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軽井沢、戦場のコックたち [マイハーベスト]

ちっ。

誰に似たんだ、この強情娘。
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全身全霊でもう歩かないと訴える。
まだ山荘出て、2メートルくらいしか歩いとらんぞ。
久しぶりのアスファルトじゃない生土だぞ?

朝ご飯は外でワンコ連れ、はいかにもって感じで、夏の軽井沢ではあまりやりたくないが、人気のまばらなこの季節はなかなかよろしい。
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夏の間はどこのレストランもカフェも朝7時から店を開け、中には6時からやっているビストロもあるくらいでこちらも切羽詰まってくるのだが、こうやって落ち葉踏みしめてようやく探し当てるくらいが、朝の散歩ついでって感じでいいですね。

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毎年見てるはずなのに、いつもはちょっとずつ時期がズレているんだろう。
軽井沢の紅葉がこんなに美しいと思った年は今までに無いように思う。

一人の夜はふらりとメインストリートまで森を抜けて飲みに行く。
ほどよく出来上がって戻った山荘はようやく心地良く暖まり始めており、巣作りして本と犬と一緒にもぐり込む。
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翻訳本・・・ではないのだ。
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なのに匂いは完全に外国、それもバリバリ最前線の戦場という非日常だ。

なんだろう、この不思議な感覚。

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「戦場のコックたち」(深緑野分著/東京創元社)

日本人が海外を題材に書くフィクションは、下手すると◯近のキャサリンみたいな雰囲気になるのだが、そのわざとらしさが全く感じられないばかりか、この著者って自衛隊員か軍事専門家(って職業あるのねといつも思うけれど)だったのかしらと思うくらい、戦場の描写がハンパ無い。

合衆国陸軍空挺師団歩兵連隊のチームワークと葛藤が、ノルマンディー上陸作戦最中のフランスや、ナチス支配下のオランダを舞台に、五等特技兵のコックの目を通して鮮やかに、切々と描かれる。

兵士一人一人が背負ってやってきたそれぞれのバックグラウンド、人種の壁と厳然とある差別、整然とした軍隊の縦構造、支配する者とされる者、そして今日は自分でなくてよかったと息絶えた同僚から認識票(Dog Tag)を取る時に湧き上る自分への憎悪。
まるでオリバー・ストーンの映画を観ているような描写力だ。

その戦火の炎にちらちらと焼かれながら軍隊内に起こるミステリーの数々。
それを冷静に解いていく味音痴のコックリーダー。

戦闘指向ではなく、反戦色が際立つ感じでもなく、かといってミステリー色も出しゃばらず、いろんな要素を盛り込んでいるのに、調合率が実に巧妙で難解な印象が無い。

末尾の3ページに渡る参考文献の数に納得の取材力と、海外と戦場という二重の非日常を日本語の筆力で描き切った才能に圧倒される。

惜しいと思うのは、他のシーンに目を奪われ過ぎて、主人公がコックである必然性がややぼやけることか。


マダガスカル香料ツァーでサヴァイヴァルな旅程を共にクリアーした旅&香り好き仲間が山荘を訪ねてくる。
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このサヴァイヴァーたちは、可愛いもんだ。

3人で空けたワインが3本。
私たちにしては大したことない。

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つまみはイタリア帰り調香師の持参チーズ数種。

おーい、調香師。
毎日こんなに美味しくて臭いチーズ食べてて、錬金術の嗅覚は大丈夫ですかー?




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