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混迷のインド、翻る原色 [セルフィッシュ・ジャーニー]

瓦礫と砂塵の国が、まったく悲惨にも退廃的にも感じられないのは、花や建物、そして女性たちが身に纏うサリーの生き生きとした原色の洪水と、人なつこい子どもたちの生気にあふれた大きな瞳のせいだろう。

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都市部の観光地で物乞いや商売をする子たちも沢山いるが、それはその境遇を察するだけで気持ちを濾過させるしかない。

ちょっと観光客慣れしていない地方へ足を伸ばせば、そこにあるのは単純にあまり見たことが無い外国人を見て喜ぶ屈託のない笑顔だ。
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少女たちは驚くほどの美人さん揃いだ。
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シンプルに今日生きることだけを考える。
それでいいんだと思える。




無彩色の土と埃の風景の中に原色が翻り、はっとする瞬間が何度もある。
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女性たちが身に纏うサリーは、地方によっても(多分)身分によっても、素材も凝らした手法も形も違うのだが、共通しているのはそれらがすべて日本の服飾への色彩意識とはまったく異次元の、非常にビビットな色合いだということだ。
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いやー、素敵だなあ。

生来の布フェチっ気が刺激されすぎて仕方無い。

それを満足させてくれたのが、デリーの次に、アッターの村カナウジ(Kannauj)への足がかりとして訪れたラクナウ(Lucknow)という地方都市だ。
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ミスター稲葉が、なんかちっちゃなメモ帳に走り書きした甚だ頼りないリサーチで、この町にはチキンレースという名物の美しいテキスタイルがあるから、ボクはどうしてもそこで洋服を買いたい、とのこと。

チキンレース???

まじか、と冗談半分で連れていかれた店がすごい。

まるで京都の呉服屋さんのように床から天井までの棚に、びっしりと美しいレース布の山。
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しかもひとつとして同じものはないような気がする。
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これは女性なら国籍問わず夢中になるわね。
LAKHNAWI HANDICRAFT & CHIKAN CREATION Ltd.

ちなみにchicken raceではなく、チカンレース(CHIKAN LACE)布である。

ミスターは念願のサイババ風(また言っちゃった)チュニック(Kurtaっていうのかな)をゲット。
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こちらは散々あの布、この布(サリーは反物のように6mの布の状態で売っているので)と巻き付けてもらって、結局花嫁のベールのような一枚を。
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日本の反物と同じように、6mの布の中で、前身頃、袖、裾などにくる場所によって刺繍の密度や手法を変えているのがすごい。

日本でサリーとして着ることは無いだろうが、半年かけて刺繍を施したというその手仕事を手中に納める。

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美しい布と美しい売り子さん。

ちなみに彼女が着ているパンジャビードレスはサリーより実用的で、ラクナウ空港内のショップで私も一枚購入。
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しかし、サリー、なんていったって6mもの布を折り畳んで身体に巻き付けるのである。
大変余計なお節介だが、人ごとながら心配なのは、あのインド式しゃがむスタイルのトイレではどうするのかということなんである。

最後、搭乗機がキャンセルになって大混乱のジャイプル空港で、とっても高価そうな素敵なサリーを着た(しかしとってもタカビーなナッツリターン姫みたいな)女性が、大勢に使用され尽くした悲惨なトイレに悠々と入っていくのを見て、複雑な気持ちがする。

チカンレースのパンジャビー、次のチェンナイで着用、ガイドのランジャンと。
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サリーの布は、デリーでも素敵なのを沢山見たし(もっとゆっくりお店を見て回りたかった)、最後に行ったジャイプルではビーズやキラキラメタルがいっぱい付いたものも沢山売られていた。
インドの女性がサリーにかける情熱と費用は、日本女性が着物にかけるそれと同じようなものがあると聞いたことがあるが、まさにそうなんだと思う。

美しく装いたいという女性の情熱が様々な織りや刺繍や染めの技法を生み出し、それが一つの文化となっているのは万国、どの国へいっても同じである。
私が各国の布に惹かれるのは、そんな理由だ。

ラオスやミャンマーの山岳民族の素朴な布も生命がこもって素晴らしかったが、裕福な人々が金に糸目をつけることなくその技術をエスカレートさせていった布は、宝石のように一種の錬金術にもなり得よう。

マハラジャという大金持ちが存在するインドでは、きっと素晴らしい布もどこかにまた存在するに違いない。

そんな思いが、最後のジャイプルであやうくインチキに引っかかりそうになった一つの原因なのだが・・・。

とりあえず、以下次号!

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