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自宅、きみに読む物語、林終期 [マイハーベスト]

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「I want to your (right) choice.」

自身はlove(愛)よりsecurity(安全)を選び、娘にもそれを強要してきた母親がそう告げて立ち去る時、涙がどっと出る。
(right)は夫のいびきがうるさくて聞き取れなかったので、「正しい選択をね」という字幕から推測する。

ったく。
一番いいところなのに。

たまたま観た映画が、その時の自分のシチュエーションにぴったりでどっとくることがある、とはずっと前に書いたように思う。
生きてきた時間が長ければ長いほど経験則数が増し、修羅場も増えるので、その(ぴったりくる)確率がどんどん高くなるのは自明の理である。

『きみに読む物語』(原題:「The Notebook」2004年米)は、まさに施設で暮らす母を見舞って帰って来た昨夜のためにあるんじゃないかと思える映画だ。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/typh/id320424/pidview002

琴線に触れたのは、ノートブックに綴られるありがちな「不釣り合いな恋」が、老人ホームの一人の老人によって、認知症の老女に読み聞かせとして語られることだ。

無表情な老女がそのストーリーに引き込まれ、一瞬だけ現実に戻る。
医者はありえないとはねつけるが、あきらめずに老人はその一瞬を得るために読み聞かせる。
なぜ・・・?

その二人を囲む老人ホームの風景が、穏やかでまた美しい。
認知症の老女も、パールのネックレス(これ重要)に真っ赤なスーツ。
ウィーンの老人ホームを見た時も、施設の豪華さに加え、老人たちがみなお洒落なのに驚いたが、なぜ日本の老人ホームはこうならないのだろう。

入居を拒む父を実家に残し、母だけを施設に入居させて、
「老いのスピードはそれぞれ違うから仕方が無い」と納得させていたはずの自分の価値観に、容赦なく切り込んで来る映像とストーリー。

「30年、40年後、誰と一緒かを想像して(loveかsecurityかを)選ぶべき」
という科白は、自分の選択(いびきをかいているアナタのことです、わかってますか?)と近づいてくる自分の老後へも反響する。

あー。
エンドロールの間中、いろんなことを考える。

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50歳から75歳までの25年間を「林住期」として、人生における第3の黄金期とした五木寛之。

林住期、まっただ中で迷い中。



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