無視、バックパック1コと妙に可愛い手提げだけのミスター稲葉とは格段の差である。
もとい・・・
インドはカレーの匂いじゃない。
何冊かのおもしろインド滞在記の記載のように、猥雑な人間の営みの匂いもしない。
香料の視察というデスティネーションを追う私たちは、結果的には香しい花の香りにいつも抱かれていたように思う。
香料視察は3カ所。
まずはミスター稲葉がコンタクトを取って視察に漕ぎ着けたALI BROTHERSのファーム。
デリーから東へ飛行機で1時間飛んだラクナウという古都からさらに車で3時間ほどの、地球の歩き方にも載っていないカナウジという小さな村にある。
そこで出会ったジャスミン・サンバック。
タイのポーワン・マライ(捧げものの花輪)にふんだんに使われるサンバックを見てから、長い間、一度でいいから咲き誇る場所を見たいと願ってきた花である。
この村は、まるでアリババの(サイババじゃないっす。しつこい?)の世界。
入り組んだ迷路のような不思議なロケーションだ。
インド特産のサンダルウッドに別の香りを移す「アッター」を生産する業者が集まった珍しい村である。
村の人口の65%が香料関連事業(天然・合成含め)に就業し、25%は天然香料業に関わっているという、まさに”香料の村”である。
外国人が珍しいらしく、小さな駅の前で休んでいると写真を一緒に撮ってくれと人が集まってくる。
ファームではローズとサンバックのアッターを生産する季節にあたっており、見渡す限りの畑でそれらの花を見ることが出来る。
気温は軽く40℃超え。
ファームの番人もお昼寝中。
ミスター稲葉は土の香りのミッティーの製造過程に興味津々。
アフガニスタンが出自の一族で経営するALI家では、さまざまな原料やアッターの製造過程を、ハンサムな次期社長が説明してくれる。
ガイドのランジャン(彼については後述)はカナビス(=大麻)と記念撮影。
そこじゃないって。
ラクナウから往復6時間の車移動はきつかったが、アッターの製造過程や業者の集まる村という特殊な環境を見られたのは、本当に貴重な体験だったと思う。
ALI BROTHERS社から贈られたアッターのサンプルボックス。
シナモン、ヴェチバー、ミッティーなど、世にも珍しいアッターたちだ。
次に南のチェンナイ(旧マドラス)に飛んで、ALI B社のサンバックのエッセンシャルオイル工場へ。
カナウジから同行して案内してくれたムーサ氏、ガイドのランジャンと。
ミスター稲葉はここでチュベロースの蒸留が見られると思っていたらしく、チュベローズの最盛期は12月と言われて、ハシゴ外され状態。
まあ、インドの業者相手のメールのやり取りだけで取り付けた見学だから、いろいろお互いに齟齬はあろうと思う。
チェンナイでは、どの女性も髪にサンバックやペーパーフラワーのガーランドを飾っている。
ガーランドは道ばたで供え物として小銭で買える値段で売られており、車のミラーに下げたり、髪に飾ったりする。
両方着けてみた欲張り者。
朝着けた蕾のガーランドは夕方近くになると花弁が開いて、言いようもなく香しい香りをあたりに振りまく。
最後にどーしてもチュベローズが見たいと言い張るミスター稲葉のため、観光をぶっつぶしてチェンナイからさらに2時間以上車で突っ走った小さな村。(たしかバンガル村っていったっけ?)
その村からまた1キロ以上も雨上がりの悪路を歩かなければ到達しないという畑見学をあきらめた私を村人たちが優しく迎え入れてくれる。
アラウンド60の同年代。
村でトイレがあるのはここの一軒だけという家の奥様は、トイレを貸してくれ、一緒に写真に納まってくれ、私の両方にキスの雨を降らせて、チャイを作るよと歓待してくれる。
(裸足で、大量の虫が行き交うインド式トイレに入るには、かなりの覚悟が要ったのだが)
まるでウルルン滞在記だなー
インド人には気をつけろってみんな言うけど、そんなことないなー
ミスター稲葉が大満足で摘んできたチュベローズのように、小さな村々の暖かさがふんわりと花の香りと共に心に広がる。
武装してきた心をインドに解き放つ。
辺りの花の香りを両肺いっぱいに吸い込む。
そう、この時点までは・・・
2015-05-23 00:01
nice!(1)
コメント(2)
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マナさんのインド報告、期待に胸ふくらませて待ってましたヽ(^o^)/
早く続きが聞きたい!!!
by なおこ (2015-05-23 17:26)
なおこさん、ありがとうございまーす!
インドはこれまでになく密度が濃く、しかもちょっぴりデンジャラスで、何から書こうか迷います。
ご期待に添えるよう頑張って書きますね!
by mana (2015-05-23 17:33)