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自宅、レベッカ [マイハーベスト]

なんで、また?!

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そりゃー、56歳がいきなりドラム始めたら、誰もが驚くのである。

日本国民の7割以上が「56歳の習い事は詩吟か俳句」って思ってるってことがよく分かった。

ハイパー婆様(長男)
仮想ロックおばさん(友人)
暴走老人(someone)
・・・(絶句。夫)

周囲の反応はこんなもんである。

ものすごくドラムやりたいって懇願した訳でもなく、そもそもオペラだバレエだとコンサバ指向で、ドラムで飾られてるロックな曲に馴染みがあった訳でもなく。
たまたま遊びに行った友人宅で「やってみなよ」とスティックを握らされ、『君の瞳に恋してる』に合わせて簡単な8ビートを叩いてみたら、いやー、これは結構体育会系だなー(もともと体育会系好き)と思ったのが始まりである。

メロディを奏でないリズムだけの楽器は新鮮で、それこそ身体で乗っていかないと何も始まらない。
両手両足が音楽的ノリだけを共通項にして別々に動くのである。
20年前に挑戦した二輪免許取得以来の感覚で、昔やったピアノとは全く楽器として異質なものである。

「僕が教えるから」と強引な友人に半ば強制されるようにスティックを押し付けられて帰り、気が付いたら、ヤマハの「大人の音楽教室/ドラムクラス」の体験レッスンのスツールに座っていた。

ベルリッツを3月いっぱいで止めて、何か新しいことにチャレンジしようと思っていた矢先でもあった。

大人の習い事のコツは、経済的余裕を有効活用して個人・グループ両レッスンを同時進行して、ある程度まで初速に乗って自分を引っ張り上げることだと思う。
若い時と違って知能も身体能力も低下しているし、何より残り時間が少ないのだから(笑)。

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夕暮れ時、ちょっと早めに仕事を切り上げて自宅にすっ飛び帰り、クラヴィノーヴァ(電子ピアノ)をバックにリズムを叩き出す。
人生の新しい幕が上がった気がする。

そう言えば、「レベッカ」という女性ヴォーカリストを擁したロックグループがかつてあったように思う。(すみません。今もあるのかしら?)

ハイパー婆様がここ2、3日夢中になったのはそっちかと思いきや、こちらである。

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「レベッカ」(ダフネ・デュ・モーリア著/茅野美ど里訳/新潮文庫)

1938年に発表されて英米でベストセラーとなり、1940年にはかのヒッチコックによって映画化されてアカデミー賞に輝いた作品だから、面白くないはずがない。
(映画は観ていないのだが・・・)

良き時代のイギリスのカントリーハウス、ゴシック、ミステリー、ロマンス・・・読者が面白い著作に求めるであろうすべてがこの一作に詰まっていると言っても過言ではない。

私はベン・ハーに夢中になった赤毛のアンよろしく、電車の中ではもちろん、クリニックの仕事中にもこっそりデスクの下に隠して盗み読み、きっかり2日間で文庫本の上下2巻を読み終える。
もう、どうにも止まらなかったのである。

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出だしはまるでマイフェアレディかプリティウーマンかメイドインマンハッタンである。(そう思えばこのテのストーリーはなんと多いことか!)

金持ち未亡人の話し相手に雇われていたフツーの女の子が、モンテカルロのホテルで出会った、有名な美しいカントリーハウス、マンダレーの若き当主に突然求婚される。
乞われるがままに結婚してマンダレーに移り住んだ「私」には、ことごとく当主マキシムの完璧な前妻レベッカと比較され、蔑まれる非情な日常が待ち受けていた。

日に日にレベッカの存在に押し潰され、マキシムの愛にまでも懐疑的になっていく「私」。
(このへんまでで作品の4分の3が費やされる)

マンダレーで催された大々的な仮装舞踏会を境に、物語は大変などんでん返しの渦に巻き込まれていく。

通俗的になりがちなストーリーに、気品と文学的な誇りを与えているのが、イギリス独特のカントリーハウス文学の表現だ。
ストーリー自体が、美しいマンダレーの管理保存を中心とした思想で進められていく。
お約束の忠実な執事の出番も忘れず頻回。

「ためになる」数々の名著はまず置いておいて、単純に物語を楽しむ趣向としては、これまで自分が読んだ作品の中で一位二位を争う。

ハイパー婆様、お勧めの一品。



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