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丸の内、ちいさいおうち [マイハーベスト]

英会話の帰り、必ず寄り道する丸善で、
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見つけたんである!

直木賞『小さいおうち』を読んだ日から、どうしても気になっていた元祖『ちいさいおうち』。

都市化の波に飲まれそうになったカントリーサイドのちいさいおうちはどうなったんだっけ?
ビルが押し寄せて来るような絵は覚えているのに、結末は頭の何処を探しても出て来ない。

ネットでいつか買ってみようと思っているうちに、洋書売り場でぴかーっと輝いているその本と出会ってしまう。

よっしゃ! せっかくなので、原書を買いませう!!

家に帰るまで待ちきれなくて、帰りの東上線急行の中で一気読みしてしまう。

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ちいさなおうち(女の子です。代名詞はShe)は、夏にはデイジーが咲き乱れ、

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冬には子どもたちが雪遊びをする、のどかな田舎の丘に建てられ、四季や太陽の移りゆく様や月の満ち欠け(moon growという言葉に惹かれる)を眺めながら、幸せに暮らしている。

実際に「暮らしている」のはその中に住んでいる人たちなのだが、彼女を建てたご主人は、
「This Little House shall never be sold for gold or silver and she will live to see our great-great-grandchildren's great-great-grandchildren living in her.」
つまり、絶対売らないし、(めちゃくちゃ)後の子孫まで住み続けるよ、と言ってくれるので、きっと彼女自身も幸せに「暮らして」いたことが伺えるんである。
(窓になっている目が笑っている)

しかし、幸せな時間の中で、彼女は遥か遠くに見える町の灯にちょっぴり好奇心があったし、また何かがちょっとずつ違って来ていることも感じている。
それは怒濤のように押し寄せる近代化の波と、それによる彼女の不運の前兆だったことはすぐに判る。
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初めてhorseless carriage(馬の無い馬車、つまりトラック)を見てびっくり仰天した彼女が、さらに大きな都市化に呑まれるまでに時間はかからない。
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(どこに彼女がいるか判りますか)

笑っていた窓の目が破れて放心状態になっている彼女を見れば、もう既に中には誰も住んでいないことが判る。
後世までずっと住み続けるよ、と言ったご主人(の子孫)は言葉を守られなかったのである。

しかし、ある日、そのご主人のgreat-great-granddaughter(だからえーっと、玄孫ってこと?)が高架線の下に打ち捨てられたthe Little Houseを見つけ(ああ、よかった!)、
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昔のカントリーサイドに似たような場所に移築してくれたのである。

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リノベーションされたちいさいおうちは、もう二度と街に興味も抱かないと心に決め、ピースフルな田舎に佇まいを定めたのでした・・・・

ああ、こういう結末だったのか。

何だか妙にほっとした。

適材適所という言葉は人間のためのものだが、おうちにだって当てはまるのだ。
憧れた(とは書いていないが)ビル群の中に埋もれては死んだも同然の彼女は、移築というウルトラCで救われる。

この話しを環境汚染とかそんな方向に位置づけるのは簡単だが、この激烈な近代化の中でなぜ、彼女が取り壊されずに残っていたのか、そこをバージニア・リー・バートンは描きたかったのではなかろうか。

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