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軽井沢、護りと裏切り [マイハーベスト]

ゆっくりしてこいよという夫の言葉を鵜呑みにして、昨日と今日はミナサンと私だけの軽井沢。
こうなったらもうこっちのもんである。
やることはいっぱいあるんである。
ゆっくりなんてあり得ない。

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まず、先々週レッスンがスタートしたドラムの練習。
なかなか家では練習する時間も場所も見つからないから、山荘生活ではかなり期待してたんである。

まだ練習用パット(ゴルフかと思った)を買っていないので、VOGUEやらSATCの雑誌、ペーパーバックを重ねて叩きまくる。
エア・バスドラムの右足がたちまち筋肉痛になる。
電子ドラムってやつ、山荘に買おうかなあ。

最初、ハイハットとスネアとバスドラムが規則正しく4分音符を刻んでいる時はチョロいと思ったが、だんだんあっちを8分音符にしろ、こっちを一拍抜け、とリズムが複雑化してくるにつれ、若いモンに置いていかれるようになる。(クラスは若者2人+中年2人)

明らかに脳から出した指令が手足に行き渡るスピードが、彼らに比べて確実に遅いんである。

前途多難。

しかし◯マハのプログラムはさすがによく出来ていて、教則本についてくるCDの曲はみんなノリがよく、これが叩けたら気持ちいいだろうなあと素人耳にも心地よい。
やり始めたら1年は絶対に止めないマイルール、心に留め置く。

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本だってこのチャンス(なんのチャンス?)に読み貯めたい。
この頃浮かれたシャンパンは卒業、コニャックちびちび派。
グラス片手に、普段あまり読まない本格ミステリに明朝の起床時間を気にせず没頭する素晴らしさよ。

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「護りと裏切り(原題:DEFEND AND BETRAY)」(アン・ペリー著/吉澤康子訳/創元推理文庫)

1992年、米国のミステリ情報誌『ミステリ・シーン』のアメリカン・ミステリ賞最優秀伝統ミステリ賞に輝いた大作である。

舞台はクリミア戦争(1853~1856年)直後のロンドン。
貴族階級が厳然と社会を支配していた大英帝国の思想と背景が、そのまま事件の勃発と解決への重要なファクターとなる。

強靭な植民地政策の要たる英国無敵軍隊の将軍カーライアンが、豪邸での晩餐会の最中にホールの階段から落下して、飾り物の甲冑の剣に射抜かれて死亡する。
そして彼の妻アレクサンドラが殺害を自供して投獄され、夫に歯向かった女性が当然受けるべきとされていた極刑縛り首を待つ身となる。
殺害の理由は夫の浮気への嫉妬とされる。

それで事件は難なく決着を見るものと思われたが、被告人アレクサンドラの弁護人と私立探偵モンク、看護師へスターは自分たちの指し示す「理由は他にある」という勘に導かれて調査を開始する。
次第に露になっていく貴族社会の背徳の闇。

当時、一般庶民には満足に娯楽など与えられない時代。
自分たちを支配する高潔な軍人貴族の醜聞と縛り首というアトラクションは、庶民の最大の関心事となる。

今でさえ厳然とした紳士社会が存在するイギリスの当時において、女性の地位は夫の所有物としてだけ存在した。
特に貴族社会においては、その家系に生まれ、あるいは嫁いだ者は自らの命やどんな犠牲を払ってでも名誉と財産を守るべきとされており、きらびやかな生活の見返りに伝統の重みと苦しみを背負うのであった。

本著のハイライトは何といっても3分の1後半から始まる白熱の法廷シーンだが、そこで息を呑むおぞましい事実を証人に暴露させるための伏線として、その前の470ページにも及ぶこの時代の描写が必要だったのだろう。

前半、微に入り細に入る長文の記述にやや読み疲れるが、公判シーンに突入した途端、一気に読まずにはいられない興奮が全身を襲う。

しらじらと明け始めた窓にかかった白樺の枝から、早起き鳥のさえずりが聞こえる。






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