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混迷のインド、 どうしてこうなる、エアインディア [セルフィッシュ・ジャーニー]

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比較的、人生の修羅場というものを経験せずに生きてきた幸せな日本人である。

そのため考えも浅く、お調子者で、無謀である。
だから息子達をして、無知ほど怖いものは無いという言葉をオレたち、お母さんを見てよーく学習したぜと言わしめる。

大学生時代、一人で1ヶ月間ホームステイをしながらインドを巡り歩いた次男が、常々「インドだけは女一人で行ってはいけない」と言っていた意味を深く考えもせず、ミスター稲葉と分かれた後数日間だけだから、とロンリープラネットしたことを今は深く反省する。
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いったいどこの家出娘。
大切そうにぶら下げたズダ袋には、インド到着2日めのアーグラでの獲物が入っている(涙)
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これ、そんなに大切なものだったのですか、マダム。
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余談が長くなって。

突然ですが・・・・
空港の床に座ったことありますか?

ベンチじゃなく、人の踏み荒らした泥と砂とワケの分からない汚水にまみれた床、ハトがわさわさ乗客の頭上を行き交う、よりにもよってインドのジャイプル空港の・・・
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(あ、私、毎日のように空港の床に座っています、と言う方はこの辺飛ばしてください)

普段ソファやベンチの目線で見るのと、ヒンドゥー語と不安に包まれて床から見上げるのとでは、こんなにも空港という景色が一変するものだと驚愕するので、もしよろしければ是非。

最終日、Amanbaghのガーランじゃないドライバーに、もちろんあのアヤシい骨董屋に寄ることもなく、2時間の道のりを送り届けられてジャイプル空港に到着、エアインディアのカウンターで、デリーでトランジットする成田便までをチェックインして2枚のボーディングパスを受け取り、ラゲージもスルーで成田まで預け、気分はもう「カレーもいいけどおせちもね!」な感じだったわけである。
(このギャグが分かるのはアラ60代のお仲間です・・)

前日の騒動でほとんどお土産など買っていないので、最後に全部ルピー使っちゃうわよと空港内の小さなショップに入り浸っている間に、多分外の様子は急変していたのだと思う。
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小さな空港に人がやけに溢れ始めたなと思うと同時に、ジャイプル地方は現在ものすごい砂嵐で視界不良、私の乗るはずのエアインディア・デリー行きのみならず、すべての運行便の離発着を停止しているとのアナウンス。
インフォメーションボードにはdelayの文字が並び、小さな地方空港内は足止めされた人々であふれ、一旦立ったら座るイスは二度と回って来ない。
階段にも人が座り込んで上り下りも出来ない状態。
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デリーのトランジットには4時間取ってあるからと、最初は余裕こいていたが、2時間経っても3時間経ってもデリーから多分来るのであろう折り返し機はウィングの先に見えない。
トランジットの時刻がリミットに近づく焦りの中、ついに恨みのエアインディア・デリー行きが「delay」ではなく「cancel」になったとのアナウンスが流れ、待合室からは一斉に落胆のため息、そして次々に人々が席を立ってゆく。

Why? Why was Air India so easy in this situation?!

他の航空会社は、2時間3時間遅れでも、何とか飛び立って行くのに、である。
キャンセルって言ったら、どんなに待っててもデリー空港まで行かないってことですよね?

ざわめきと罵声とアナウンスであふれ返る空港の音の中からかろうじて英語のアナウンスだけを拾い出して必死にリスニングし(普段Johnnyと1対1で話していても聞き取れなくて苦笑いされるのに)、キャンセルになったデリー便は19:20発の他社デリー便に振り替えると知ったのは19:00ちょうどあたり。
デリー発の成田行きは20:00発だったので、もうどうやっても間に合わない。

しかし、その時はそれよりも何とかしてデリーまで行き着かねばという思いで(ジャイプル空港はドメスティック専用なので)エアインディアのチェックインカウンターに走り、放り出されていたトランクを拾い上げてジェットエアウェイズにチェックインし直し、チケットをもぎ取ってゲートに走る。

しかし走った甲斐もなく、今度は19:20発のはずのジェットエアウェイズ機の出発のアナウンスは待てど暮らせど無く、最悪、この機までキャンセルになったらもうジャイプル空港の床に寝るしかないと覚悟を決め始めた22時過ぎ、この日ジャイプルを発つ最後の便としてデリー行き機は飛び立つ。
15時にはドライバーに送られてジャイプル空港に到着していたので、実に7時間も混乱の中で過ごしたことになる。
(しかし、その後のデリー空港での顛末を考えれば、序の口だったのだ、これも・・・)

前日のショッピングと合わせて散々な目にあったジャイプルの町が夜の闇に吸い込まれて行くのを見ながら、もう二度とここには来ないと思う。

23:30、ようやくデリー着。
この旅、5回目のデリー空港である。
仏様の手の形のオブジェも、見飽きてもう何の感動も無い・・・
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さあ、もう乗るはずの成田行きエアインディアは、自社の国内便をキャンセルにしたことなど露ほども反省せず、3時間以上も前に飛び立った後。
どうするよ?マナさん

チケットを手配した日本の旅行社に問い合わせしてみると、もちろん日本も夜中なんで、
「深夜01:00発のANAがあるはずなんで、エアインディアのカウンターで振り替えてもらってくださ〜い」
と、眠そう、かつこのお答え。

振り替えてもらってくださ〜いって、オマエ、自分でやってみろよ、と言いたい。

エアインディアのカウンターに到達したのなんて、その2時間後ですぜ。
ANAなんてもう離陸してる時間である。

相手は海千山千のインドのナショナルフラッグシップ、エアインディアだぞ?

