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バン・クライバーンコンクール、生まれてくる意味 [クリニック・シンドローム]

「こういう子(先天性染色体異常)は必ずどこかに生まれなければならない。そういう子が家に生まれてきた意味を知って、みんなで可愛がって育てよう」

図らずも自分がその当時考えたことが、同じ言葉になってTVで流れる。

米国バン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した全盲のピアニスト、辻井伸行さんの祖父の言葉である。
奇しくも伸行さんの父も祖父も産婦人科医、というあまりにもシンクロした背景に目が吸い寄せられる。

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あおちゃんが、ヒルシュスプルング病という先天性染色体異常の病気を背負って長男夫婦のところへ生まれてきた時、私は普通にうろたえ、泣きまくった。
人間の身体が遺伝子で形作られる以上、必ず「どこかに生まれなければならない子」だと判っていても、「なぜ、ここへ」なのか、と。

産科医は、何千分の1の確率で生まれてくるその子の誕生に立ち会い、手放しで喜べない両親たちに接し、時にはその悲しみや責任をぶつけられたりもする。
それが言われの無い叱責だったとしても黙って耐える。
そうすることで、医学的にどうしようもない事実を、その両親達が受け入れる準備が整うのなら、と。

先天性の異常を持った子がこの世に生まれ落ちて来た時の、周囲の戸惑いと医学的な構造を一番良く知っているのは、産科医だ。
その家に「その子」が生まれてくる意味。

子どもは親を選べないと言うけれど、あおちゃんはきっと産科医の長男を選んで生まれてきたのだ。
時間が経ってそう思える自分がいたことを、伸行さんのお祖父様の言葉で思い出す。
伸行さんも、きっとご自分の才能を開花させてくれるご両親やご家族を選んで生まれてきたのだ。

梅雨の晴れ間、これから友人が紹介してくれたAKIさんの個展に出かける。
AKIさんは先天性の軽度知的障害を持った新進気鋭の画家。
http://www.life-aki.com/

AKIさんが持っているその事実を告げられた時、お父様は
「それがどうした?」
とおっしゃったそうだ。

医学的に「必ず生まれなければならない子」を支える家族が、その意味を見間違うこと無く愛情を注いでいけるような社会を望んでやまない。
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