SSブログ

ふじみ野、迷ったら、二つとも買え! [マイハーベスト]

IMG_8078.JPG
左傾化(私の場合、不良っぽくなってみること)が止まらない。

さすがにスカルモチーフはあきらめたが、左右対称でないピアスなんである。
脱保守である。

職業柄鼻はムリだが、へそまでいっちゃう?くらいのノリなんである。

中年になって不良化するオヤジは、それがとってもよい味を出すこともあるので、賛同票が多いように思うが、オバの不良化ってのはどうなんだろう?

私の場合、私に白襟・紺色のワンピースを着せ続け、クラシック音楽漬けにし、お嬢様学校に放り込んだ父から、物理的によりも最近心理的に離れたことが傾向に拍車をかけたんだろうと思う。
齢57歳で親からの精神的独立を試みているのかもしれない。

親がやってはいけないと言うことの大半は、人に迷惑をかけたり、ルールに反したりすることだから、それは守らなくてはダメなんであるが、それ以外は案外親の勝手な価値観によるものだったりもするので、やってみたら案外ものすごく面白いことかも知れない。

校則の無い国立大付属中学に通っていた次男が(15年前の14歳!)髪を金髪にしてピアスをしたいと言い出し、私は即座に却下したのだが、「(ピアスや金髪禁止という)校則も法律も無いし、人に迷惑をかけるわけでもないのに、なぜダメなのか」と詰め寄られた時に、「あたしに迷惑がかかるのよっ!」とワケの分からない反撃を試みるも、彼の方が正しいという敗北感は逃れられなかった。

結局彼は夫に直談判し、「そりゃーお前が正しい。やりなさい」(と言ったかどうかわからないが)と夫はあっさり許可したので、息子は金髪・ピアスになり、私は「おかあさん、いくら校則が無いって言ってもねえ・・」とシブい顔をした担任に呼び出される羽目になった。

話しを不良オヤジに戻そう。

大人の不良はかくありたい。
411ZQcIe7GL._SX230_.jpg
「迷ったら、二つとも買え!」(島地勝彦/朝日新聞出版)

筆者は1941年生まれ。
青山学院大学卒業後、集英社入社、「週刊プレイボーイ」編集者、のち編集長。集英社インターナショナル社長を経て、現在はエッセイスト、広尾と伊勢丹新宿店内のサロン・ド・シマジオーナー。

ユニクロのブラトップを大人買いする話しではない。

この景気低迷の時代に、稼ぎをすべて、パリのアルニスのジャケット(建築家コルビュジュが愛用してオーダーしたブランド)だ、ブント・オッティコの眼鏡だ、ブルネロ・クチネリのセーターだ、カーシューのシューズだ、何とかのシガーだ、何とかのシェービングセットだ、(もう知らないブランドが多すぎて記述不能)などなどにつぎ込むシマジ。

彼の中にあるのは「美しいものを自分のものにしたい」という人間の基本的な欲求に素直に従う行動力と潔さ。
美しいものとの出会いは一期一会で、ちょっとでも躊躇しようものなら二度と手元にはやって来ないという世界の逸品の希少さへの偏愛。

その買い物欲を支えるのは、吝嗇は人をダメにする、という、柴田錬三郎、開高健、今東光大僧正ら錚々たる顔ぶれとの交わりの中で培われた人生哲学である。

彼の買い物ルールは、
①美しいものを見たら迷わず買え
②どちらにするかで迷ったら2つとも買え
③金がなかったら借金してでも買え

あまりに堂々と「節約している人の顔は醜い」みたいなことを書いちゃっているので、「そりゃー、それが出来る選ばれた人はいいでしょうけど・・」と反感を感じる向きも少なくないと思うが、株式投資やギャンブルは一切やらない、クルマや家には興味無し、と、あくまで浪費は美しいもので彼の精神の琴線に触れるものだけに限られているところがいっそ清々しい。

よくTVで紹介される、家中金ぴかでフェラーリ5、6台を車庫に並べてご満悦の成金浪費家と違うのは、その買い物が深い教養と確かな審美眼、豊富な体験に裏打ちされ、確実に彼の内面価値を磨き上げているところである。

女性の買い物がなかなかこの域に達しないのは、衣服だのバッグだのジュエリーといった人目を意識したものに傾きがちで、本当に自分のセンスのみに対峙しないからなのだろう。

選ばれたシングルモルトのグラス片手に、シガーの紫煙をくゆらす。
貯金は30万しかない(笑)。

もちろん誰もがこんな浪費を出来る訳ではないが、こういう大人の不良がいて、天下の金は巡り、文化が創られる。
中国で大量生産されたユニクロでは(すいません。私もユニクロ愛好家です・・・)、文化は牽引できないんである。

不良オヤジがんばれと言いたい。





nice!(4)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 4

コメント 2

toyo

初めておじゃまします、
島地勝彦氏は私も大好きです。今東光氏の話などは爆笑ものでした。
いろんな作家の裏話などわくわくしながら読んだ覚えがあります。
氏の本は「甘い生活」をはじめ全部もっているつもりでしたが「迷ったら、二つとも買え!」は知りませんでした。さっそく買ってきます。
ありがとうございます。
by toyo (2013-09-13 07:09) 

mana

toyo様
コメントありがとうございます。
私は逆に初めて島地氏の著書を読んだのですが、多分賛否両論あるであろう強いメッセージ性が痛快でした。
これから他の氏の著書も読んでみようと思っています。
by mana (2013-09-14 08:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。