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クリニック、ハグしてください [クリニック・シンドローム]

嫌な仕事は、世の中にどうしてこんなにあるんだろう。

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それを黙々と片付けていくのは、このぷちぷちをつぶしていくのに何だか似ている。
感情を移入しない、というところがコツ。

『サステナブル(持続可能)』は時代のキーワードだ。
それは前にも書いたと思う。

4年前法人化されたクリニックは、それまで夫がヤーメタ、と言えばそれで終わり、という気ままな個人経営から、夫がヤメてもクリニック自体は存続していくという法人格を持つ。
つまりサステナブルであることが要求されることになる。

経営の合理化のために職員を解雇する、と言えば、非情で血も涙も無い経営者がすることだ、と相場は決まっている。

専門業者に委託することとなった業務のスタッフ数名には、再雇用の道も用意したが合意に至らず、今日が最後の勤務日となる。

一人一人を部屋に呼んで、本当に一生懸命働いてくれた日々に感謝する。

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勤続10年のKは、先日の送別会で
「最後に、院長、ハグしてください」
と言って泣いた。
夫はその手に万感の思いを込めたと思う。

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今日手渡されたピーター・ラビットのマグカップに添えられた手紙には
「奥様、10年前、私を採用してくださってありがとうございました」
とあり、最後まで非情な雇用主でいようと思ったのに号泣する。

10年前、小学生だった息子さんたちに早朝出勤の了解を得たので、と電話してきた不安そうなKの声を思い出す。
経営なんてド素人で明日も判らず、急場作りのビルの中で、みんなでわいわい、いけいけどんどんの頃だった。

クリニックの規模の成長と共に、「拡大」ではなく「維持」または「持続」が課題となってきて、私も小賢しくなったのだろう。

2009年8月31日。
自分の手で繋がりを断つ痛みを知った日。




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