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自宅、冬の犬 [マイハーベスト]

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この寒さの中、ホイケの練習は佳境に突入。
素足、冷たい。

日本でハワイアンダンスを踊る意味を考える。

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iPhoneの調子が悪い。

タップしてもドラッグしても反応遅し。
バッテリーも急激に減る。
もう5年前に買った4Sだから、寿命なんだろう。

ゲームもLINEもやらないし、メールもほとんど業務連絡程度だし、ほとんどマナーモードになりっ放しなので誰も滅多に電話してこない。
本来の機能行使は最小限だ。

でも、この小さな箱にはオペラとフラとドラムの曲がぎっしり詰まっていて、これまでに習得した語彙をストックした英和辞典も、メトロノームもステップの動画も地図もみんな収納されているから、財布を忘れて外出したことは何回かあるが、これを置いて出掛けたことは無い。

近日中にまた新しい小箱に5年間積み上げてきたものを全部移し替えなければならないことを思うと憂鬱。

iPhone依存度が大きい割に、本は紙媒体と決めている。
老眼鏡かけてページを繰る、その所作が好きだから。

iPhoneは、PCはもちろん、辞書もCDも(アンプに繋げられるからスタジオ練習、本当に楽ですね)iPodもレコーダーも取り去ってくれたが、電車の中で読む本は依然として手荷物として存在する。

その数グラムの重みを楽しむ。

哲学書の後に、久しぶりにどっぷり文学っぽい文学に浸かりたくなってきた。
今まで見たことも聞いたことも無い世界へ誘われる感傷を求めて。

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「冬の犬」(アリステア・マクラウド著/中野恵津子訳/新潮社)

カナダ東端の極寒の島、ケープ・ブレントン。
スコットランドの古いゲール語を未だ残すその地に、遅き歩みをためらいながら続けるいくつかの凡庸な人生が展開する。

劇的な展開は何も無い。
ただそこで変わりなく営まれる林業や酪農を糧とした日常が、知的で淡々とした筆致で描写されているだけだ。

著者は、かの地で生まれ育ち、のちに大学で英文学の教鞭をとった短編の名手。
ここに収められているのは、31年間に16篇という寡作の作家の、珠玉の8篇。

役立たずの烙印を押された金色の飼い犬との秘密を回顧する「冬の犬」、死んだ男とのただ一度の交わりを一生抱きながら、島の灯台守に人生を捧げる島の女を描く「島」など。

行間から立ち上るのは、ストーリーや感情ではなく、匂いと温度と重さ。

食料になるために分解されていく家畜の内蔵や血の温度。
溢れ出す牛の精液の温かく饐えた匂い。
極寒の海に投げ出されて衣服が飲み込んでいく海水の重さ。

月並みな言い方だが、自然の荒々しさの前には、ぬくぬくとしたモラルや規則や社会通念は、形を変えるものだと痛感する。

まさに、今の時期に読みたい一冊。

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春から助産師学校で学ぶことになった手芸上手なナースが、孫達に。

新しい世界へ飛び立とうとする人の背中は、いつ見てもいいものだ。



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