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自宅、美しいをさがす旅にでよう [マイハーベスト]

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春の大嵐の翌朝、ベッドサイドの小窓から差し込む光は陽気でパワフル。

二度挫折した巣鴨→日本橋中山道ウォーキングを三たび敢行する。

備えあれば憂い無しってことで・・・・
午前中のフラのレッスン着、プイリ(フラで使う楽器)、午後のJohnnyのクラスの資料、汗をかいた時の着替え、お水、タオルに、日焼け防止のストールと帽子・・・・
いやはや、スニーカーの次はリュック買えってこと?

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途中で休憩を兼ねたランチを取るつもりで、フラのレッスン終了後いつものモスにも寄らずすぐに歩き始める。

天気の良い日に、時間に追われることなく気ままに歩く道のりは本当に楽しい。

前回ギブアップした本郷三丁目で、今年初めての冷やしたぬきうどん(大好物)を食べ、ゆるやかに神田明神の前を下って神田川を越えると、もう日本橋は目の前。
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あっけなく7kmちょいを踏破。
所要時間、ランチ含めて1時間半。

普段地下鉄を使ってぶつ切りで都内を行動するから、エリアとエリアの関連性がよく分からないんだけど、山手線なんてきっとだいたい2時間以内で直径を歩ける円なんだろうなあ。

踏破後、さすがに疲れてJohnnyのレッスンまでの小1時間、神田駅前のスタバで居眠りしてしまったけれど。

Jレッスンの後は、友達と日銀通の路地裏で飲み夜遅く帰宅したので、何と密度の濃い一日であったことよ。
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心地よく歩き疲れた一日の最後の仕上げは、ミナサン(トイプー3匹)と共にベッドにもぐり込んで読む極上の一冊。
まるで美味しいものを一番後に取っておく食いしん坊のように、この時間をじっくり堪能するために過密な一日を作り上げると言っても過言ではないくらいだ。

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「美しいをさがす旅にでよう」(田中真知/白水社)

タイトルから、単純に世界の美術品散策みたいなものを想像したが、「美しいをさがす」のは「美しいものを探す」のとは違う。
モノや事象を「美しい」と感じとるスタンダードは、人種やバックグラウンドによって全く異なるという当たり前だが見逃しがちな視点を、豊富な渡航経験から実証する類い稀な著書である。

特に西洋と東洋の美術的な相違を、黄金比と白銀比(はくぎんひ)になぞらえて論理的に分析しようという試みのあたりはあまりにも面白すぎて目が離せなくなる。
白銀比という存在すら知らなかったが、ダイナミックな印象を与えるといわれる無理数の黄金比に対し、この比率の√2というきっぱりした数字は、静的な印象を与えるせいか日本で愛され、法隆寺はじめ日本古来の建築やデザインに多用されているという。
なーるほど、である。

後半、筆者の得意分野であるアフリカや中東のプリミティブな芸術性に言及したチャプターが多くなってくると、こちらの経験則の不足のせいでやや読みが緩慢になってくるが、コラムとして挟まれる筆者の彩色豊かな世界見聞録がそれを救う。

東京の部分部分に降り立ってあたかも全体を知ったかのように錯覚するのと同様、人の美への基準とは実はものすごく限定された範囲にしか通用しない個性的観念であって、世界の随所に「美しい」はそれぞれの思いをもって存在するのに、例えば「モナリザは美しい」という統一した固定観念にいつか囚われる愚かしさ。

自分の思う美しさとは何か。

それをさがす旅にでよう、と背中を押される気がする。




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