すんなり、
あ、ウチのドメスティックをあんなにあっさりキャンセルしてすみませんでした。日本に帰れなくてさぞお困りでしょう。ウチには利益になりませんが、ANAさんのビジネスクラスに振替の手続きしてチケットお渡ししますね。
・・・とでも言うと思っとんのかいっ!

この空港、まずは成田や羽田のように見送りの人も含め誰でもとりあえず出発ロビーまでは入れると言うわけではなく、空港入り口には多分銃を持ってる感じの警備員(?)がいて、Eチケットなり、チケットが無いならその理由を示した何らかの証明書なりを見せないと、もしくはなにがしかの袖の下を渡さないと入れない。
(しかも後で考えるに、コイツらがいろんなエアラインや旅行会社と賄賂で絡み合ってるらしく、尋ねる人によって全く別のカウンターに行けと言ったりする)

「エアインディアのカウンターに行って振り替えてもらってくださーい」のまず「カウンター」に辿り着けないわけである。

そのためには出発ロビーの外側にあるそれぞれの航空会社のオペレーションセンターみたいなところに行って、「ジャイプル→デリー便がキャンセルになり、デリー→成田便に不可抗力で乗れなかった」という証明を出してもらい、それを恐ろしげな警備員に見せて空港内に入れてもらい、エアインディアのカウンターに行ってようやく振替の要求をする(結局振替なんかしないのだが)という流れ。

この複雑なシステムをその時は全く理解できず、英語とヒンドゥー語ちゃんぽんの説明も分からず(テキトーな裏話はヒンドゥー語使うので、雰囲気が伝わりにくい)あっちのカウンターへ行け、こっちでマネージャーに話ししろ、とたらい回しされているうちにANA離陸時間である。

薄々、こちらの要求も通っていないし、ANAはもとより他社の便に振り返るつもりなんかエアインディア側にはさらさら無いことに気付き始めた時には夜中の2時を回る。

エアインディア成田行きは毎日出ていないと聞いているし、JALかANAの直行便のチケットを買い直すにもスケジュールも分からず、それらのカウンターにも一日1便の飛行機がとっくに出てしまった後なので人影がなく、途方に暮れる。

広い空港に日本人皆無、完全アウェイ。

なんて国なんだ、インド。
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しかし、神様はいるもんである。

ふと上げた目に留まったのは、カウンターでチケットを買ったばかりとおぼしき一人の日本人のおじさま、M田さん。
地獄で仏って言葉、この時20回くらい思ったね。
日本人のおじさまってすてきだなと思ったね。

M田さんは、逆に日本から5時間遅れのJALでデリー到着、プーナ行きのドメスティックを逃してチケットを買い直したところで、「基本、遅れやキャンセルで逃した乗り換え便の保障なんかしないですよ、航空会社は」と言い、空港のビル内に間借りしている旅行会社のデスクで、一番早い直行便であるJALのチケットを買うのを手伝ってくれる。(ツァーデスクでは盛んにチャイナエアラインで上海トランジットを勧められたが、エアインディアと同じくらい危険な匂いがするんで絶対ヤダと言い張る)

それでも丸一日時間があるので、同じツァーデスクで空港近くのホテルを紹介してもらい、白い清潔なシーツがかかったベッドに倒れ込む。
午前3時、よくここへ辿り着くまで倒れなかったと自分を褒めてやる。
遅い朝食をマネージャーと話ししながらAmanbaghで食べてから20時間近く、水しか飲んでない。

倒れ込みながらも、予定便に乗れなかったことを夫に電話、FBに上げると、What happened?の声が続々。
皆さん、本当にありがとう。

一人じゃないってステキなことね。

ようやく冗談言う余裕が出たのは、ここからである。
あんなに一人旅、一人旅とこだわったのに、このザマである。

なんで、国内便がキャンセルになって帰国便に乗れず、新しいチケットを買い直すという単純な作業が、ここまで面倒なことになるんだろう、この国は。

振替なんかするかい!と最初にハッキリ言ってくれれば、あ、そう、と新しいチケット買い直す算段にすぐ入れるのに、「あー、マネジャーに相談してやってあげるよ」みたいな対応した後、1時間以上もヒトを引き回したエアインディア。

「振り替えてもらってくださーい」とノンキに言った日本の旅行会社。

アンタらのせいで、振替が出来ると信じて2時間ムダにしたじゃないかYO?

そこへ加えて何一つ、どこへ行くにも自分の自由には行き来できない、デリー空港の複雑なシステム。

私、またインドへ行くかも知れないが、二度とエアインディアのトランジットはしない。
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うなぎとご飯と錦糸卵が別々になってる櫃塗しを出してくれたって、だ。
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偶然にも同郷だったM田さんには、どんなに感謝してもしきれない。




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